※原稿内の電気料金試算は31円/kWhで行っている(全国家庭電気製品公正取引協議会が定める電気料金目安単価)
■エアコンを買い替えるべき人とは
この夏、エアコンが例年以上に売れている。
背景にあるのは「エアコン2027年問題」だ。2027年度から家庭用エアコンの省エネ基準が引き上げられるため、「低価格モデルが買えなくなるのでは」との見方が広がっている。
現在、低価格モデルは6万円前後から販売されているが、省エネエアコンは部屋の広さによるものの10~30万円とグッと価格が跳ね上がる。「今年のうちに買っておこう」と家電量販店へ駆け込む人が増えている。ある量販店では設置工事が数週間待ちになるケースもあるという。本当に今、慌てて買う必要があるのだろうか。
「今使っているエアコンに異常がなければ、焦って買い替える必要はありません」
こう話すのは、東京電力エナジーパートナーに在籍し、テレビ東京の「TVチャンピオン」のスーパー家電通選手権で優勝した「家電王」の中村剛さんだ。中村さんによると、今後エアコンが多少値上がりする可能性はあるものの、「低価格帯のエアコンが市場から消える」と考える必要はないという。
「正直、そこまで騒がなくてもいいと思っています。もちろん断言はできませんが、メーカーが下位モデルの省エネ性能を引き上げること自体は、それほど難しい話ではないはずです。
■エアコン2027年問題とは
では、「エアコン2027年問題」とはそもそも何なのか。
経済産業省は、エネルギー効率を改善する必要がある家電について、省エネ性能の目標値を定めており、この基準が2027年4月から引き上げられるというものだ。
エアコンの性能はAPF(通年エネルギー消費効率)という数値で表され、新基準では従来より最大で35%近いエネルギー消費効率の改善が求められる。目標値に未達の製品を多く出荷して全体のAPF加重平均値が目標に満たないメーカーにはペナルティが科されるため、メーカー各社は順次、基準をクリアした製品に切り替えていく見通しだ。
「新基準を定めた省エネ法が施行されたのは2022年ですので、メーカーにとっても突然決まった話ではなく、十分な準備期間がありました。もちろん技術的な課題はあるでしょうが、各社とも対応してくるはずです」
つまり、「2027年度以降は安いエアコンが買えなくなる」と過度に心配する必要はなさそうだ。まずは今使っているエアコンを試運転してみて、問題なく使えるか確認したい。
運転モードを「冷房」、設定温度を16~18℃(設定可能な最低温度)、風量を「強」に設定し、10~30分ほど運転する。異臭や異音、水漏れがないかを確認し、問題なく動くようであれば、慌てて買い替える必要はなさそうだ。
■最新のエアコンにすると年3630円の節約
ただ、「今は問題なく使えているものの、いずれ省エネエアコンに買い替えたほうがいいのか」と迷う人もいるだろう。
とはいえ、省エネ性能が高いモデルほど価格も高い。「本当に元が取れるのか」と気になる人も少なくないはずだ。中村さんによると、部屋の広さにもよるが、10年前のエアコンから最新の省エネモデルへ買い替えた場合、年間の電気代は約13%、金額にすると約3630円抑えられるというデータがある(※)。ただし、この差はエアコンの使用時間によって大きく変わる。
※ 家電製品協会 2026年度版スマートライフおすすめBOOKより
「家族が長い時間過ごすリビングのように、冷房だけでなく暖房もよく使う部屋なら、省エネモデルを選ぶメリットは大きいでしょう。一方で、使用頻度が低い寝室などでは、そこまで高性能なモデルでなくても十分なケースがあります」
その理由の一つが、住宅性能の変化だ。
「昔の住宅は風通しを重視して造られていましたが、最近の新築マンションや戸建て住宅は高気密・高断熱が一般的です。エアコンが効きやすく、冷気も逃げにくい。冷房が中心で使用時間も短い部屋なら、今すぐ高価な省エネモデルへ買い替える必要性は低いでしょう」
つまり、省エネ性能の恩恵を最も受けやすいのは、家族が長時間過ごすリビングなど、使用頻度の高い部屋ということになる。
■夏ではなく秋~冬が狙い目
ちなみに中村さん自身の自宅マンションでは、窓ガラスも断熱性の高いペアガラスなので、稼働させているのは、ほぼリビングのエアコンだけだという。
では、省エネエアコンを今買うメリットが大きいのは、どのような人なのだろうか。
「10年以上使っているエアコンで、電気代の高さに悩んでいるなら、省エネモデルへ買い替えるメリットは大きいと思います。エアコンは暖房として使っても効率が高いため、冬場の電気代削減にも大きな効果が期待出来ます」
一方で、購入を急ぐ必要はないという。中村さんは、最新モデルが型落ちとなる秋から冬にかけては価格が下がるため、この時期が狙い目だと話す。実際に価格.comやヤマダウェブコムで調べると、価格差が大きいのはリビング向けの中~上位モデルだった。
例えば、パナソニックの「エオリア EXシリーズ(14畳用)」では、2024年1月発売モデル(CS-EX404D2-W)の発売当初の価格は約21万2000円だったが、販売終了が近づく9~11月頃には約13万8000円まで下落。約7万4000円安く購入できるケースもあった。
■最新モデルを求める必要はあるか
夏のピークを過ぎれば、工事費も抑えられる可能性がある。急いで購入するより、時期を見極めた方が結果的に出費を抑えられることも少なくない。
では、どのようなモデルを選べばいいのだろうか。
エアコンはグレードによって価格差が大きいが、その違いは冷暖房性能そのものより、「AI制御」や「高性能センサー」といった付加機能による部分が大きいという。本当に、そこまでの機能は必要なのだろうか。
「高機能モデルは、自分で細かく設定しなくても快適な室温を保ってくれるのが魅力です。人のいる場所に合わせて風向きを変えたり、体感温度に応じて自動で温度調整したりする機能もあります。ただ、そこまでの機能は必要ないという人ももちろんいます。自動お掃除機能なども含めて、どこまでお金をかけたいかは人それぞれですね」
さらに中村さんは、「快適さを求めるために、必ずしも最新モデルを買う必要はない」と話す。
例えば、「外出先からエアコンを操作したい」という機能だ。最新の高価格帯モデルでは標準搭載されることもあるが、この機能だけなら数千円で実現できるという。
■スマートリモコン活用術
「帰宅前に部屋を冷やしたいとか、留守番中のペットのために温度管理をしたいという目的なら、『SwitchBot』や『Nature Remo』などのスマートリモコンで十分です。我が家でも古い赤外線対応のエアコンにスマートリモコンを組み合わせ、外出先からスマホで操作しています」
ネットワーク対応の最新エアコンを購入しなくても、今使っているエアコンをスマート家電化することは十分可能だ。本体の買い替えだけに目を向けるのではなく、数千円の投資で使い勝手を大きく改善できる選択肢も知っておきたい。
「2027年から安いエアコンがなくなる」と聞けば、不安になってしまうのも無理はない。
しかし、現時点では「今すぐ買わなければ手遅れになる」と焦る必要はなさそうだ。
まずは今使っているエアコンが問題なく動くかを確認すること。そのうえで、使用年数や電気代、部屋ごとの使用頻度、本当に必要な機能を見極めながら買い替えを検討すればいい。
高価な最新モデルだけが正解とは限らない。使い方を工夫したり、スマートリモコンを活用したりすることで、今あるエアコンをより快適に使えるケースもある。一時的な情報に背中を押されて慌てて買うよりも、自分の暮らしに本当にあった1台を選ぶこと。それが、結果として後悔のない買い物につながるはずだ。
----------
市岡 ひかり(いちおか ひかり)
フリーライター
時事通信社記者、宣伝会議「広報会議」編集部(編集兼ライター)、朝日新聞出版AERA編集部を経てフリーに。
AERA、CHANTOWEB、文春オンライン、東洋経済オンラインなどで執筆。2児の母。
----------
----------
中村 剛 (なかむら・つよし)
東京電力エナジーパートナーお客さま営業部副部長
2002年に『TVチャンピオン』のスーパー家電通選手権で優勝し、銀座にて体験型ショールーム「くらしのラボ」の開設と運営にあたった。
----------
(フリーライター 市岡 ひかり、東京電力エナジーパートナーお客さま営業部副部長 中村 剛 )

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)







![NHKラジオ ラジオビジネス英語 2024年 9月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Ku32P5LhL._SL500_.jpg)
