8月5日にアメリカ大豆輸出協会(USSEC)のジム・サッターCEO(写真中央)とマイク・マクレイニー会長(写真左)がプレスカンファレンスを開き、世界各国のプレスが参加した。コミュニケーションディレクターのケリー・カー・エンスカット氏(写真右)が進行を務め、1つずつ質問が寄せられた。
サッターCEOは、「本日シカゴで『ソイコネクスト』が開幕した。米国内で開催する業界の最大規模のイベントで、世界中の皆さんに米国産大豆を紹介するとともに、USSECの活動や、世界各地のパートナー、さらには米国の生産者、輸出業者、各州の大豆協会などとの連携を示す絶好の機会となっている」と紹介した。
参加者数について、「今朝の段階で824人が登録しており、過去最多になる見込みだ。米国産大豆、そして世界の大豆市場、米国の大豆産業に対する世界的な関心の高さを示していると思う。市場予測では、世界の大豆需要は現在の2億4,700万tから、34年には3億1,900万tに増加するとみられている。需要増加を支える最大の要因は、世界各国のGDP成長だ。所得水準が向上すると、人々はより良い食生活を求めるようになり、肉類の消費が増える傾向がある。大豆は鶏肉、水産養殖、その他畜産物の生産に欠かせない重要な飼料だ。調理用油の需要も増えていく。一部市場では、バイオ燃料向け油脂需要も拡大している。大豆の需要は非常に有望な成長が期待されている」と説明した。
その上で、「米国産大豆は大きな役割を果たせる。米国産大豆は、含まれる栄養成分やエネルギー量に明確な違いがある。米国産大豆由来の大豆ミールを与えた家畜は、他産地の大豆ミールを与えた場合よりも良い成績を示す。データもあり、それを提供する用意がある。皆さん自身でも検証してもらいたい。米国産大豆によって、世界各国の鶏肉や水産養殖などの生産効率がさらに向上すると考えている」と話した。
〈SUSSマークは22カ国・1,200を超える製品に採用、米国大豆は価値で勝負〉
米国産大豆はサステナビリティを検証済みであることにも触れた。「USSECのSSAP(アメリカ大豆サステナビリティ認証プロトコル)は、第三者機関による独立した認証を受けている」と強調した。その認証大豆を使った製品のパッケージに表示できるSustainable U.S.Soy(SUSS)のロゴについて、「22カ国、100を超えるSKU、1,200を超える製品に採用されている。海外へ行く度に、そのロゴが付いた製品を見るのが楽しみだ」と述べた。
米国産大豆の優位性を支える柱の一つとして、「米国には優れた物流インフラがある。高速道路、鉄道、河川輸送、はしけ輸送が整備されており、農家は市場が必要とする時期に、大豆を確実に届けることができる。私たちは価値で勝負したい。
加えて、「USSECでは数年前から市場多様化戦略を進めてきたが、その成果が現れている。先週公表された米農務省の統計によれば、中国以外向けの米国産大豆、大豆ミール、大豆油の輸出は前年よりも9%増加した。過去最高だった前年をさらに上回っている。一方、中国も習近平国家主席とトランプ大統領の間で合意された1,200万tの購入コミットメントを履行した。さらに、新たな2,500万tのコミットメントに向けても順調に進展している。中国以外への輸出も拡大し、需要環境は非常に良好だ。さらに今年の米国の作付面積は約5%増加し、天候も概ね良好なため、過去最高の収穫になると楽観している。需要も供給も好調という望ましい状況だ」と話した。また、「世界では今後何十年にもわたり、たん白質と植物油への需要が増え続ける。米国産大豆はその両方を供給できる。しかも信頼性が高く、持続可能で購入者にとって十分な価値がある。
サウスダコタ州の大豆生産農家であるマクレイニー会長は、「私はUSSECに関わる数多くの生産者の一人として、大豆を栽培している農家だ。最前線で実際に大豆を生産し、可能な限り最高品質の大豆を作ることが私たちの仕事だ。それをできるだけ効率的かつ経済的に生産するよう努めている。特に大豆の品質向上に大きな力を注いでいる。さらに、大豆をきれいな状態に保ち、異物が混入しないように注意し、十分に乾燥した状態で出荷することを重視している。こうした点こそが、米国産大豆の大きな強みとして強調したい特徴だ」と述べた。
〈スーパーエルニーニョでパナマ運河の水位低下した場合、PNWが重要に〉
質疑では本紙から、今年はスーパーエルニーニョの発生が予想される中、潜在的な影響と可能な対策について。特に23~24年に起きたように、パナマ運河の水位低下によりガルフからの輸出に支障が出た場合、PNW(太平洋岸北西部)からの輸出需要が増える可能性があるか。また、改めてPNWの強みや優位性、輸出拠点としての中長期的な見通しについて尋ねた。
マクレイニー会長は、「私は気象の専門家ではないが、現在のところ、この現象が私たちに大きな悪影響を与えているとは感じていない。私の地域では、平年より暑い状態をもたらしている可能性はある。
サッターCEOは「一般的にエルニーニョは、米国の生産地域に雨を増やす可能性がある一方、東南アジアや南米の一部に問題をもたらす可能性がある。パナマ運河についての質問だが、エルニーニョによって、船舶を通航させるために利用できる水が減る可能性もある。そうなれば、数年前に水位が低下した時と同様に、船舶が南米南端を回る長い航路を利用することになるかもしれない。当然、燃料費と航海時間が増える。そこでPNWが重要になる」と話した。
PNWについて、「米国には成長する輸出拠点としてPNWがあることが強みだ。過去10年間、輸出企業はPNWに大規模な設備投資を行い、穀物輸出能力を高めてきた。ここ数年では、大豆ミールの輸出能力を拡大する動きもあり、最近ではAGP(Ag Processing)が大型施設を開設し、他の企業も設備を増強している。パナマ運河に問題が起きれば、PNWはアジアの顧客にとって非常に有力な代替ルートになる」と述べた。
一方で、「ただし、パナマもエルニーニョの影響を抑えるための準備を進めていると理解しているため、実際に問題が起きるかは分からない。
加えて、「PNWで増えるのは大豆そのものではなく、大豆ミールの輸出割合だと考えている。大豆輸出はおおむね現在の水準が続くと思う。ただし、パナマ運河の通航に問題が起きた場合には、大豆そのものについてもPNWの重要性が高まる可能性がある」と補足した。
〈農家の最大の課題は生産コスト、米国の大豆生産量増加は主に単収増〉
他国のプレスによる質問と回答を抜粋する。大豆生産者の立場から見て、大豆農業と世界のサプライチェーンの将来を形づくる最大の課題と機会は何かと問われ、マクレイニー会長は、「最大の課題は生産コストだ。肥料、農薬、種子の価格が上昇している。鉄鋼価格まで上がっており、その結果、農業機械の価格も上昇している。現在、私たちが直面する第一の問題は、こうした生産資材の価格だと思う」と話した。インドネシアからは、東南アジア市場と同地域への米国産大豆ミール輸出に関して質問がなされた。また、米国内で大豆の搾油量が増加すれば、大豆ミールの生産量も増えるが、東南アジアの利用者にとって、大豆ミール価格の低下につながらないかについても問われた。
サッターCEOは、「東南アジアは非常に活力があり、興味深い市場で重点的に取り組んでいる。
搾油量の増加については、「米国内の搾油量が増えると、輸出に回せる大豆そのものが減るのではないかという疑問もある。しかし、独立した予測機関によると、2030年代初めにかけて米国の大豆生産量は増え続けるとみられている。生産量の増加が搾油量の増加を支える一方、大豆輸出はほぼ横ばい、大豆ミール輸出は増加し、大豆換算の総輸出量は増える見通しだ。生産量に占める輸出の割合は、おおむね50%台半ばを維持すると考えている」と回答した。
マクレイニー会長は、「私はインドネシアを訪れ、飼料工場で多くの顧客と会ったが、米国産大豆ミールの品質を高く評価していた」と述べた。
生産量の増加について、「米国の大豆生産量が増えている点について補足すると、米国では作付面積そのものが大幅に増えているわけではなく、増えているのは主に単収だ。私が大豆栽培を始めた1986年、約40年前の平均単収は1A当たり25busだった。現在は約52busと2倍以上になった。今後も技術の進歩によって単収は上昇し続けると思う」と見通しを語った。
〈EUは今後も大きな輸入市場、世界の多くの地域に市場拡大の機会〉
オランダからは、EUは輸入たん白質への依存を減らす計画を進めている一方で、米国産大豆の大きな市場でもあるとした上で、EUの計画についての見解を聞かれた。
サッターCEOは、「EUの計画は新しいものではなく、以前から議論されている。一定の進展を遂げ、域内でのたん白質作物の生産を増やしてきた。ただしEUには、大豆よりも付加価値の高い農産物を生産するのに適した土地もある。また、EUの多くの土地は、必ずしも大豆生産に適していない。したがって、EUは今後も大豆の大きな輸入市場であり続けると思う」と述べた。
また、「EUについてもう一つ重要なのが、EUDR(EU森林破壊防止規則)だ。米国産大豆には、農家の取り組みに支えられた強い持続可能性の実績がある。EUがEUDRを本格的に実施するのであれば、米国産大豆はEUにとって有力で重要な供給源になれると考えている」と述べた。EUは23年、大豆などを対象に、森林減少に関与していないことの確認などを義務付けるEUDRを公布した。その後、適用開始は2度延期され、12月30日からの適用が予定されている。
別の国からは、中国以外でどこに市場拡大の機会があると見ているかについて尋ねられた。
サッターCEOは、「世界の多くの地域に機会がある。米州ではメキシコや周辺国で引き続き力強い成長が見られる。東南アジアではフィリピンの大豆ミール輸入が大きく増えている。他の国でも成長が見られ、インドネシアは貿易協定による輸出増加の可能性がある。北アジアでも出荷量が増えている。エジプトも急速に成長する米国産大豆市場となっており、アルジェリアも成長している市場だ。バングラデシュとパキスタンも年初には非常に強い需要があったが、最近は少し落ち着いている」と説明した。
その上で、「少数の市場だけに重点を置くのではなく、世界のさまざまな市場が購入を望む時に、米国産大豆を供給できるよう取り組んでいる」と述べた。
〈米国産大豆ミールは畜産業者の収益向上に、大豆油は精製しやすく不純物少ない利点〉
他の質問者は、過去1年で米国産大豆油の需要構造は大きく変化し、大部分が国内市場で消費されるようになったことに触れ、政策によって動いている市場だが、今後、米国産大豆油が再び国際的に取引される商品になる可能性はあるか質問した。
サッターCEOは、「現在の政策が続く限り、米国で生産される大豆油の大部分が国内で使われると思う。用途は再生可能燃料、工業用、食品用だ。ただし、大豆という形で多くの油を輸出している。例えば大豆を4,500万t輸出すれば、その中には約900万t分の油が含まれている。油として取り出されてはいないが、大豆の中に入った状態で輸出されている」と述べた。
パキスタンからは、中国産や南米産などの安価な選択肢がある市場では、買い手がより安い商品を選ぶ。最終消費者がサステナビリティを重視しない市場で、米国産大豆を選び続ける最大の商業的な理由は何か問われた。
サッターCEOは、「サステナビリティを重視せず、そのために追加費用を払わないという場合、最終的には、家畜飼料として使用した際に実現できる商品の価値が重要になる。米国産大豆には、栄養面で明確な違いがあると考えている。具体的には、エネルギー含有量、アミノ酸、家畜による利用性だ。米国産大豆から作られた大豆ミールを与えた家畜は、ほかの産地の大豆から作られたミールを与えた場合より良い成績を示し、畜産業者の収益向上につながると考えている。そこに価値がある」と力を込めた。
課題も挙げ、「その価値をサプライチェーン全体でどのように理解し、価格に反映するかだ。私たちはデータを提供し、共有する取り組みを進めている。最も重要なのは顧客が自分で試験することだ。養鶏業者が米国産大豆由来のミールと他の産地の大豆由来のミールを並べて比較すれば違いが分かると思う。米国産ミールを使う方がより多くの利益を得られると確認できれば、米国産が最安値でない時でも購入を続ける理由になる。私たちは、最安値になること自体を目標にしていない」と話した。
そのほか、USSECは今後、大豆ミールや大豆油の販売促進に関する新しいプログラムを実施するか問われた。
サッターCEOは、「大豆、大豆ミール、大豆油という大豆のすべての製品を対象としている。ここ数年、米国からの大豆ミール輸出が増加すると見込んでおり、ミールを重視する市場で活動を強化してきた。現在、多くの飼養試験を実施している。これらは大豆ミールの価値を検証する取り組みだ。私たちが大豆ミールのプログラムを行う場合、米国で搾油され、ミールとして輸出される場合だけを考えているわけではない。米国産大豆が欧州、中南米、その他の国へ輸出され、現地で大豆ミールと大豆油に加工される場合も、米国産大豆由来のミールだ。最終利用者に大豆ミールを届ける方法は複数ある。今後も、大豆ミールを重視したプログラムを続ける」と話した。
大豆油についても言及し、「米国産大豆から作られる油は、他の産地の大豆から作られる油とは異なる利点がある。米国の大豆は自然に乾燥する。大豆の水分は13~12%まで自然に下がるため、人工乾燥を必要としない。そのため、大豆ミールも油分も良好な状態に保たれる。油は精製しやすく、不純物が少ないという利点がある。世界の多くの国でこうした大豆油の利点を伝えるプログラムも実施している」と話した。
〈大豆油糧日報 2026年9月2日付〉









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