春ドラマ『10回切って倒れない木はない』(日本テレビ系)で主演を務めたばかりの志尊淳さんが、シリーズ第5弾となる映画『キングダム 魂の決戦』(7月17日公開)に新キャストとして登場します。

 志尊さんと言えば、2014年の主演作『烈車戦隊トッキュウジャー』(テレビ朝日系)、ゲイの青年役を好演した2018年の朝ドラ『半分、青い』(NHK総合)などを経て、可愛い・中性的といったイメージでブレイク。
ただ、近年の彼が放つオーラは、それらとは一線を画すもので、視聴者からも「雰囲気が変わった」との声が上がっています。

「まだ生きたい」志尊淳、一時は死を覚悟も…壮絶な経験で得た“...の画像はこちら >>
 今の志尊さんの演技からは、単なる美しさだけではなく、地に足のついた重心の低さや、割り切れない人間の濁りが感じられます。それには、過去の壮絶な経験が関係しているようです。

一時は死を覚悟。価値観を覆した経験に

 大きな転機となったのは、2021年3月。志尊さんは急性心筋炎・筋膜炎で入院となり、緊急手術を受ける事態となりました。一時はICU(集中治療室)で管理され、母親と共に医師から重い説明を受ける中で、彼は「死」をリアルに覚悟したと、後のトーク番組『おしゃれクリップ』(日本テレビ系)などで明かしています。

「まだ生きたい」志尊淳、一時は死を覚悟も…壮絶な経験で得た“俳優の凄み”と人生観
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 芸能界入りしたばかりの頃は、仕事に猛進し、17歳から家出をしたり、家族と数年間連絡を取らず、母親を泣かせたこともあったという志尊さん。

 そんな彼が、闘病を機に「伝えておけばよかった言葉」を考え、家族に毎日メッセージを送ったそうです。この「まだ生きたい」と強く願った経験は、彼の人生観を根底から覆したのではないでしょうか。

復帰後、『日本一の最低男』で見せた包容力

 復帰後、志尊さんは仕事中心の生活から「人との時間を大事にすること」へと重心をシフトさせました。かつての武器だった軽やかさは、人生の重みを知る強さに昇華されたのでしょう。この内面の変化が、スクリーンや画面越しに伝わる俳優としての重心を大きく変えたように思います。


 その変化が顕著に現れたのが、2025年1月のドラマ『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』(フジテレビ系)です。

 2人の子どもを持つシングルファーザー役で、自分達家族を利用しようとする主人公(香取慎吾さん)の未熟さや面倒くささまでも辛抱強く受け止め、彼を変えていきます。そんな志尊さんの姿は、視聴者に「人生を伴走してくれる人」という深い安心感を与えました。

人生が壊れていく主人公をリアルに演じる

 一方で、同年4月にW主演した『恋は闇』(日本テレビ系)では真逆の魅力を放ちます。柔らかな印象を逆手に取り、連続殺人の疑いがかかる青年として、笑っているのに何を考えているか分からない、近づきたいのに触れられない色気と危うさを表現していました。そんな彼にも、守るべきもののために信念を貫く強い意思が通っていたのです。

「まだ生きたい」志尊淳、一時は死を覚悟も…壮絶な経験で得た“俳優の凄み”と人生観
画像:「恋は闇」日本テレビ公式サイトより
 そして特筆すべきは、GP帯初単独主演となった4月期ドラマ『10回切って倒れない木はない』で見せた進化です。純愛の中にも波乱万丈が描かれる同作において、志尊さんは、清潔感や誠実さだけでなく、焦燥、矛盾、執着といった人間の負の側面までをも生々しく体現。

 愛する女性を前にしながら抗えない運命に屈する主人公として、自らを追い詰めた結果、目だけが笑っていない生気を失った表情を見せ、人が脆く壊れていくリアルさをまざまざと感じさせました。物語を単に明るく照らすのではなく、複雑な濁りを与えられる俳優へと進化し、主演として一段上のステージに上がったように思います。

志尊さんの人生と重なる『キングダム』のメッセージ

 そしてこの夏、彼は大ヒットシリーズの最新作『キングダム 魂の決戦』で、人気キャラクター・蒙恬(もうてん)を演じます。頭脳明晰で柔らかい物腰ながら、その裏に武骨さを隠し持つ蒙恬は、今の志尊さんが持つ品のある華と内なる深みを存分に発揮できる役どころでしょう。

『キングダム』で描かれるのは、決して「倒れない人」ではなく、「倒れてもなお、泥を啜ってでも進む人」。
志尊さんの人生にも重なります。

 命の危機に瀕したあの日から、一歩ずつ自らの足で歩みを進めてきた志尊さん。彼の演技に強く惹きつけられるのは、演じる役の向こう側に、一人の人間として血の通った「生への執着」が感じ取れるから。その深みを知った私たちは、これから彼が演じるどんな役の中にも、自分たちの弱さや希望を重ねずにはいられないでしょう。

<文/こじらぶ>

【こじらぶ】
ライター・コラムニスト。上智大学大学院外国語学研究科修了・言語学修士。ドラマ、男性&女性アイドル、スポーツ、エンタメ全般から時事ネタまで。俳優、アイドルなどのインタビューも。X: @kojirabu0419
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