建築費の高騰により大規模修繕工事の費用も上昇している。東日本不動産流通機構が、2025年度に成約した首都圏中古マンションの管理費や修繕積立金について、分析した結果を見ると、管理費も修繕積立金も上昇しているが、とりわけ修繕積立金の上昇幅が大きい。

その実態を見ていこう。

【今週の住活トピック】
「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2025年度)」に関する調査結果を発表/東日本不動産流通機構
「【独自集計】都心9区・メジャーセブン分譲の新築マンション最新データ」を公表/さくら事務所

前年度比で1m2当たりの管理費は0.6%、修繕積立金は5.8%上昇

東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は、不動産会社間で不動産情報を共有するシステムなどを運用する指定流通機構で、首都圏を中心とした東日本を担当している。2025年度に同機構を通じて成約に至った中古マンションについて、年度ごとの管理費や修繕積立金などのランニングコストを分析している。

2025年度の首都圏中古マンション月額平均は、1戸当たりで管理費が1万3895円、修繕積立金が1万3910円だった。これを1m2当たりに換算すると、月額平均は管理費が平均217円(前年度比0.6%上昇)、修繕積立金が217円 (同5.8%上昇)となり、特に修繕積立金の上昇幅が大きいことが分かる。

■首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金の月額平均(1戸当たりと1m2当たり)

首都圏マンションの維持管理費が上昇、特に、都心新築の修繕積立金は6年で約67.2%増!

【画像1】出典:東日本不動産流通機構「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2025年度)」より抜粋転載

ちなみに、マンションの管理費は、日常の管理を円滑に進めるためのもの。内訳としては、管理会社への委託費、共用部の清掃費や水道光熱費、共用設備の点検など。一方、修繕積立金は、12年~15年など周期的に行われる大規模修繕工事を実施するために計画的に積み立てるものだ。

平均額を見ていくと、マンション価格は地域による差が大きいのに対して、管理費や修繕積立金の地域による差はそれほど大きくない。建物のメンテナンスに要する費用に、大きな地域差がないということだろう。一方、築年別や規模別では平均額に開きがあるが、これにはさまざまな事情が考えられる。

規模別について言うと、大規模なマンションほど共用施設などが多く、その維持管理に費用がかかることが多い。また、タワーマンションのなかには、特殊な形状をしていたり特殊な建築技術を使ったりしていることで、大規模修繕に費用がかかるものもある。

マンションごとに事情は違うが、これを踏まえた平均額となっている。

一方で、大規模なマンションは発生する費用を多くの戸数で分担できるので割安になる場合もあるが、50戸未満の小規模なマンションでは分担できる戸数が少ないため割高になる場合が多い。こういった事情が、管理費や修繕積立金に影響していると考えられる。

ただし、築年別となるとさらに事情が複雑になる。

築年数が新しいものほど管理費が高く、修繕積立金が低くなる事情とは?

管理費と修繕積立金の1m2当たりの月額の推移を築年別に見ていこう。
管理費(黒丸)と修繕積立金(白丸)の推移を見ると、建築後経過年数15年以下で管理費が上昇、修繕積立金が下落に分岐していることが分かる。(画像2内の赤囲み参照)

■建築年別の1m2当たり管理費・修繕積立金(月額)

首都圏マンションの維持管理費が上昇、特に、都心新築の修繕積立金は6年で約67.2%増!

【画像2】出典:東日本不動産流通機構「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2025年度)」より転載

まず、管理費については、近年特に人件費の高騰により上昇が続いている。新築時に管理費を設定する際に、築年の新しいものほど上昇額を反映しやすいということもあるのだろう。最近は物価上昇により、共用部の水道光熱費をはじめさまざまなものが値上がりしているが、それによりここ数年の管理費の平均額も一段と上昇していると考えられる。

次に、修繕積立金だが、ここ15年程度を境に下落トレンドにあるが、経過年数が短いほど修繕積立金が低いと見てはいけない。これは、修繕積立金の徴収方法による影響が大きいからだ。

徴収方法には、長期修繕計画に基づいて均等に積み立てる「均等積立方式」と、あらかじめ段階的に増額するように設定した「段階増額積立方式」がある。近年の新築マンションの多くは「段階増額積立方式」を採用しているので、当初の修繕積立金の額は抑えられているが、5年ごとなどに増額していく形になっている。

経過年数の短いマンションは増額前なので、修繕積立金が抑えられる傾向にあるが、5年を過ぎていくと増額が反映されて上昇することになる。ただし、抑えられるといえども、ここ数年は上向きに上昇しているので、最近の建築工事費の高騰ぶりがうかがえる。

新築マンションの都心9区の修繕積立金は6年間で約67.2%上昇!?

これまでは、中古マンションの維持管理費について見てきたが、ここからは新築マンションについて見ていこう。さくら事務所が独自集計により、都心9区の管理費と修繕積立金の月額平均を算出した結果をリリースしている。

首都圏マンションの維持管理費が上昇、特に、都心新築の修繕積立金は6年で約67.2%増!

【画像3】出典:さくら事務所「【独自集計】都心9区・メジャーセブン分譲の新築マンション最新データ」より転載

メジャーセブンとは、大手不動産会社7社(住友不動産、大京、東急不動産、東京建物、野村不動産、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス)のこと。さくら事務所では、大手不動産会社7社が2019~2025年に分譲した新築マンションを対象に、都心9区(千代田区・中央区・港区・渋谷区・新宿区・目黒区・品川区・世田谷区・江東区)の管理費・修繕積立金の新築時設定額を独自に調査・集計した。

都心9区ということなので、億ションやタワーマンションなども多く含まれていると思われるが、2025年の1m2当たりの管理費月額平均は、519.3円。前年比では1.4%増だが、6年前の2019年比では35.9%増にもなる。また、1m2当たりの修繕積立金月額平均は、221.5円で、前年比で28%増、2019年比では67.2%増になる。

新築マンションの管理費・修繕積立金の額は、分譲する側が決めているので、相場の上昇を反映しやすい。こ の結果を見る限り、ここ6年でマンションの維持管理に要する費用が高騰していることが分かる。

さて、建築資材の多くがナフサ由来の製品であることから、中東情勢の影響により、マンションの大規模修繕の工期に遅れなどが生じている。

建築資材の高騰はそれ以前から生じていたが、いまはナフサショックで供給が不安定となり、入手困難な状況だ。中東情勢はいまだに不透明で、今後も大規模修繕工事への影響が予想される。

これから分譲される新築マンションでは、毎月の修繕積立金がさらに増加することが考えられるし、すでに購入した中古マンションでも、長期修繕計画の見直しにより修繕積立金の値上げを余儀なくされることが考えられる。毎月のランニングコストに影響することなので、マンションの維持管理コストについては、常に関心を持つ必要があるだろう。

●関連サイト
東日本不動産流通機構「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2025年度)」
さくら事務所「【独自集計】都心9区・メジャーセブン分譲の新築マンション最新データ」

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