本ストーリーでは、店舗運営代行を通じてブランドの成長に伴走してきた株式会社フォーアンビションを紹介します。
同社がブランドのビジネスパートナーとして選ばれ続ける理由とは?
代表取締役 湯浅博昌が、事業の根幹を支える「人材」への思いとともに、語ります。
すべては誰かの”喜びを開発”するために
― フォーアンビションは2008年に創業して以来、店舗運営代行を通じてファッション業界の企業を支援されてきました。その原点について教えてください。
湯浅:当社は、当時のサンエー・インターナショナル(現在の㈱TSIホールディングス)で営業部門の役員を務めていた廣瀬雅則 現会長が独立して立ち上げた会社です。
廣瀬は長年ブランド側で事業に携わり、多くの有名ブランドを国内で成長させてきました。その中で、強く感じていたのが、ファッションというのは商品やブランド力だけでなく、「人の力」によって結果が大きく変わる業界だということでした。その思いを胸に創業当時に掲げた4つの志(フォーアンビション)は、今でも社員の共通言語として根付いています。私は昨年、フォーアンビションの代表取締役に就任しましたが、日常会話や評価制度の中にも自然に出てくるほど、この4つの志は社内に浸透しています。
―4つの志とは?
湯浅:「お客様の喜びを開発する」「ブランドを預けてくださるお取引先の喜びを開発する」「社員とその家族の喜びを開発する」。社内ではこの三つを総称して「喜び開発」と呼んでいます。そして四つ目が、「常に感謝の気持ちを持って行動する」です。
ー実際の店舗運営の中では、どのように活かされているのでしょうか?
湯浅:ブランドや商品を通じて、その先にいるお客様の心を豊かにする。ブランドを身に着けることで自分らしく輝けたり、自信を持てたりする。
当社の販売スタッフはよく「販売の仕事は本当に楽しい」と言うんです。もちろん数字だけを追っていたら苦しいこともありますが、その先にあるお客様の喜びまで見据えて仕事をすると、大きなやりがいがあります。その積み重ねがブランドの成長につながり、お取引先の喜びになる。さらに、会社が成長することで、社員やその家族の生活も豊かになる。そうした循環全体を「喜び開発」と呼んでいます。人の力を通じてファッション業界に貢献する。その考え方に共感してくれた人たちが集まり、これまでの19年があるのだと思っています。
― フォーアンビションの「店舗運営代行」というビジネスモデルについて、詳しく教えてください。
湯浅:私たちが行っている業務は、「販売代行」と呼ばれることが多いのですが、販売だけを請け負っているわけではありません。ブランドから店舗をお預かりして、商品管理、販売、採用、教育、人員管理など、店舗運営を包括的に担っています。
また、お客様の声をブランドへ届けることも私たちの重要な仕事です。たとえば来店客層、国内客とインバウンド比率、商品への反応、売れ筋の変化など、店頭には非常に多くの情報が集まります。それらを定量的に分析することは、ブランドにとって非常に価値のあるマーケティング情報になります。こうした情報をお返ししながら、「こういう商品が求められています」「こういう打ち出しが効果的です」という提案も行っています。さらに、例えばVMDにはブランド側の基本方針がありますが、時には、お客様の動向や気候などを見ながら店頭での見せ方を調整することもあります。
― 実際にブランドから依頼をいただいた際には、どのように準備をされるのですか?
湯浅:多くの場合、3か月ほど前から店舗の人員体制の調整に入ります。その後、ブランド研修を複数回受けさせていただき、ブランドの世界観、商品知識、売れ筋商品、他店舗の状況、顧客層の特徴などを学び、他店舗の販売動向や顧客動向なども共有いただきながら準備を進めていきます。店舗運営では組織体制が重要になります。研修は店長をはじめ全スタッフが受け、立ち上げ時にはエリアマネージャーが店長と並走しながら店舗づくりをサポートします。立ち上げ直後は全員が初めての環境ですから、チームビルディングも含めてフォローしていくことが不可欠です。
― ブランドからの依頼は、「これから1店舗目を出す」というケースと、「すでに複数店舗展開があり、新店舗をお願いしたい」というケースの両方があるのでしょうか?
湯浅:両方ありますが、多いのは、既存のお取引先様から評価いただき、「新しい店舗もお願いしたい」と言っていただくケースです。一方で、日本初上陸のブランドや、国内初出店のブランドの立ち上げから一緒に並走することもあります。
成果の裏側にある、現場力
―具体的にどのようにPDCAサイクルを回して店舗を運営・改善しているのでしょうか?
湯浅:まずは定量データを徹底的に見ます。売上だけでなく、来店客数、入店率、購入率、客単価、セット率など、店舗運営に関わるKPIを細かく管理しています。ただし、KPIはあくまで結果であり、本当に重要なのは、その背景にある課題を見つけることです。店長は毎日の店舗運営の中で、「なぜ今この数字なのか」を深掘りしていき、そのうえで、「今週はこの商品を強化しよう」「この接客トークを重点的に練習しよう」といった施策を決め、朝礼などで繰り返し共有していきます。
売上は、トラフィック、ブランド力、気候、景気など、さまざまな外部要因にも左右されます。しかし、その中でも自分たちで対応できることはたくさんあります。例えば、来店客数が少ない時、「どうすれば入店率を上げられるか」を考え、スタッフの立ち位置や商品の見せ方を変えることもできます。現場でできる工夫を積み重ねることが、結果につながっていきます。
―こうした店舗運営を実現するために、特に重視していることを教えてください。
湯浅:店舗は店長を中心としたチームなので、何よりも良いチームづくりが不可欠です。その中でも非常に重要なのが、店長のリーダーシップです。売上が厳しいときほど、「じゃあ次はこうしてみよう」と率先して新しい打ち手を出していく。
― 店舗運営代行を担ってきた中で、結果につながった支援事例などがあれば教えてください。
湯浅:著名なインポートブランドの多くのアウトレット店舗を、私たちがお任せいただいています。最初は1店舗からスタートしましたが、運営力を評価していただき、新規出店のたびにご依頼いただけるようになりました。今も継続的に支援をさせていただいています。また国内ファッションでも同様に、長年に渡り店舗運営をお預かりしているブランドがあります。
私たちは、外注先というよりも、ブランドを一緒に育てるパートナーでありたいと思っています。同じブランドや企業から繰り返しご依頼いただくことが非常に多く、当社の支援に対しての評価と受け止めています。
「採用と定着」という課題に挑む
― 店舗運営において、現状課題となっていることはありますか?
湯浅:今、人材不足が本当に深刻で、中でも一番大きな課題となっているのが採用と定着です。これは当社に限らず、業界の共通課題となっています。
今は求職者側から見ると選択肢が非常に多い状況であり、企業側も条件改善を進めています。当社の販売スタッフは販売や店舗運営における経験値が高いため、市場での評価も高く、その分流動性も高くなり得ると考えています。そこで、この1年、休日数の見直し、労働時間の改善、ベースアップ、給与改定など労働環境の改善を積極的に進めました。
加えて、業界特化型の採用力を持つiDAが同じグループにあり、連携した採用活動を行うことができます。豊富な人材ネットワークや採用チャネルを活用できることは、人材不足が業界課題となる中で大きな強みです。こうしたグループの力を掛け合わせられることは競争力にもなっています。
今いる社員にしっかり報いること。そして市場に対する採用競争力を高めること。その両方が必要だと思っています。
― 給与以外の面で、人材定着のために意識されていることはありますか?
湯浅:組織では人と人とのつながりが最も大切だと思っています。先ほどお話したように、数字の背景には必ず人がいます。スタッフが今どんな状態なのか。
販売の仕事は本当に大変です。クレーム対応をすることもあるし、売上が上がらず苦しい日もある。それでも、「このチームで働いていて良かった」と思える環境があると頑張れると思うので、リーダーや店長には、スタッフ一人ひとりの日々の小さな変化にも目を向けてほしいと伝えています。
― スタッフの方々には、どのようなキャリアパスが用意されているのでしょうか。
湯浅:基本的には、スタッフからサブ店長、店長、エリアマネージャー、統括マネージャーとステップアップしていく流れがあります。その先は本部管理職や役員です。新規出店の際に、サブ店長に店長として新店舗に異動してもらうなど、経験を積みながら成長していく道も用意しています。
― ブランド間の異動はあるのですか?
湯浅:はい。ブランドごとに求められる接客やマネジメントのスタイルは違うので、適材適所の人材配置を重視しています。状況に応じて、一人ひとりの強みが生きるブランドや店舗への異動を行っています。
グループとともに、新たな価値を創出
―今後強化していきたいことなどはありますか。
湯浅:先ほども触れましたが、まず採用力です。一つのチャネルだけで採用が成立するのは難しくなっています。複数の採用チャネルを組み合わせながら、必要な人材を獲得していく必要があり、その体系化をこの1年ほどずっと進めています。もう一つは、グループ内にあるさまざまな機能との連携です。グループには、VMD、教育、マーケティングなど、多様な専門領域の会社があります。店舗運営代行と各社の専門性や知見、仕組みを掛け合わせることで、より付加価値の高いサービスを提供することが可能になります。
また近年、販売の現場においてもAIやテクノロジーの活用が進んでいます。私たちも導入を進めていきますが、目的はテクノロジーの推進ではなく、あくまでも「人の価値を最大化するために使う」という考えが軸となります。
―具体的にはどういうことでしょうか?
湯浅:例えば、現在もPOSデータや来店客数・購入率などの各種KPIは取得していますが、「買わなかったお客様」の情報は十分に把握できていません。購入した方のデータは残りますが、購入せずに帰った方の行動や動線までは見えにくいのが現状です。そこにテクノロジーを活用できれば、さらに価値の高いマーケティング情報が生まれ、サービスの質の向上や他社との差別化にもつなげることができると考えています。こうした取り組みは、グループの多様な専門性があるからこそ実現できることだと思っています。
― ありがとうございました。最後に、今後のビジョンを短期的・長期的の2点で教えてください。
湯浅:短期的な目標は、店舗運営代行の品質をさらに高めることです。今はお客様のニーズも変わっていますし、商品も売り方も昔とは大きく変わっています。これまで通りのやり方では売れなくなっている。それは販売だけでなく、ものづくりの段階から起きていることだと思います。だからこそ、今の時代に合った店舗運営へ進化し続けなければいけません。品質を高めることで、お客様への価値提供が高まり、社員のやりがいや成長につながる。そして店舗の成果が生まれ、顧客の信頼や新規出店につながることで、さらなる成長機会やキャリアパスが広がる、という循環が生まれます。その成長サイクルを確立していきたいです。
長期的には、人の力でブランドを成長させる会社であり続けることです。そのためには採用も、教育も、テクノロジーも必要になります。AIやデータを活用しながらも、人の価値を最大化できる組織づくりを目指します。また、今後はファッションに加えて、コスメやライフスタイル領域 など、カテゴリーの幅も広げ、より多くの企業を支援していきたいと考えています。
これからも“喜び開発”を原点に、人の力とグループの専門性を掛け合わせながら、ブランドの成長と業界の発展に貢献できる、フォーアンビションならではの店舗運営サービスの最適解を追求していきます。
【株式会社フォーアンビションについて】
販売代行をメイン事業とし、関東および関西の都市部・アウトレットモールにて、大手外資系、国産アパレルブランドなどを主要顧客として、数多く店舗を運営。高いスキルとスペシャリティを持った人材を育成し、販売の道のプロ集団による店舗運営代行のサービスを提供しています。 http://fourambition.jp/
【ワールド・モード・ホールディングス株式会社について】
ファッション・ビューティー業界を専門に人材やデジタルマーケティング、店舗代行など様々なソリューションを提供するグループ。iDA、BRUSH、AIAD、AIAD LAB、フォーアンビション、VISUAL MERCHANDISING STUDIO、双葉通信社、reward の8 社の国内事業会社および シンガポール、オーストラリア、台湾、ベトナム、マレーシアに海外拠点を持ち、専門性の高い各社のシナジーによって、クライアント企業の課題に応じた実効性の高いソリューションを提供しています。https://worldmode.com/
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