小谷野税理士法人は、東京を拠点に中小企業の税務・会計を支援する、中堅の総合系税理士法人です。公認会計士・税理士など30名を含むおよそ80名の体制で、税務顧問にとどまらず、事業承継やM&Aまでをワンストップで担っています。


全国でもっとも多くの税理士が集まる東京で、私たち中小企業支援チームは「契約してから、自社に合わないと気づいた」という相談に、何度も向き合ってきました。本ストーリーでは、税理士選びの“迷子”をなくすために、面談の前後で誰でも確認できる5つの判断基準を言語化していった担当者の歩みを紹介します。

東京は、税理士法人の選択肢が全国でもっとも多い地域だった

「前の事務所とは、最初のボタンを掛け違えていた気がします」――ある製造業の経営者は、面談の冒頭でそう漏らした。料金の手頃さで選んだ事務所は親身ではあったが、自社の業種特有の在庫評価や設備投資の論点には不慣れで、決算のたびにこちらが補足説明をする状態だったという。決して珍しい話ではない。私たちのもとには、似た“掛け違え”を抱えた経営者が、次々と相談に訪れていた。

東京は、税理士と税理士法人が全国でもっとも集中している地域だ。東京税理士会にはおよそ2万4000名の税理士会員と約2000の税理士法人が所属し、全国の税理士登録者およそ8万2000名のうち、約3割が東京に集まっている。地域別で見ても、その数は突出している。

数が多いだけでなく、タイプの幅が広いことも東京の特徴だ。特定の業種に深く対応する業種特化型、企業規模で対応領域を絞る規模特化型、地域に根ざした地域密着型、IT・スタートアップ支援に重心を置いた事務所など、性格の異なる法人が並立している。製造業からIT・サービス業、不動産業まで会計・税務の論点が大きく異なる企業が同居し、海外取引や資金調達のニーズも他地域より表面化しやすいため、求められる専門性の幅はとても広い。

ところが、選ぶ側の中小企業にとって、この選択肢の多さはむしろ悩みの種になりやすい。
私たちが現場で繰り返し耳にしたのは、「料金や知名度で決めたら、自社の業種に詳しくなかった」「相談したい領域に対応していなかった」という、契約後のミスマッチの声だった。選択肢が多いはずの東京で、なぜ“迷子”が生まれてしまうのか。その違和感が、すべての出発点になった。

参考:日本税理士会連合会

「ほかと何が違うのか、自分の言葉で説明できない」という一言

なぜ、これほどミスマッチが起きるのか。私たちは、新しく相談に来られた経営者へのヒアリングを、一件ずつ重ねるところから始めた。料金や知名度のほかに、何を見て事務所を選んだのか。契約後にどこでギャップを感じたのか。その声を丁寧に拾っていった。

あるとき、相談に来た経営者が一枚の表を見せてくれた。候補の事務所を、月額料金と知名度だけで並べた手作りの一覧だった。「これ以外に、何を見ればいいのか分からなくて」と、その方は言った。比較したい気持ちはあるのに、料金と知名度しか並べる欄がない。物差しがなければ、誰でもそうなる。
この一枚が、私たちの問題意識をはっきりと形にしてくれた。

見えてきたのは、多くの経営者が「比べたくても、比べる物差しを持っていない」という事実だった。各事務所が掲げる「実績豊富」「親身に対応します」といった言葉は、響きは良くても、並べて比較する材料にはなりにくい。結果として最終的な決め手が料金と知名度に偏り、自社の業種・規模・課題に合うかどうかは契約後にようやく判明する――そんな構造が、あちこちで繰り返されていた。

当初は、私たち自身も「自社の強みを丁寧に説明すれば伝わるはず」と考えていた。しかし、どれだけ説明を尽くしても、経営者の側に他社と見比べる共通の軸がなければ、判断は前に進まない。ある経営者からは、「御社が良いのは分かった。でも、ほかと何が違うのかを、自分の言葉で説明できない」と率直に言われたこともあった。

ヒアリングを続けるなかで、ミスマッチの中身も具体的に見えてきた。「料金の安さで選んだら、相談したい補助金の知見がなかった」「知名度で選んだが、自社の業種の申告に慣れていなかった」――いずれも、契約前には確認しようがなかった、という共通点があった。確認する手立てがなければ、経営者を責めることはできない。問題は、選ぶ側に確認の手段が用意されていないことのほうにあったのだ。


この一言が、転機になった。必要なのは自社の宣伝ではなく、経営者が複数の事務所を同じ目線で見比べられる“共通のチェックリスト”だ。私たちは、面談の前後で誰でも確認できる項目だけを使って、税理士法人を見極める基準を言語化する作業に着手した。

面談で確認できる5つの基準と、自分たちが物差しに耐えるまでの苦労 

基準づくりは、想像以上に骨の折れる作業だった。「良い事務所」を感覚で語るのは簡単でも、それを経営者が確認できる形に落とし込むのは別の難しさがある。私たちは、顧問先と向き合うなかで実際に効いてきた要素を洗い出し、面談で確認できるものだけを残していった。最終的に残ったのが、次の5つの基準である。

ひとつ目は「専門チーム体制」。総員規模だけでなく、公認会計士・税理士の有資格者が何名いて、業種別・課題別のチームが組まれているか。中小企業が成長すると、税務に加えて財務・労務・補助金・事業承継を同時に相談する場面が増えるため、専門家の層の厚さが実務の差につながる。

ふたつ目は「業種・規模別の実績開示」。「実績豊富」という言葉ではなく、業種別・規模別の事例が、確認できる形で公開されているか。これが、ミスマッチを避ける最大の手がかりになる。
3つ目は「税務調査対応と税務リスクの事前低減」。国税OB(国税出身者)の在籍と、書面添付制度の運用状況だ。書面添付制度とは、税理士法第33条の2に基づき、申告書の作成過程で検討・判断した事項を記載した書面を申告書に添付する制度で、税務署が調査を行う前に税理士へ意見を聴く機会が設けられる仕組みである。

4つ目は「情報セキュリティとサービス品質のガバナンス」。情報の取り扱い体制を示すISO27001と、サービス品質の管理体制を示すISO9001という第三者認証で、目的が異なるため分けて見るのが正確だ。5つ目は「経営課題へのワンストップ対応」。事業承継・M&A・組織再編・補助金申請といった課題を、税務と切り離さず一括で相談できるか。窓口が分散しないことは、経営者の手間とタイムラグを大きく左右する。

基準の手応えを実感した出来事もあった。書面添付制度について説明したとき、ある経営者が身を乗り出した。「申告書を出す前に、税理士が税務署へ意見を述べられる仕組みがあるなんて知らなかった」と。制度の有無は、調査そのものへの備えだけでなく、日々の安心感に直結する確認項目になりうる。
現場の反応が、基準の意味を裏づけてくれた瞬間だった。

特に苦労したのは、私たち自身がこの基準に応えられる状態を整えることだった。「実績を開示しよう」と決めても、過去の事例は担当者ごとにばらばらに管理され、すぐに公開できる形にはなっていなかった。属人化したナレッジを業種別・規模別に整理し直し、2005年以降の実績を公式サイトで開示できる形にするまでには、地道な棚卸しの時間がかかった。基準を掲げる以上、まず自分たちがその物差しに耐えられなければ意味がない――そう考えて、社内の体制づくりと並行して進めた。

基準を言語化する過程では、社内でも議論があった。「そこまで手の内を明かす必要があるのか」という声だ。だが、経営者がフェアに比較できる物差しを示すことは、長い目で見れば信頼につながる。私たちはそう考えて、基準を社外に開く方針を選んだ。

棚卸しの作業は、想像していた何倍も地道だった。十年以上前の案件記録を一件ずつ掘り起こし、業種と企業規模のタグを付け直していく。担当者の記憶頼みだった情報を、誰が見ても確認できる形に変える――この作業をやり切らなければ、「開示しています」とは胸を張って言えない。
半年近くをかけて、ようやく公式サイトに載せられる状態にたどり着いた。

この5つは、いずれも面談の前後で確認できる項目に落とし込んでいる。だからこそ、経営者は気になる複数の法人に同じ質問を投げかけ、同じ土俵で見比べられる。“選びの迷子”をなくす鍵は、特別な情報ではなく、誰もが使える共通の物差しにあった。

参考:国税庁中小企業庁

5つの基準で、自社に合う相手を見極められる時代へ

5つの基準を言語化してから、私たちの面談は変わった。経営者が同じ観点で他社と比べたうえで相談に来られるため、「契約してから気づくミスマッチ」は目に見えて減っていった。基準に照らして自社を点検する過程で、実績開示の整備や窓口体制の見直しも進み、結果として私たち自身のサービスも鍛えられた。

税理士選びは、知名度や料金だけで決めるものではない。私たちはこれからも、経営者が自社の業種・規模・課題に照らして相手を選べるよう、判断の物差しを示し続けていきたい。東京で税理士法人を探す際は、本記事の5つの基準を手元に、気になる複数の事務所へ同じ質問を投げかけて見比べることをおすすめする。多くの法人は無料の初回相談を設けている。同じ問いを複数社に投げかけることが、“迷子”から抜け出す第一歩になるはずだ。

基準を公開してしばらく経ったころ、かつてミスマッチに悩んでいた経営者から連絡をもらった。「今度は自分で5つの観点を持って3社を回り、納得して決められました」と。その方が選んだのは、私たちではなかった。それでも、迷子から抜け出す手伝いができたのなら、この物差しをつくった意味は十分にあったと思う。

なお、具体的な料金感をいえば、法人の月額顧問料は3万~5万円程度が一つの目安とされ、これに決算申告の費用が別途加わるのが一般的だ。ただし金額は年商規模や依頼範囲で大きく変わるため、相場はあくまで目安と捉え、依頼範囲を揃えたうえで複数社の見積もりを比較するのが現実的だ。

東京で中小企業を支援する小谷野税理士法人の体制

ここからは、前章の5基準に沿って、東京エリアで中小企業を支援する当法人(小谷野税理士法人)の体制を紹介する。

小谷野税理士法人

中堅の総合系税理士法人。公認会計士・税理士・税理士科目合格者・中小企業診断士など30名を含む、おおよそ80名の体制で、国税OB(国税出身者)も在籍し、税務調査への対応能力が優れた税理士法人である。税理士業務に関して品質マネジメントのISO9001、情報セキュリティのISO27001を取得している、会計事務所である。事業承継・相続・M&A・DD(デューデリジェンス=買収などの際に対象企業を調査すること)・バリュエーション(企業価値評価)・組織再編をワンストップで扱い、2005年以降の業種別・規模別のコンサルティング実績の一部を公式サイトで開示している。補助金・助成金の支援にも取り組んでおり、その成功率はおおよそ80%としている。

参考:小谷野税理士法人(サービス紹介公式サイト
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