本作は、『佐々木、イン、マイマイン』(2020年)、『若き見知らぬ者たち』(24年)の内山拓也監督が、故郷・新潟を舞台に、自身の原体験をもとに描くオリジナル作品。居場所とアイデンティティーを探し続ける少年が、大きな愛を知るまでの20年間を描く。
予告編は、北村演じる主人公・大地が母から届いた手紙を読む場面から始まる。言葉を発することができなくなった大地と、宮沢演じる母・亜樹が新潟で過ごした日々が断片的に映し出され、少年時代を演じた榎本司、加藤庵次、幼少期を演じた穐本陽月の姿も収録。後半には、燃え盛る炎や荒れる日本海、鉛色の空など壮大な映像とともに、息子へ激しい感情をぶつける母の姿や、小さな浴槽で向き合う親子の穏やかな時間が描かれる。
「母が嫌いだった。それでも今は寂しい。」というキャッチコピーが物語の切なさを際立たせ、ラストでは成長した大地が車を運転する姿が映し出される。セリフをほとんど用いず、北村がまなざしだけで怒りや希望を表現し、一人の女性の20年間を演じ切った宮沢の存在感も見どころとなっている。
テーマソングに起用されたSADFRANKの「Hymn To Love」は、2020年にリリースされた、エディット・ピアフの名曲「愛の讃歌(英題:Hymn To Love)」のカバー。内山監督は撮影前からキャストやスタッフにピアフ版「愛の讃歌」を聴いてもらい、作品の世界観を共有していたといい、「楽曲自体は恋人に宛てたものですが、この普遍性は時代や国境を超え、家族や親子などさまざまな愛として受け止められています。自分にとっては“母”への愛として浸透しています。『しびれ』は“愛の讃歌”であると思っています」とコメントしている。
また、SADFRANKの「Hymn To Love」は、内山監督が北村へ役作りのために渡したプレイリストにも収録されており、監督と主演俳優の創作の原点ともいえる一曲となっている。
本作は、2025年の第26回東京フィルメックスで日本作品として唯一コンペティション部門に選出され、審査員特別賞を受賞。さらに第76回ベルリン国際映画祭パノラマ部門に選出。第4回横浜国際映画祭、第28回台北映画祭など国内外の映画祭で高い評価を獲得しており、横浜国際映画祭ではグランプリ、最優秀監督賞、最優秀男優賞(北村)、優秀女優賞(宮沢)の4冠を達成。ダナン・アジア映画祭でも審査員特別賞に輝いている。
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