サクラ食品工業(大阪府吹田市)は来年、創業50周年を迎える。2020年に新設した滋賀県の竜王工場ではOEMを中心としたポーションを製造し、消費ニーズを捉え着実に成長を続ける。
最近はインバウンド需要を狙った紙容器のミネラルウォーターが支持を得て新たな柱として育っている。藤原拓社長に50周年を迎える思いや、海外展開を含めた将来像を聞いた。

  ◇  ◇

――前期の概況を教えてください。

藤原 当社は1977年に創業し、来年8月に50周年を迎える。前期は増収増益と良い形で終わり、50期目である今期をスタートすることができた。

――増収増益の要因は。

藤原 ポーションが活況で牽引している。夏は飲料、冬は鍋物調味料として利用され、各メーカーが年間を通して訴求していることもあり、国内外で好調だ。

 少量で様々な味を試したいという消費者のニーズも捉えており、各社の研究開発によりバリエーションも広がっている。さらに、財布のひもが固くなった昨今は、外に出るよりも家庭内で飲食しようという生活防衛意識の高まりも背景にあるのではないか。

――紙容器のミネラルウォーター、「京乃水」シリーズはいかがですか。

藤原 外国人旅行者の多い宿泊施設や観光地を中心に導入が広がっている。
大阪・梅田の空中庭園で販売されているほか、羽田空港のラウンジでも多数採用されており、着実に実績を積み上げている。デザイン面も含め、当初からインバウンド需要を見据えて差別化を図った商品だ。日本の四季を感じてもらおうと、春夏秋冬に合わせパッケージも4種類揃えている。

 ホテルによっては600円で販売されるところもありペットボトルより割高だが、環境への意識が高いホテルや外資系のオフィスでは紙容器という点が評価され導入が進んでいる。

 また、この水は無菌包装のため、オペレーションには非常に高いレベルの品質管理が求められる。当社にとってはその経験をポーションやゼリーなど、ほかの製品に生かすことが重要である。環境への取り組みは、得意先にもわれわれにもメリットがなければ前に進まないし、続けることはできない。

――今後の見通しについては。

藤原 国はインバウンド6000万人を目標としているため、今後も拡大が期待できる。特に関西はIR開業を控えており、主戦場だと捉えている。富裕層が多い宿泊施設を中心に広げたい。

――そのほかの商品は。


藤原 コーヒーゼリーと抹茶ゼリーが首都圏の大手コンビニ店舗に導入された。

 この秋は新たに、大人のデザートシリーズを発売する。「ラム酒香るブランマンジェ」と「ショコラ・カフェノワール」の2品で、アルコール分1%の大人向けの商品だ。消費の二極化という中で、付加価値の高い商品として訴求する。

――海外展開について。

藤原 今年の春、45万人が集まるベトナムの展示会に出展した。今回はポーションのスポーツドリンクを出品し、手軽でおいしいと評判だった。

 商品を販売するだけでなく、将来的には製造拠点を設け、ベトナム国内やアジアに向け販路を広げたい。グループの海外戦略と合わせ展開する。

――来年の50周年に向けて。

藤原 50周年を迎えるにあたり、今期は原点回帰を新たな目標に掲げた。2020年に竜王工場(滋賀県竜王町)を新設したこともあり、われわれの業績は上向きで推移しているが、世の中の景況感は決して良いわけではない。
消費者の価値観は多様化し、ニーズも細分化している。だからこそ、食品に携わるわれわれは原点を見直すことが大事ではないだろうか。

 節目の年を前にして創業時のことを考えると、恐らく創業者は様々な思いを抱えながら従業員を率いてきたと思う。だが、その中でもお客様においしいもの、良いものを届けることを最優先していたはずだ。

 当社はBtoBが主なので、直接のお客様はメーカー、問屋、小売だが、それでもやはり最終消費者を見てもの作りをしなければならない。世代が変わり感性が変わっても、食品を扱うことの原点は変わらないし、変えてはいけないと考えている。

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