内省的に作り上げた前作から一転、今作には、友人たちと過ごす日常や車内で交わされた会話、その日にしか残せない空気までが生々しく刻まれている。
今回のインタビューでは、『HideAway』の制作環境や友人たちとの関係、各楽曲に刻まれた情景と言葉の背景を紐解きながら、ラップへの向き合い方の変化、世界を見据えた”野望”、さらには現在進行中のBenjazzyとのアルバムについて話を聞いた。
日常の空気を、そのままアルバムに
ー前回インタビューしたのは、1stアルバム『For A Reason』をリリースした直後でした。当時は「東京に引っ越してきて、人との距離感も考えるようになった」と話していましたよね。あれから約1年半が経ちましたが、今のマインドはどうですか。
めちゃめちゃフラットに音楽を作れてる感じがします。
ー生活リズムは相変わらず夜型なんですか。
制作は夜が多いので、昼夜逆転してる時のほうが何かが生まれることは多いですね。ただ、今回のアルバムは半々くらいでした。夜に作った曲もあれば、昼間にスタジオで友達と集まって作った曲もあったので。個人的には、前半は昼っぽくて、後半は夜っぽいイメージです。
ー前作では「テーマを決めず、自分の好きなものを見つめ直しながら作った」と話していました。
『For A Reason』を作っていた頃は、東京の光があまり入らない部屋で制作していたんですけど、今回は拠点も変わって、自宅でレコーディングまでやるようになりました。今回は遊びで録ったテイクをそのまま使っている曲も結構あります。その生感が、アルバム全体の統一感につながったのかなと思います。
最初のコンセプトとしては、普段友達と遊んでいる時に自然と流れているような音楽を作りたかったんです。車の中で聴いていた曲もこういうビート感のものが多かったし、自分も友達もそういう音楽が好きだったので、「そういうアルバムを作ろう」というイメージは最初からありました。
ー確かに車のイメージは強く感じました。「Back Seat」という曲もありますし、MVでも車に乗っているシーンがありますよね。車のドアを閉める音も印象的でした。
実は自分、車を持ってないんですよ。ジャケットに写っている黒い車は、高校時代からの友達の車で。
ージャケットに写っている3人はそのご友人なんですね。
そうです。Kenny The Toyと、高校時代からの友達です。
ーそのKenny The Toyさんも今作に参加されていますよね。
してます。アツいです。Kennyは中学で一緒にサッカーをやっていて、自分の隣のポジションで守備をしているやつでした。最近は曲もリリースしていますし、ライブではずっとサイドMCとして帯同してくれたりしています。
ー今でもよく一緒に遊ぶんですか。
お互い予定が合う時しか会えないですけど、このアルバムを作っていた頃はしょっちゅう会ってました。服を買いに行くことが多いですね。
ー「Marines Freestyle」のリリックにもKenny The Toyさんの名前が出てきますよね。
「Marines Freestyle」は、ZOZOマリンスタジアムでライブをしたあとに生まれた曲です。あの日、ライブが終わって帰ってきて、これは絶対に曲にしなきゃと思って、そのまま制作しました。曲の最後で車のドアを閉める音が入るんですけど、あれはライブの日、みんなで車に乗ってマリンスタジアムへ向かった時のイメージなんですよ。だから「Back Seat」からそのまま物語が続いている感覚ですね。
ー「Marines Freestyle」はBonberoさんの地元・千葉への思いも強く感じる曲でした。片平さん(担当A&R)の名前も出てきますよね。
あれは本当に曲を作っている最中の出来事で。「これは作るしかない」って言いながら書いていたら、隣に片平さんがいて。
ーいいですね。ZOZOマリンスタジアムで開催された「BLACK BLACK」というイベントでのライブの時のことですよね。
そうです。
ー今は「千葉といえばBonbero」というイメージもかなり定着してきたと思います。実際、あの日のステージはどうでしたか。
すごくうれしかったです。小さい頃から知っているスタジアムだったので、まさか自分がそこでライブをするとは思っていませんでした。20年以上千葉で育ちましたけど、実は地元のクラブシーンでずっと活動してきたわけではないんです。だから、千葉のシーンを引っ張ってきたeyden君たちと、ああいう舞台で一緒に立てたこともうれしかったですね。自分でも感慨深かったです。
ーリリックに「免許の更新も無いのに来ている幕張」というラインがありますよね。めちゃくちゃローカルで好きでした(笑)。
幕張って、千葉県民にとっては免許センターのイメージなんですよ。海浜幕張駅で降りて、みんな免許センターへ向かう。
ー一方で、「人の名前で仕事するカス」というかなり強いラインも印象的でした。実際にそういう出来事があったんですか。
ありました。あの日、俺とeyden君のところに連絡が来て、「Bonberoのマネージャーを名乗っている人がいる」って話になったんです。詳しく聞いてみたら、全然知らない人が、自分のマネージャーだと言って仕事をしていて。その人のことを本当にマネージャーだと思っていた人から連絡が来たりして、「大丈夫?」って聞かれたんですけど、こっちは「いや、知らないです」って(笑)。ライブ当日の出来事だったので、そのまま曲に入れました。
ー衝撃的すぎる……。そんなこと、本当にあるんですね。
自分もびっくりしました。名前を使って仕事を取ろうとしている人がどこかにいるっていう話で、普通に迷惑でしたね。
ーしかも、この曲はライブ当日に作ったんですよね。
そうです。帰って、そのまま録りました。リリックもすぐ書けて、デモもなく、その日に録ったテイクをそのまま使っています。たぶん全部で3時間くらいだったと思います。ビートも最初は別のものを使って仮で録っていたんですけど、聴かせたらuin君が「すぐ作ろう」ってなって、そこから完成まで一気に進みました。
ーライブ直後にそこまで集中して作れるのは驚きです。今回のアルバムは、自宅でレコーディングまで行った曲も多かったそうですね。
ほとんど一人で録っています。Kenny The Toyが参加している曲は横にいて、一緒に録っていました。例えば「Wassup」の掛け合いも、別録りじゃなくて一本のマイクで録っていて。「ワッサー」っていうガヤも、その場で録ったものをそのまま使っています。MIXはTAXONがしてくれたんですけど、「音が悪い」って言われたりしました(笑)。
ーアルバムとしては、制作期間はどれくらいかかったんですか。
だいたい1年くらいです。最初にできたのは「Yarudake」だったと思います。でも、その1年の間には完成まで至らなかった曲もたくさんありました。途中まで作って飽きちゃったり、「完成したけど違うな」ってなったり。
ー『HideAway』を聴いていて印象的だったのが、以前よりラップの間の取り方というか、詰め込みすぎず、余白を生かした乗り方になったように感じたんです。ラップの仕方など、少し変化を意識したところはありますか。
変わったと思います。今回は生で聴いた時に気持ちいいグルーヴを意識しました。だからライブで聴くと、案外アゲなんだな、みたいな。印象が変わると思います。
ー確かに、最初は渋くてかっこいい作品だと思ったんですけど、何度か聴くうちに沸々とアガるポイントが多い作品だなと感じました。
結局、自分はアガる曲が好きなんですよ。だからどこかで自然とそうなるんだと思います。好みの音楽が割とそういう方向だったりしたんで。
ーここからは収録曲について、リリックに込めた意味も含め、詳しく聞かせてください。まず、アルバム冒頭のイントロですが、八千代の民謡らしき曲がサンプリングされていますね。
そうです。八千代のふるさと祭りで流れる民謡で。「Cactus Flower」が地元について歌った曲なので、その前に地元の空気を感じられるイントロが欲しかったんです。
ーイントロが入ることで、一気にアルバムの世界に引き込まれる感覚がありました。Bonberoさんにとって、アルバムのイントロや1曲目って特別なんでしょうか。
今回は特に大事でした。自分が好きなアルバムって、2曲目や3曲目に代表曲が入っていることが多いんですけど、その前の1曲目でどう世界に入れてくるのかを見るのがすごく好きなんですよ。だから『HideAway』も、「イントロが欲しいな」と思って。実は納期ギリギリになってから急遽追加したんです。
日常で録っていたボイスメモも入れて。TAXONがスタジオ紹介をしている声だったり、片平さんが気付かないうちに録っていたボイスだったり、Kennyがくだらないことを話している声だったり。そういう日常の断片を集めて、一つのイントロにしました。
ー日常からボイスメモを録っておくのはいいアイデアですね。ちなみにBonberoさんが好きな作品で、イントロや1曲目が印象的だった作品が知りたいです。
最近の作品じゃないですけど、J. Coleの『2014 Forest Hills Drive』はやばいっすね。あと同じくJ. Coleの『The Fall-Off』の「29 Intro」から「Two Six」に繋がる部分は脳汁が出る。
ー分かります。確かに、J. Coleの作品はイントロでの世界観の作り込みが最高ですよね。作品の話に戻りますが、2曲目、「Cactus Flower」というタイトルも印象的でした。
一度デモを作ったあと、実は曲自体は作り直したんですけど、「Cactus Flower」というタイトルだけは気に入って残したかったんです。今って都会は特に情報の流れがあまりにも速い時代じゃないですか。3カ月前に出たアルバムでも、もう昔の作品みたいに感じてしまうことがある。そういう乾いた情報社会を、砂漠に例えました。その中でも咲く花として、サボテンの花「Cactus Flower」というタイトルにしています。だから〈五月蝿い都会で Take it low 咲くCactus Flower〉というラインにつながっています。
ー「Cactus Flower」はリリックで例えの表現が印象的でした。〈水ぶくれ撫でる感覚〉というラインが特に気になっていて。あれはどういうイメージなんですか。
例えば、めんどくさい人と話している時ってあるじゃないですか。「はい、そうっすね」って受け流してるけど、本気で会話しているわけじゃない。自分の中では、それって水ぶくれを破らないように、気をつけながら撫でている感覚に近いんですよ。ネガティブなことばかり言ってくる人とか、SNSの雑音とかも全部含めて、その感覚を表しています。
ーなるほど。それは嫌な感触まで伝わってきますね。
確か、メタファーについて書かれた本を読んでいた時期で、そういう比喩をいろいろ考えていたんですよね。ちゃんと覚えてはいないんですけど、その頃に出てきた表現だったと思います。
ーあと、〈最近歩く 小杉あたり Instrumental かけて探す〉というラインも気になりました。普段から歩きながら音楽を聴いて、リリックを考えることが多いんですか。
その日によりますね。お気に入りの曲ばかり聴く日もあれば、落ち着いた音楽だけの日もあるし、ラップを全然聴かない日もあります。このリリックを書いた時は、他のラッパーのインストを聴きながら、「俺だったらどうラップするかな」って考えていた時期だったんですよ。「この人はこういうグルーヴなんだ。じゃあ自分だったらこう乗るな」って。武蔵小杉あたりを歩きながら、インストを流して、頭の中でラップしていた情景を書いています。
客演と友人たちが映し出す、Bonberoの日常
ーそういうことだったんですね。次の「飛行機雲」では、EMI MARIAさんを客演に迎えています。コラボレーションの経緯を教えてください。
MV撮影の帰りの車で、片平さんと「女性シンガーを呼びたいよね」って話をしていたんです。その時にEMI MARIAさんの「Froze」を流していて、「この人です」って。自分の中ではもうその場で決めました。
ーリリックにも〈車内流した Froze〉というラインがありますよね。歌が返ってきた時はどうでしたか。
やばかったです。本当に、それしか言えないですね。
ーあと〈グリルズなくして〉というラインもありましたが、実際になくしたんですか。
なくしました(笑)。その頃にグリルズを両方なくしちゃって。その時は全然「まあいいか」とは思えなかったですね。3日くらいは本気で落ち込んでました(笑)。時間が経って、ようやく「また買うからいいや」って書けるようになったんです。
ー〈あの人が言ってたし 大事にし 寿司奢るSister〉というラインも印象的でした。誰の言葉なんでしょうか。
自分が18~20歳の間、SEEDAさんと一緒に制作していた時に、「お姉ちゃんいるの?」って聞かれたんです。「います」って答えたら、「仲いいの?」「仲いい方だと思います」って話になって。そしたら、「姉ちゃんは大事にした方がいいよ」って言われたんですよ。それがずっと頭に残っていて。実家にはあまり帰らないですけど、姉の誕生日には寿司を奢りました。
ー何歳違いなんですか?
3歳差です。向こうがどう思ってるかは分からないですけど、仲はいい方だと思います。
ー4曲目の「Back Seat」にはKee Roozさんが参加しています。前回のインタビューでも「一緒に曲を作りたい」と話していましたよね。
そうなんですよ。俺がもともとKee Roozのラップがめちゃくちゃ好きだったし、『ラップスタア』に出演した直後で、本人もやる気と勢いがあったタイミングだったんです。実は17歳くらいの頃から知っていて、一緒にフリースタイルをしたり、先輩の家に連れて行ってレコーディングしたりしていました。その流れもあって、バイブスも高かったし、「今しかないな」と思ったんです。それに、Kee Roozはグライムというスタイルがしっかり確立されていたので、「このUKサウンドを一緒にやりたい」と思って声をかけました。
ー本当にハマっていました。Kee Roozさんだから成立する曲だなと感じました。聴いていて気持ちいいところと気持ち悪いところが絶妙というか、本当に独特なラップスタイルですよね。
俺もそう思います。本当はもっと気持ち悪くしてもよかったんですけど(笑)。でも、彼なりにちゃんと曲として成立させてくれたと思います。
ー最後の掛け合いもすごく印象的でした。あそこはどうやって作ったんですか。
Kee Roozを家に呼んで、一緒に遊んだんですよ。その日は一日出かけたりして一緒に過ごして、夕方になって家へ戻ってきて、その流れのまま掛け合いを録りました。〈肌寒い夜に頂くステーキ 1日の終わりには美味い食いもん〉とか、人混みを歩いてる感じとか。全部、その日にあったことです。
ーKee Roozさんのリリックもすごく人間味がありますよね。「One Direction」から「Tory Lanez」まで出てきたり。すごい流れだなと(笑)。
そうなんですよ。ジャンルがバラバラで。One Directionを聴いていた時期もあれば、Tory Lanezも聴いて、そこからUKグライムまで行く。人生の流れがちょっと見えるっすよね。
ー実は前回のインタビューでKee Roozさんの名前を聞いてすぐ、その後ライブも観に行ったんです。本当に衝撃でした。
あいつのライブ、面白いですよね。バックDJがその場でビートをどんどん切り替えていくんですよ。Kee Roozは、その都度既存の歌詞をグライムのフロウにはめ直してラップしていく。向こうのグライムのライブではよくあるスタイルなんですけど。
ー日本ではなかなか見られないライブですよね。
本当にそう思います。「日本でこれが見られるんだ」っていう熱さがあります。ビートが変わるたびに、この歌詞をそこではめるのかって。
ーそういう背景を知ると、「Back Seat」の聴こえ方も変わりますね。一方で、次の「So Far」はまた雰囲気が変わりますよね。〈夢中に進んできた所で〉から始まるライミングが本当に最高でした。
この曲も、わりと一瞬でできました。2~3時間くらいですね。前にボツになったラインも少し使いながら書いた曲です。
ーどんな情景をイメージしていたんですか。
休日ですね。朝起きて、デロンギでコーヒーを淹れて。友達はまだ仕事だから、その終わる時間まで一人で過ごして、夕方くらいに合流する。そういう休日の空気感を書いた曲です。
ー〈ジャスコからイオン 稼ぐだけイーロン〉ってライン、やばいですよね。
人は変わるんで。俺のチェンジを一言で表した言葉です。ジャスコからイオン。
ーその後に「Wassup」が来る流れも、一日の時間軸のようになっていますよね。
「So Far」が朝から昼くらいまでで、「Wassup」がそこから友達と遊び始める感じですね。
ー歌詞も日記みたいなニュアンスがありますよね。買い物の話が出てきたり。
買い物はよく行きますね。服を買うことが目的というより、「どこか行こうぜ」って感じなんです。結局何も買わずに終わる日もあるし。でも、そういう日に限って音楽をたくさん聴いて、「今日なんか作れそうだな」ってなることが多いんですよ。今回のアルバムはそういう日にできた曲が多いです。
『For A Reason』は、「何事にも理由がある」というテーマがあって、一曲ずつちゃんとトピックを立てながら作っていました。でも今回は、そこまで意識していなくて。その日のノリとか、空気感とか、そういうものをそのまま残したかったです。一応、「HideAway」は隠れ家という意味なんですけど、自分たちが集まる場所だったり、一緒にいる友達だったり。そういう居場所みたいな意味も込めています。
「やるだけ」の先にある野望
ー続いて「Yarudake」について聞かせてください。すごくシンプルで力のあるタイトルですが、どんな意味を込めていますか。
本当にシンプルです。「やるだけだな」と。いろいろな言い訳やネガティブなことを思いつくタイミングはあるんですけど、毎回たどり着く結論は、「やるしかないじゃん」ってことなんですよね。友達ともよく「やるだけだろ」って言っていて。いろいろ考えても、結局は「やるだけっしょ」って。そういうニュアンスが強いです。
ー最近、ラップをする上でのモチベーションはどこにありますか。純粋に好きで作っているのか、それとも目指しているものや使命感があるのか。
根本には、野望があります。「野望」って言葉は壮大な感じがして好きなんですよ。友達が「野望が消える、やばい」みたいなことを言っていて、「夢じゃなくて、野望なんだ。いいな」と思って、最近使っています(笑)。
ーいいですね。具体的には、どんな野望ですか。
世界でももっと楽曲を広めていきたいです。海外のラッパーともコラボしたいし、これからもどんどん曲を作りたい。もちろん日本は母国なので、そこから目をそらすつもりはないです。その上で、海外の人たちにも自分の音楽を届けていきたいという思いが根本にあります。「この人と曲を作りたい」「この人と会ってみたい」という人もいるので、そこへ向かっていきたいですね。普段から野望から逆算して曲を作っているわけではないです。楽しく作る曲もたくさんありますし。「Yarudake」に関しては、「ぶちかましたい」という気持ちが強い曲ですね。
ー「Yarudake」はリミックスもありますよね。ACE COOLさんとCHICO CARLITOさんが参加されていて。かなり強烈な組み合わせですよね。
やばいです、二人とも。
ーCHICO CARLITOさんとは、以前インタビューした際に、一緒に飲んだことがあると話していましたよね。もともと交流があったんですか。
Skaai君との曲を五反田でレコーディングした時に、たまたまCHICOさんがそのスタジオにいたんです。そこで「飲もうよ」ということになって、朝までめちゃくちゃ飲んで。それで仲良くなりました。その後、CHICOさんの「The Best Kid」という曲に誘っていただいて、自分も参加しました。だから今度は自分からCHICOさんを誘いたいなと思って。もう一人呼ぶなら、ACE COOLさんだなと思って。絶対にぶちかましてくれそうだったので。
ーACE COOLさんはもともと交流があったんですか。
よく現場でも一緒になってましたし、自分がラップを始める前から曲を聴いていました。地元でもみんな好きだったので。ちゃんと知り合ったのは、Jinmenusagiさんたちと交流するようになってからだったと思います。会う機会が少しずつ増えて、展示会やライブにも行くようになりました。
ー長く接点がありながら、今回ようやく一緒に曲ができた。
そうですね。やっとできました。
ーラップに対してストイックな三人が集まった印象です。完成した時はどう感じましたか。
最高でした。考えていた通りになりましたね。楽しかったです。
左から、ACE COOL、Bonbero、CHICO CARLITO
ー9曲目の「Awake」は、中盤のフロウがかなり印象的でした。以前よりもラップがどんどん自由になっているように感じます。
これもKennyと買い物へ行った日の夜に録った曲です。本当に勢いで作りました。〈丹羽孝希〉とかも絶対今じゃないだろうと思いながら入れてるっすもん。卓球の人なんですけど。今だったら張本とかだろって自分でツッコミながらリリックに入れました。
ー自由でいいですね。今までにあまり聴いたことのないフロウで癖になりました。そして次の「10PM Feast」は、”午後10時のご馳走”という意味ですが。
そうです。去年のクラブツアーの時の話なんですけど、深夜ライブの時って、ライブ前の夜10時や11時くらいにみんなでご飯を食べるじゃないですか。ツアーを回った記録として一曲作ろうとなった時に、お酒で騒いでいるだけの曲は自分からあまり出てこなくて。それなら、ライブ前にみんなで食べる夜10時の食事をテーマにしようと思って、「10PM Feast」にしました。
ー昨年の夏頃に回った、8カ所ほどのクラブツアーの曲なんですね。ツアー自体はいかがでしたか。
いろいろおかしかったです(笑)。でも楽しかったですね。一緒にツアーを回った方たちとは、今でもご縁があります。クラブツアーなので身体はヘロヘロになりましたけど、いい経験になりました。
ー初めて行った場所もありましたか。
熊本や愛媛に行きました。熊本は、どこで食べてもご飯がおいしくて。クラブツアーの良かったところは、いろいろな土地のおいしいものを食べられたことですね。
ーアルバム制作やツアー以外も含めて、2025年はどんな一年でしたか。
正直、自分の中ではあまり好きな年ではなかったです。何をしていたのか、あまり思い出せなくて。いろいろなイベントに出たり、各地へ行ったりはしていたんですけど、やっぱり一番大きかったのは、このアルバムの制作とクラブツアーだったと思います。
ー活動自体はかなりしていたように見えます。
今振り返ると、割と動いてはいたので、それはそれでよかったと思います。ただ、自分としては音楽をきちんと形にできていない感覚がありました。もともとは昨年10月頃にアルバムを出せたらと思っていたのに、結果的に今年7月になったので。そういう意味では、少し苦しかった年ですかね。
ーそうだったんですね。楽曲の話に戻りますが、11曲目「Still Up」には、aimiさんが参加しています。どのような理由で声をかけたのでしょうか。
歌がすごく上手ですし、音数が少ないギター中心の曲だったので、R&Bの女性シンガーに歌ってほしいと思っていました。以前からaimiさんを知っていましたし、彼女は千葉出身でもあるんですよ。リミックスを除く客演4人のうち、Kenny The Toy、Kee Rooz、aimiさんの3人は千葉にゆかりがあります。そういう繋がりもありますし、この曲に合いそうだという、いろいろな観点からお願いしました。
ー楽曲には「トリピHouse」という場所も出てきます。Skaaiさんたちの住む家のことでしょうか。
そうです。最近はそこまで頻繁には行っていないですけど、ライブを観た後などに行かせてもらうことがありました。Sminoのライブを観た後、AG ClubのJodyが遊びに来ていたことがあって。自分もそこへ行って、Jodyとフリースタイルをしました。ギターとビートボックスに合わせて、みんな酒を片手に音楽をやっていて。「めちゃくちゃ音楽じゃん」と思ったのを覚えています。だからSkaai君へのシャウトも入っていますし、「Still Up」は思い出を振り返りながら、その時の光景を歌詞にしています。
ー楽しそうな思い出ですね。本編最後となる12曲目「Six」についても聞かせてください。〈GINZA SIX〉という言葉が出てきますが、タイトルの「Six」は何かにかかっているのでしょうか。
特に何かにかけているわけではなく、シンプルに「Six」です。GINZA SIXの前で、Aaron Mayというラッパーの『Chase』ってアルバムを聴いていたんです。それで「うわ、歌詞を書きたい」と思って、その場で書き始めました。ほとんどフリースタイルに近いというか。自分は、ふとした瞬間に急に歌詞を書きたくなって、そのまま書くことがあるんです。最初は曲名もありませんでした。
ー〈自分を縛ってるのは自分 本当のお前を誰も知らない〉というラインが印象的でした。
みんなもそうだと思うし、自分もそうだと思っています。今はSNSとかで、ステータスや、その人の器、内面の性格まで、いろいろなものが言語化されてしまうじゃないですか。数字も見えてしまう。だから自分にも言っているし、みんなにも言っています。見せかけの部分は多いし、「本当のお前を誰も知らない」。でも、別に知られなくてもいい。そういうことを考えていて、あのラインが出ました。
ー〈なくなっても忘れない 自販機のよう〉という比喩も、不思議と心に残りました。
自動販売機って、なくなっても忘れなくないですか? 地元でいつも買っていた自販機がなくなったら、俺は「ここに自販機があったんだよ」って説明できるんですよ。単純に、自分が自販機を忘れないタイプだったというだけなんですけど(笑)。
ーなんだか共感できるというか想像できるというか。なんてことないけど大事な存在って感じがして好きなラインでした。アルバムがリリースされたばかりですが、これからの予定などはありますか?
Benjazzyさんとの作品もこれから出るので、それに伴って各地を回る予定はあります。
ーBenjazzyさんとのアルバム制作についても聞かせてください。どんな作品になりそうですか。
めちゃくちゃラップです。普段以上にラップしているんじゃないかなと思います。すごく自信のある作品です。『HideAway』を出した後にこれを出すんだ、と思われるくらい、まったく違うノリになると思います。歌詞の書き方も変わりました。
ーまた違った魅力を見られそうですね。楽しみです!ありがとうございました。
<リリース情報>
Bonbero
2nd Album『HideAway』
配信中
https://bonbero.lnk.to/HideAway
Tracklist
1. Intro (prod. TAXON)
2. Cactus Flower (prod. docent)
3. 飛行機雲 feat. EMI MARIA (prod. uin)
4. Back Seat feat. Kee Rooz (prod. lucwhatscooking)
5. So Far (prod. docent)
6. Wassup feat. KENNY THE TOY (prod. docent)
7. Marines Freestyle (prod. uin)
8. Yarudake (prod. TAXON)
9. Awake (prod. TAXON)
10. 10PM Feast (prod. uin)
11. Still Up feat. aimi (prod. YGF BEATS)
12. Six (prod. esco)
13. Yarudake Remix feat. ACE COOL, CHICO CARLITO (prod. TAXON)
Bonbero(ボンベロ)
千葉県出身のラッパー。16歳のころからSoundCloudに楽曲をアップし始め、圧倒的なスキルとワードセンスが話題を呼び、全国的に注目を集める。ヒップホッププロジェクト・夜猫族所属。2022年11月にソロEP『Bandit』を発表。2023年2月にはApple Musicの新人応援プログラム「Up Next」に選出された。2024年2月にはBAD HOPの解散ライブで東京ドームの舞台に立ち、6月には自身2度目となる全国ツアーを敢行。8月にはSUMMER SONIC大阪に出演し、11月に1stアルバム『For A Reason』をリリース。2026年7月、2ndアルバム『HideAway』をリリースした。
X:https://x.com/bonbero8
Instagram:https://www.instagram.com/bonbero3_/
YouTube:https://www.youtube.com/@bonbero3


![VVS (初回盤) (BD) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51lAumaB-aL._SL500_.jpg)








