大きな代償を払う女性が増えている
今や美容目的で使う若い女性も珍しくなくなった、糖尿病患者向けの治療薬「マンジャロ」。これまでの我慢との闘いだったダイエットとは異なり、週に一度の注射だけで食欲そのものが消えるという効果から、“夢のような薬”としてSNSで爆発的に広まった。しかし、その“夢のような効果”に対し、大きな代償を払う女性も増えている。公認会計士の真鍋可奈子さん(仮名・38歳)が初めてマンジャロを手に取ったのは、’25年4月のこと。もともと整形や肌治療に1000万円ほどを課金してきたなか、美容医療の延長として使い始めたという。
「元の体形は164cm54kg。太っているわけではないけど、やっぱり街中にいる、もっと細いコがずっと羨ましくて……。そのストレスが緩和されるかもしれないとマンジャロを手にすると、ひと月でいきなり6kgも減ったんです。友人からも『痩せたね』と褒められて、やってよかったなと感じました」
だが3か月ほどたつと、ある違和感が真鍋さんを襲った。
「シャワー後に排水口に溜まる髪の毛の量が増えたように感じました。
ホラーな見た目の印象になってしまったため、ロングだったヘアは肩下ほどの長さまで切るハメに。美容師に希望の髪形を相談したら『毛量的に厳しいです』と言われました。現在は亜鉛サプリやミノキシジルを使って状態はやや緩和しましたが、いくら痩せていようが、ハゲてたらかわいくないなと実感しました」
食欲だけじゃなく性欲もなくなっていた
看護学生の坂本結衣さん(仮名・20歳)がマンジャロを手にしたのは、思わぬルートからだったそう。「バイト先のラウンジでは美容クリニックの看護師も働いていて、彼女は太客の医者と手を組んでマンジャロを業者から卸し、キャストたちに売りさばいてたんです。値段は正規ルートより5000円安いくらいで、打ち方の説明はYouTubeの解説動画が送られてくるだけ。犯罪っぽいなとは思っていたのですが、酒太りへの不安があったので試してみたんです」
’25年9月、最初の1本を打った翌朝は、寝不足のようなフワフワ感があったそう。とはいえ、着実に間食は減っていき、顔の肉がシュッとしたことに喜びを覚えたという。しかし、坂本さんはマンジャロの使用をひと月でやめるに至った。
「気づけば食欲だけじゃなく、性欲もなくなっていたんです。サークルの男に誘われたらすぐヤッちゃうタイプだったのに、性行為への興味がゼロになってしまって。自慰行為の頻度も週5回から、月1程度に激減しました。
マンジャロをやめてからもう半年以上たつのに、今でも性欲は戻らないまま。その影響で異性へのトキメキすらなくなってしまい、もはや恋愛する意味がわかりません。結婚願望だってあるのに、ちゃんとできるのかな……」
栄養失調で救急搬送まで
「芸能界入りした15歳の頃から数々のダイエット薬に頼ってきて、マンジャロは’25年の春頃に女優仲間に勧められました。美容外科のオンライン診療で簡単に手に入りましたね」
食欲は3日間でおにぎり1個というレベルまで落ち、体重は最終的に38kgに。周囲からは「痩せすぎて老けて見える」と言われたものの、本人はやっと手に入れた痩せた体を手放す気にはなれなかった。だが、彼女の思いに体はついていけなかった。
「立つだけで頭が真っ白になってふらつくようになりました。低血糖かなと思っていたら、とうとう友人の前で急に失神し、救急搬送されてしまい……。医者からは、栄養失調と脱水症状によるものだと指摘されました。あと、音も聞こえづらくなり、最初は持病のメニエール病のせいかなと思っていたんです。
でも、よく考えたら症状が出るのはいつもマンジャロを打ったあとで、何かしら関係しているのかもと。医師から低音難聴と診断されたこともあり、’25年12月には打つのをやめました。
「適切に使えば非常に有用な薬」
そもそもマンジャロは、糖尿病患者のための治療薬。糖尿病専門医の矢野宏行氏は、「適切に使えば非常に有用な薬」と話す。「血糖値を下げるだけでなく、体重減少も期待できるこの薬は、肥満を伴う糖尿病患者さんを寛解に導く可能性がある。ただし、そもそも減らしていい体重が少ない標準体形や痩せ形の人の場合は、脂肪だけでなく筋肉が落ち、栄養不足や体力低下に繫がることがあります。
今回登場した薄毛や性欲低下などの副作用についてはまだ医学的なデータはありませんが、脱毛には鉄分や亜鉛不足などが、性欲については極端な摂取カロリー不足による体の疲弊が関係している可能性はある。ほかにも、急性膵炎など命に関わる副作用も報告されています。
しかも、マンジャロが日本で販売されてからまだ3年。長期使用に関するデータは十分とはいえず、未知のリスクが潜んでいる可能性もある」
現在のマンジャロブームについて、矢野氏が何より危惧しているのは、その入手のしやすさだという。
「本来であればマンジャロは、診察で患者に肝機能や腎機能の異常がないか確認したうえで、少量から増やしていくべき薬。それなのに、現在の自由診療の場では、患者側が用量を自在に選べてしまう場合もある。最悪の事態を避けるべく、その仕組みは改善すべきだと思います」
マンジャロがもたらすリスクの全貌は、まだ明らかになっていない。
【セクシー女優 百合川みおり氏】
ACT所属。ジュニアアイドルやグラビアアイドルを経たのち、’23年3月にセクシー女優としてデビュー。初音ミクが好き
【糖尿病専門医 矢野宏行氏】
やのメディカルクリニック勝どき院長。著書に『ミスター血糖値が教える 7日間でひとりでに血糖値が下がるすごい方法』(アスコム)ほか
取材・文/週刊SPA!編集部
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