「最近は忙しくて、道端に咲く花や風の変化に気づく機会も少なくなっていますよね。でも本当は、季節って特別な場所に行かなくても感じられるものだと思います」と店主の苗村彰俊は語る。
先付けに登場するのは、平塚で水揚げされたエボダイ。干物として知られる魚だが、鮮度が落ちやすく、刺身で味わえる機会は多くない。そら豆やずいき、金糸瓜を添え、トマトの酸味を生かした出汁のジュレを重ねることで、暑い季節にふさわしい涼やかな一皿となる。お造りには鎌倉のアオリイカと初鰹を。初鰹は炙りと刺身の二種で供し、それぞれの異なる表情を楽しめる。添えるのは、一カ月かけて発酵させた行者ニンニクの醤油漬けや、小田原の下中玉ねぎを麹と合わせた発酵だれ。食材そのものだけでなく、時間が生み出す旨味も加える。焼き物は備長炭による神奈川区のヤングコーンや厚木のアスパラガスを、沖縄の海塩とともにシンプルに。素材の力が際立つ。締めは、ご飯と麺の二種類。三浦のタコと生姜、市内産の枝豆を炊き込んだご飯は、枝豆の茹で汁まで余すことなく使い、香りを閉じ込める。麺の出汁には、その日の料理で使った野菜の端材を活用。
〈関内 なむら〉を訪れる楽しみは、料理だけではない。玄関へ続く細いアプローチ、足元の石、視線をやわらかく遮る下地窓……。歩みを進めるたびに 景色が変わり、気持ちは少しずつ日常から離れていく。その体験は、まるで京都の町家の奥にある茶室へ向かう道のりのよう。 空間設計を手掛けたのは、茶道お家元の茶室や寺院建築も手掛ける"藤森工務店"。数寄屋建築の技術と思想を受け継ぎ、海外の茶室やラグジュアリーブランドの空間演出も手掛ける職人たちだ。
INFORMATION
⚫️関内なむら
住所:神奈川県横浜市中区弁天通二丁目二十八 ライオンズマンション関内103
TEL:045- 305- 6539
営業時間:ディナー17:00~21:00 ( ラストイン19:00)
※ 最初にご予約いただいたお客様のお時間から、いっせいスタート
ランチ( 水曜・土曜限定) 12:00~15:00
※ 12:00いっせいスタート
定休日:不定休
席数:7席
価格:コース1万6500円 ペアリング7700円
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