※本稿は、米井嘉一『食べて若返る!』(さくら舎)の一部を再編集したものです。
■糖質が多くて食物繊維がほとんどない白米
糖質を3割減らして食物繊維を3割増やす。これを実現するために重要になってくるのが、主食であるご飯やパン、麺類です。食の欧米化が進んでいるとはいえ、日本人にはまだまだ「白いご飯が好き」という方が多いようです。
ですが、精白されたお米には、糖質は多いものの、食物繊維を含めそのほかの栄養素がほとんど残っていません。お米の栄養の約9割は、精製の際にとり除かれる米ぬかの部分に含まれているためです。
ここで、お米についておさらいをしておきましょう。お米は稲の種子です。稲の身の部分だけを脱穀してとり出すと、もみになります。もみには殻がついていて、それを除いたものが玄米。玄米から表皮(ぬか層)をとり除いたのが胚芽米。
そして、とり除かれた表皮と胚芽とが米ぬかです。さて、お米には、脂質と食物繊維のほかにも、たんぱく質、ミネラル(カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、亜鉛、鉄、マンガンなど)、ビタミン(ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンE、葉酸など)といった豊富な栄養素が含まれています。
■認知症予防になるおすすめの主食
そして、これらの栄養のほとんどが含まれているのが米ぬかの部分です。したがって、米ぬかをとり除いた白米の栄養価は玄米の1割程度、しかも糖質以外の栄養は食物繊維も含めてほとんど残っていません。白米を主食としてたくさん食べていると、糖質過剰で食物繊維不足に陥ります。
これでは、糖質制限のために主食をカットしたくなるのも、わからないではありません。しかし、お米自体は食物繊維を含め栄養が豊富です。白米を玄米に切りかえ、主食の質を高めましょう。
玄米には、先ほどの栄養素のほかにも、玄米特有の成分がいろいろと含まれています。近年、腸内での発酵のしやすさで分類される「発酵性食物繊維」が注目されていますが、玄米にはその1つで、抗酸化作用があり免疫を担当するNK細胞を活性化させる「アラビノキシラン」が含まれています。
また、血行をよくしてコレステロールを軽減したり脳機能を改善して認知症を予防したりする効果のある「γ<ガンマ>‐オリザノール」、高い抗酸化作用と抗炎症作用に加え、アミロイドβ<ベータ>の蓄積と毒性を緩和させる作用のあることがわかっており認知症予防効果もあるとされる「フェルラ酸」。
そして脂質の代謝を促してコレステロールを低下させたり肝機能改善作用も持つ「イノシトール」、血流をよくしたり精神を安定させる作用があり、物忘れ、ボケ、うつ病のような精神疾患にも効果があるといわれる「ギャバ」(γ‐アミノ酪酸)、抗酸化作用によってがん細胞の発生・増殖を抑えたり血液をサラサラにして老化を遅らせる効果を持つという「フィチン酸」なども含まれています。
■玄米が糖尿病やがんのリスクを抑える
これらは昔から言われたことですが、最近では玄米の糖化ストレスを改善させる作用が注目されています。白米を玄米に置きかえることで、驚くほどたくさんの栄養を摂取できるようになります。なお、「玄米は硬い」「炊くのが難しい」という印象をお持ちの方もいらっしゃると思います。最近では、水を通しにくい表面のぬか層に傷をつけるなどして白米と同じようにやわらかく炊ける「加工玄米」もあります。
「ご飯よりパンが好き」という方は、精白していない全粒小麦を使った全粒粉のパンやライ麦パンを選ぶようにしてください。全粒穀物を使った食品には、朝食用シリアルやパスタなどもあります。玄米であればすべて全粒穀物であることが一目瞭然ですが、パンやシリアルのように加工された食品の場合、どのくらい含まれているかがわかりにくいところがあります。
国際的には1食(約30g)あたり8g以上の全粒穀物が含まれている食品を「全粒穀物食品」と見なすことが提唱されています。玄米・加工玄米・全粒小麦といった全粒穀物の摂取量の目安は1日140~160g(玄米でごはん茶碗2杯分くらい)です。
食事で全粒穀類を多くとると、精製された穀物の多い食事よりも、糖尿病や肥満、心臓病、がんなどのリスクを低く抑えられることが多くの研究で示されています。全粒穀物であれば、主食は絶対にとったほうがいいのです。
■野菜や果物を食べると太りにくくなる理由
「食物繊維」というと、真っ先に野菜や果物を考える人も多いと思います。野菜には、食物繊維に加え、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素、さらにはポリフェノールなどさまざまな生理活性物質が含まれています。
たとえば、トマトに含まれる「リコピン」、タマネギの辛み成分である「イソアリシン」、ニンジンの「β‐カロテン」や「α‐カロテン」などには強い抗酸化力があり、老化のもう1つの原因である酸化ストレス対策にも効果を発揮します。
また、ほうれん草や小松菜、モロヘイヤ、ケールなどに多く含まれる色素成分の「ルテイン」は、脳のブラッド・ブレーン・バリア(血液脳関門)を通過することができ、認知機能を高める効果があるとの研究報告があります。
さらに、近年、腸内での発酵のしやすさで分類される「発酵性食物繊維」が注目されていますが、根菜類(とくにごぼう)には「イヌリン」、ブロッコリーには「ペクチン」、玉ねぎやアスパラガスには「難消化性オリゴ糖」と、それぞれ発酵性食物繊維が多く含まれています。発酵性食物繊維は善玉菌のエサとなって発酵し、善玉菌を増やすとともに、善玉菌が「短鎖脂肪酸」をつくるのをサポートします。
短鎖脂肪酸はAGEsの生成を抑えたり、エネルギー消費量を増やして太りにくくするなど、人体に有用な作用をたくさん有しています。
■がんを予防してくれる緑色の食べ物
野菜のなかでもブロッコリー・芽キャベツ・キャベツといったアブラナ科の野菜には、がんを予防する作用のあることが知られています。これは、アブラナ科の野菜に含まれる「スルフォラファングルコシノレート」という成分が、体内で解毒酵素を活性化する「スルフォラファン」に変換されることで、発がん物質を無毒化し、がん抑制作用を発揮するためです。
解毒酵素にはいろいろな種類があり、日本の食品メーカー(カゴメ)とアメリカのジョン・ホプキンス大学との共同研究によって、ブロッコリースプラウト(発芽したばかりの新芽)のスルフォラファンにはアセトアルデヒドの代謝を促進する作用のあることが認められています。
したがって、ブロッコリー・芽キャベツ・キャベツといったアブラナ科の野菜には、アルデヒドの解毒酵素を活性化することでアルデヒドを抑制し糖化ストレスを防ぐ効果のあることも大いに期待できます。スルフォラファンには、ほかにも強い抗酸化作用や免疫活性効果などがあり、老化防止や美肌に対する効果を発揮します。
■体を内側から若返らせる毎日の食事の目安量
また、先ほどブロッコリーには発酵性食物繊維が多く含まれているといいましたが、芽キャベツとキャベツには不溶性食物繊維が多く、発酵食品と一緒にとることで、発酵性食物繊維と似たような働きをします。このように、アンチエイジングに野菜類の摂取は不可欠です。ところが、厚生労働省の発表によると、野菜不足は年々加速しており、どの年齢層でも目標に達していません。
不足するとがんだけでなく、糖尿病関連疾患による死亡率が増えることがわかっています。野菜の摂取量をいまより増やすには、サラダなど生で食べるだけでなく、火を通してカサを減らすなど調理法の工夫も大事。お浸しや煮物、八宝菜など、献立の幅が広がるきっかけにもなるでしょう。
発酵食品のぬか漬けも腸内環境を整えてくれるのでおすすめです。1日280~320gを目安に、いろいろな野菜を食べるよう心がけてください。トマトなら中2個、きゅうりなら3本、キャベツなら8分の1玉ほど。スーパーで買う1袋分のほうれん草くらいをイメージするとちょうどいいです。
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米井 嘉一(よねい・よしかず)
同志社大学アンチエイジングリサーチセンター、同志社大学大学院生命医科学研究科教授
1958年東京生まれ。武蔵高等学校卒業、慶応義塾大学医学部卒業、同大学大学院医学研究科内科学専攻博士課程修了後、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校留学。
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(同志社大学アンチエイジングリサーチセンター、同志社大学大学院生命医科学研究科教授 米井 嘉一)

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