株式会社FIELD MANAGEMENT EXPAND(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:安田浩之、以下 FMX)では、かぜ薬ブランド「ジキニン」を展開する全薬工業の統合コミュニケーション戦略を2021年から担当しています。当初からチームの中核を担うクリエイティブディレクターの岡村靖弘、戦略プランナーの大嶋慶、アカウントディレクターの酒井瑠奈が、現在6年目を迎えたパートナーシップについて、全薬工業の担当者・遠藤彰之さんとともに語り合いました。





ブランド資産としてのキャラクターが価値を蓄積する ー 全薬工業 『ジキニン』リブランディングプロジェクト


遠藤彰之

Akiyuki Endo

全薬工業

製品企画本部 OTC企画部OTCプロモーション課

課長

営業部門での経験を経て、2022年に企画推進部へ。2026年の組織改編によって生まれた現部署で医薬品のプロモーション部門の責任者を務める。「ジキニンファーストネオ」をはじめとする医薬品の看板ブランドにおいて、販売促進戦略の策定・実行を牽引。



ブランド資産としてのキャラクターが価値を蓄積する ー 全薬工業 『ジキニン』リブランディングプロジェクト


岡村靖弘

Yasuhiro Okamura

FIELD MANAGEMENT EXPAND

クリエイティブディレクター

グラフィックデザイン事務所でのADを経て渡米。帰国後、外資系広告会社J .W.Thompsonで活動。ECD/CRE局長を経て、2012年にTYO(現FMX)に参画。CI等を含めたブランディング、広告全般およびインテグレーション、製品開発や店舗ディレクション、キャラクター開発、映像コンテンツ開発など幅広いジャンルのクリエイティブを手掛ける。

ブランド資産としてのキャラクターが価値を蓄積する ー 全薬工業 『ジキニン』リブランディングプロジェクト


大嶋慶

Kei Oshima

FIELD MANAGEMENT EXPAND

マーケティング・戦略プランナー

青山学院大学卒業後、外資系広告会社に入社。大手広告会社等を経て、2010年には「食べるラー油」キャンペーンを手がけ、ブームの火付け役に。2016年にMake Differenceを立ち上げ、ナショナルクライアントのブランド戦略、コミュニケーション戦略、キャンペーン施策を手がける。2021年からFMXに参画。

ブランド資産としてのキャラクターが価値を蓄積する ー 全薬工業 『ジキニン』リブランディングプロジェクト


酒井瑠奈

Runa Sakai

FIELD MANAGEMENT EXPAND

アカウントディレクター

2018年、TYO(現FMX)入社。
アカウントとして、ECプラットフォーム、モビリティ、不動産など、幅広い業種のコミュニケーションデザインに携わり、企業のグロースを支援。

ブランド資産としてのキャラクターが価値を蓄積する ー 全薬工業 『ジキニン』リブランディングプロジェクト


ブランド刷新を機に生み出された新しいキャラクター

——最初の出会いは2021年に行われたテレビCMとコミュニケーション戦略のコンペだったそうですね。

遠藤:当時、全薬工業には大きくふたつの課題がありました。ひとつはクリエイティブの観点から、新しいアプローチを見出したかったこと。もうひとつはブランディングの観点で若年層への認知が不足していたことです。当社としては若返りを図りたいという期待がありました。

酒井:新製品の発売が控えているということだったので、そこで爆発的な認知を取るために、まず「ジキニンが変わった」というイメージをつくることを目標に提案したんです。当時はコロナ禍という大きな転換期で、「本当にタレントがすべてなのか?」という根本的なところから社内で話を始めて。

岡村:それまでのジキニンのCMには必ずタレントが登場していましたが、当時の社会背景もあって2021年はノンタレでコミュニケーションをつくっていくという前提があったんですよね。とはいえ、ブランドを象徴するアイコン的な存在は必要だなと思いました。

大嶋:かぜ薬市場では第一想起を取ることが重要です。でも、自分が効いたと実感したものや、家族が買ってきたものを使い続けることが多いため、なかなかブランドスイッチが起こりにくいんですよ。だから「買うときにどう思い出してもらうか」が最大のポイントになると考えました。


岡村:個人的にはヘアケア製品やマウスケア製品を手掛けてきて、ドラッグストアという環境への知見があったんですが、佐藤製薬のサトちゃんとか、ブランドのキャラクターに普段から店内で“会っている”ことが信頼感になるんです。

だから迷うことなく、ブランドの象徴に成り得るオリジナルキャラクターを提案しようということになりました。

酒井:そこで生まれたのがキャラクターの「ジキ忍」くんですね。

ブランド資産としてのキャラクターが価値を蓄積する ー 全薬工業 『ジキニン』リブランディングプロジェクト


イメージキャラクター「ジキ忍」

2021年に「ジキニン」ブランドのキャラクターとして誕生。CMに登場するだけでなく、「JAPANドラッグストアショー」などの展示会や、子ども向けの社会体験アプリ『ごっこランド』とコラボレーションしたイベント、ウェブコンテンツなど、多方面でのプロモーションの土台となっている。

岡村:オリエン直後に、実は原案となる“ジキ忍”という黄色い忍者のスケッチを書いていたんです。 「ジキニンファースト」の売りの速攻性※や、常備薬として「後ろから見守る」という意味でも忍者はぴったりだなと。

コアターゲットが若い母親だったので、子どもにもキャラクターは好まれるということも含めて、カチカチッとハマる感触がありました。

※かぜのひき始めに早く対処すること

大嶋:私も、第一想起という点でもキャラクターは絶対にいたほうがいいと思いましたね。提案時には独自に調査して、長期的なコミュニケーション戦略を組み立てました。

酒井:全薬工業さんとのお付き合いは初めてでしたから、複数案ご提案して、その中でキャラクター案を推しました。岡村さんや大嶋さんとの会話で、状況に左右されないアイコン的な存在が強みになると確信したので、そこはもう自信を持って。
選んでいただけてすごくうれしかったです。

遠藤:当時の担当者からは、キャラクターを含め、ターゲットのインサイト分析から、ブランディング戦略、「あなたの時間をかぜから守る」というブランドプロミスなど、包括的にご提案いただいたことが採用の理由だったと聞いています。

岡村:ありがたい話です。ジキ忍のキャラクター造形は弊社白鷺というアートディレクターが最終的な3Dデザインまで手掛けているんです。キャラクター開発や最終造形がエージェンシーの中だけで行われているのはかなり珍しいんです。発想からアウトプットまでが一気通貫で時間も早い。 これはちょっとした自慢です。

遠藤:ジキ忍の黄色もイメージカラーからですし、ご提案時からほとんど姿が変わっていないことからも、とてもフィットしたんだと思います。我々プロモーション部門としてもジキ忍全面推しです(笑)。

ブランド資産としてのキャラクターが価値を蓄積する ー 全薬工業 『ジキニン』リブランディングプロジェクト


「既存CMとは異なる文脈で勝負する」という挑戦

——最初の施策が2021年のテレビCM「ジキ忍登場」篇です。

遠藤:2021年10月から放映したCMですね。コロナ禍でタレント起用が難しかったこともあって、ジキ忍が大々的に登場しました。

岡村:ジキ忍を立ち上げた最初の段階で、ウェブサイトの改修やウェブコンテンツも展開しましたし、ドキドキでした。
キャラクターも新しいタグラインも1年間だけのものではなく、今後継続的に運用していく想定でしたから、本当に保つのか、本当にそれだけの強さがあるのか、見極めようとしていましたね。

大嶋:この翌年には新製品「ジキニンファーストネオ」の発売を控えていましたから、イメージカラーは黄色のままでいいのか、黄色にするなら今後どうやって刷新した印象を持たせるんだ、という議論もしました。

岡村:新製品のパッケージに合わせて青に寄せるべきかどうか、検証しましたね。制作の過程で何をどう変えるのかが固まっていったのはブランディング戦略上、重要だったと思います。「ジキ忍登場」篇のCMでは、黄色いパッケージの「新ジキニン顆粒」と、黄色とゴールドの「ジキニンファースト」を出したんですよね。全薬工業さんともかなり会話を重ねて。

酒井:キャラクターボイスにもこだわりましたね。アニメ「鬼滅の刃」で煉獄杏寿郎役を務めた日野聡さんを起用して、ジキ忍くんの動きに日野さんの声が乗ったとき、全薬工業の方がうれしそうに「命が吹き込まれた」とおっしゃっていたのを思い出します。

遠藤:私はこの頃は現場の営業だったんですよ。「鬼滅の刃」の映画が大ヒットしていましたし、「めちゃくちゃホットなアサインをしたね」と現場サイドもすごく喜んでいました。

ブランド資産としてのキャラクターが価値を蓄積する ー 全薬工業 『ジキニン』リブランディングプロジェクト


ジキニン テレビCM「ジキ忍登場」篇

「かぜひきママの巻」として、子どもに心配されている母親の様子を目にしたジキ忍が箱の陰から登場し、諸症状をキックで蹴散らす。「ひき始めに速攻!」というキャッチコピーとともに新キャラクターとしてデビューを飾った。
声は声優の日野聡が担当。

——遠藤さんがチームにジョインしたのは立ち上げ2年目からですよね。その2022年はどうだったのでしょうか。

酒井:新製品の「ジキニンファーストネオ」が出るタイミングでしたから、そこからがいわば本番でしたよね。ジキ忍くんに加えて、新たにタレントをCMに起用してつくっていくぞっていう。

遠藤:ジキニンは看板ブランドですし、新製品が登場するとあって、全薬工業としても今までにないほど注力しました。

大嶋:FMXでは、1年目を終えた効果をリサーチしたんです。成果はもちろんあったんですが、むしろ足りなかったこと、できなかったことを把握して、目標に対して逆算して戦略を立てていくのが僕のやり方。とくにかぜ薬って……競合がめちゃくちゃ強いんですよ。

全員:(笑)

大嶋:真っ向勝負ではビクともしなかったりしますから、既存の文脈に乗らずに、ジキニンらしいコミュニケーションの方法を見つけることがこのときの大きなテーマだったと思います。

岡村:かぜ薬のCMの構造って、タレントが症状を訴えて、これを飲んだらスーッと治りますというのがほとんど。2年目はタレントをアサインするチャンスでもあり、同時に既存のフレームに陥るピンチでもあったというか。
王道に乗らないことの怖さってあるんです、やっぱり。

大嶋:そうですね。タレントを起用した最初のCMですし、いちばん考えましたね。

岡村:それでCMは「効いた~」というカットは一切入れず、「製品について言いたいことをタレントがノーカットで全部一気に言う」というものになった。いわゆる“かぜ薬のCM”らしくないんです。だから差別化にはなるし存在感もつくれるんですが、“いわゆる”とは違うので。これにOKを出してくれたことに感謝しています。

遠藤:岡村さんのプレゼンを聞いて、なんて説得力がある人なんだと思いました(笑)。チームメンバーも「今までどおりじゃダメです」とすごく熱意を持っていて、私も腹をくくって。当時はYouTubeで一発撮りの「THE FIRST TAKE」が流行っていたんですよね。

岡村:はい。若い人たちほど、作為性のなさに惹かれるんです。最初のコマーシャルで最後に「言えた~」と本人が素で言っているんですよ。その生っぽさが良かったんでしょうね。

ブランド資産としてのキャラクターが価値を蓄積する ー 全薬工業 『ジキニン』リブランディングプロジェクト


戦略とクリエイティブが噛み合って、はじめて成果が出せる

——その後、2026年現在に至るまで同じタレントを起用したCMを続け、SNSやイベントでのコミュニケーションも展開してきました。

遠藤:実は3年目の2023年に、全薬工業にとって大きな転換点がありました。起用していたタレントの旧所属事務所の経営体制が解体的な出直しを迫られた際に、起用し続けることを表明したんです。そのときに非常に好意的な反響をいただいて。

岡村:大変な決断だったと思いますが、あのときの対応はすばらしかった。

遠藤:全社的に一丸になれた出来事だったと思います。

酒井:私も、全薬工業さんはタレントを単なるCMのキャラクターではなく、一緒にブランドを育てていくパートナーとして見ているんだなと実感しました。

岡村:そういう誠実さが、何よりも強いブランディングになるんですよね。そんな血の通った対応ができるクライアントとご一緒できることは僕らにとってもうれしいことです。

遠藤:この年は売上も伸びましたし、野村総合研究所の「広告効果賞」でも銀賞をいただきました。

大嶋:「広告効果賞」は利用したい・購入したいという項目が上がった広告が評価される賞なのですが、ブランドスイッチが難しいかぜ薬の市場の中でそのようなキモチを作ることができたことは、ちょっとホッとしましたね。

遠藤:このときは、まだコロナが流行っていて、喉の痛みを訴える人が多かったんです。だから喉に特化した訴求に振り切ろうとしたんですよね。そこでヘッダーシールを貼ることにして、社内の女性社員に好評だった、問いかけるようなコピーを採用して。これも売上が伸びた理由のひとつだと思います。

岡村:店内のポップは「シェルフトーカー」とも言われているんです。棚から話し掛けてくるという意味。だからお客様に話しかけようと。こういう小型の制作物も含めて、すべて同じチームで考えながらつくっています。

酒井:FMXは戦略メンバーとクリエイティブメンバーが同じ会社にいて、しかも全薬工業さんが社内の状況を共有してくださる。トレンドは症状別だよねみたいな戦略の話から、ヘッダーシールのコピーまで、みんなでセッションすることで生まれたコミュニケーションなんだと思います。

ブランド資産としてのキャラクターが価値を蓄積する ー 全薬工業 『ジキニン』リブランディングプロジェクト


ブランド資産としてのキャラクターが価値を蓄積する ー 全薬工業 『ジキニン』リブランディングプロジェクト


「ジキニンファーストネオ」

新製品「ジキニンファーストネオ」のパッケージには「かぜのひきはじめに速攻※」というキャッチコピーが。コロナ禍のため、のどの症状に効くことを訴求するべくヘッダーシールを貼付。2024年にはパッケージのコピーを「かぜののどの痛みに かぜに速攻※」に変更した。

※速攻:かぜの気になる症状に早く対処すること

販売名:ジキニンファーストネオ錠/指定第2類医薬品/効能・効果:かぜの諸症状の緩和

これらの医薬品は「使用上の注意」をよく読んでお使い下さい。アレルギー体質の方は、必ず薬剤師、登録販売者にご相談下さい。

岡村:CM制作の初期段階から、社内の映像ディレクターが企画出しに加わっているため、軸がブレないし対応も早い。このような体制は少し珍しいかもしれませんが、ドラッグストア系の商材は薬機法などの兼ね合いで、様々な対応や調整が頻繁に生じます。だからこそ、最初のチーム編成のときからフレキシブルに対応ができる『ワンボックス(一気通貫))の体制』にすることは考えていました。

遠藤:FMXの皆さんは、まずコミュニケーションが取りやすいということがありますし、やっぱり提案力とクリエイティブ力は群を抜いているなと思います。お付き合いを続けていく中で、継続的な自主提案をしてくださるのもありがたいですね。我々の要望に対して、常に期待以上のものを打ち返してくださる点にも非常に心強く感じています。本当に伴走者として頼れる存在で、だからこそ5年、6年と継続的にお付き合いさせていただけているのだと思いますね。

岡村:こちらからご提案して「そうですか」で終わるのではなく、「こう思うんですけど」とご本人の正直な感覚で疑問や意見を素直に伝えてくださるのがこちらとしてもありがたいです。フラットに話ができるのは、気持ちいいですね。

——最後に、今後の展開や展望を聞かせてください。

遠藤:今年の秋口には次の新製品が発売されますし、将来的にはさらにラインアップを拡充していく計画もあります。3年先、5年先も見据えて強化していきたいですね。FMXさんはジキニンのブランドパートナーとしてやっていただいていますから、今後も情報共有しながらご協力いただけたらと思っています。

岡村:ぜひ。先々の計画をふまえているかどうかで、クリエイティブもまったく変わってきますので。

大嶋:一つひとつが噛み合っていないと、並み居るかぜ薬ブランドの中で結果を出すのは相当難しいですからね。

酒井:遠藤さんが当たり前のように「ブランドパートナー」とおっしゃっていましたが、そう思っていただけているのがすごくうれしいです。広告会社とクライアントという分け方でなく、ジキニンチームとして。だから社員の方の熱意を感じることができるし、私たちもチーム感を持って対応できます。

これからもぜひ、よろしくお願いします。

■会社概要

ブランド資産としてのキャラクターが価値を蓄積する ー 全薬工業 『ジキニン』リブランディングプロジェクト


会社名 :株式会社FIELD MANAGEMENT EXPAND(FMX)

所在地 :〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山B1

代表者 :代表取締役社長 安田浩之

代表電話:03-5468-5355

創業  :2021年1月4日

従業員数:約280名

URL:https://group-fm.com/



FIELD MANAGEMENT EXPAND(以下FMX)は、クリエイティブを基点に、クライアントの事業成長に貢献するプロフェッショナルの集合体です。

コンサルティング、エージェンシー、イベント&カンファレンスの3つのサービス領域において、多様な専門性を持つプロフェッショナルがクライアントに伴走し、最適なチームとソリューションをアジャイルに提供します。

「想像を超える創造。」を理念に掲げ、営業・マーケティングなどの顧客体験(CX)領域におけるコンサルティングから、コミュニケーション領域の企画・制作、イベント・カンファレンスの実行まで、幅広いサービスを展開しています。

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