◆JERAセ・リーグ 巨人7―3ヤクルト(9日・東京ドーム)

 東京Dが大歓声に包まれる中、巨人・小笠原はベンチで控えめに拳を掲げた。2―3の6回を無失点に抑え、味方の反撃を待った。

直後に大城の同点打、岡田の勝ち越し打が飛び出し白星が手に入った。6回94球6安打3失点で今季2勝目。「大城さんがうまく引っ張ってくれたのと、野手がつないで点を取ってくれたので感謝の気持ちしかないですね」と頭を下げた。

 粘りを見せた。4回に安打や暴投で1死二、三塁としてモンテルの中犠飛で先制され、なお2死二塁では鈴木叶にスイーパーを左中間席へ運ばれる2ランを被弾。膝に手をついてうなだれた。「勝負にいくという選択肢は正解でしたけど打たれたので、同じ過ちを犯さないように」。それでも初回から最速148キロを計測した直球に多彩な変化球で持ちこたえた。移籍後初登板から4戦連続でクオリティースタート(QS=6回以上自責3以内)。橋上監督代行も「3失点はしましたけど最後まで粘り強く放って、勝ちがついたので非常によかった」とねぎらった。

 8月に入り夏の甲子園が開幕。東海大相模時代に聖地の頂点にも立った左腕。

その時から変わらない心がある。「野球は楽しくはない。中学から勝利至上主義のチームで、常に勝たなきゃいけない。逃げたいとか、たまには普通に野球をやりたいなと思う時もありました」。周りからの期待に応え、常に重圧のかかる中で立つマウンドに、苦しさを感じることもあった。

 それでも、伝統ある常勝球団から求められて加入を決意した。「僕からしたらこれは仕事。楽しさと仕事を一緒にしたらいけないと思う。それに『私利私欲』より『利他』。求められている方が活力になるし、達成感がある」。球団からかけられた期待の言葉、東京Dに集まるファンからの熱い声援―。その一つ一つが左腕の心の支えであり、原動力になっている。

 次戦は16日の古巣・中日戦(バンテリンD)の予定。「いい投手がいる中で中6日で回らせてもらえているのはある程度、信頼してくれているのかなと思う。その期待にしっかり応えられるようにしたい」。自分を必要としてくれる人たちのために、腕を振る。(水上 智恵)

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