ゲストは、イーセットジャパン株式会社 代表取締役社長の永野智(ながの さとし)さん。イーセットジャパンは、スロバキア共和国発のサイバーセキュリティメーカー「ESET」の日本法人です。

ESETは1992年の創業以来、世界中のサイバー攻撃やコンピューターウイルスの研究・対策を続けてきました。フィッシング詐欺やオンライン詐欺が巧妙化するなか、サイバーセキュリティはもはや大企業や専門家だけのものではありません。今回は、ESETの技術と、セキュリティを「自分ごと」にしていく取り組みをうかがいます。

スロバキア発の“技術者の会社”

西田 イーセットジャパンがつくっているのは、セキュリティソフトウェアということでよろしいんですよね。

永野 はい。その通りです。

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西田 最近、スパムメールが本当に増えてきているんです。PayPayの支払い画面のようなところに飛ばして、微妙な金額を振り込ませようとするものもある。騙し方がすごく巧妙になっていますよね。まずは、イーセットジャパンについて教えてください。

永野 イーセットジャパンは、スロバキア共和国のサイバーセキュリティメーカー「ESET」の日本法人です。1992年に創業しました。創業者は3人の開発者で、現在も株式を公開していない独立した会社です。

西田 いわゆる、IT系の売買の嵐には巻き込まれていない。ヨーロッパならではの、独立した雰囲気がありますね。

永野 イーセットジャパンは、2018年にキヤノンマーケティングジャパン様との共同出資の形で設立されました。国内での販売は2000年代初頭から行っており、現在は法人向けと個人向けの両方にセキュリティソリューションを提供しています。

西田 ESETという名前には、どんな意味があるんですか?

永野 エジプトの女神イシスに由来しています。スロバキア語の読みが「ESET」なんです。

重くならないのにちゃんと守る。ESETが大切にする、日常を止めないセキュリティ

西田 守る女神なんですね。ESETのロゴは薬のカプセルのようにも見えます。

永野 創業者たちが最初につくったアンチウイルスソフトウェアには、「NOD」という名前がついていたのですが、これが「病院」に由来する名前で、ウイルスにかかったものを治すというイメージもあったんです。

西田 まさに薬のイメージですね。ただ、今のセキュリティソフトは、かかってから治すというより、かかる前に予防することが大事になっていますよね。

永野 おっしゃる通りです。

以前はパソコンを守ることが主でしたが、今はスマートフォンやクラウドサービスなど、守る対象が大きく広がっています。単なるウイルス対策ではなく、IT環境全体を守る形へと進化しているんです。

フィッシング詐欺は「見抜く」だけでは防げない

西田 最新のサイバー攻撃の状況は、どうなっているんでしょうか。

永野 身近なのは、オンライン詐欺やフィッシングと呼ばれる詐欺メールです。

西田 銀行や証券会社、配送業者を騙ったり、「Amazonですが、あと2,000円払わないと止まりますよ」といったメールが来たりしますよね。

永野 実在する銀行や配送業者を装ったメールやSMSが届き、「確認してください」とリンクへ誘導されます。その結果、IDやパスワードが抜き取られてしまうんです。

西田 IDやパスワードは、どう使われるんですか?

永野 盗まれたIDやパスワードは、他のサービスへの不正ログインなどに悪用されます。

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西田 それを防ぐためには、どんな対策が必要なんでしょう。

永野 重要なのは、一つひとつを完全に見抜くことではなく、前提として対策をしておくことです。たとえば、パスワードを使い回さないこと。同じパスワードを複数のサービスで使っていると、ひとつが破られたときに、ほかのサービスも危険にさらされてしまいます。

西田 とはいえ、個人の注意だけでは限界がありますよね。

永野 はい。そこで私たちが力を入れているのが「脅威インテリジェンス」と呼ばれる領域です。

西田 脅威インテリジェンス。

永野 世界中の犯罪集団が、どのような攻撃を仕掛けているのか。その情報をいち早く検知し、企業やユーザーの皆さんの防御に生かしていく取り組みです。

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西田 攻撃の兆候を先に察知して、備えるわけですね。

永野 はい。最近は、クリックした先がGoogleさんやYahoo!さんのような見慣れたサービスだと、つい安心してしまうケースもあります。ただ、その先に悪意のあるものが置かれていることもあるんです。

西田 Googleのクラウドに上がっているだけで、「場所がGoogleだから大丈夫」と思ってしまうわけですね。巧妙だな。でも攻撃する側からすると、無差別にばらまいて、少しでも引っかかればいい。

しかも自動でできるから、労力もかからない。

永野 そうですね。そのため、個人の方や、予算・人材・知識が限られている中小企業が狙われるケースも増えています。

“軽い”から、日常を止めずに守れる

西田 ESETの個人向けサービスには、どんなものがあるんですか?

永野 「ESET HOME セキュリティ」という製品があります。私どものホームページから無料でダウンロードでき、30日間お試しいただくことが可能です。

重くならないのにちゃんと守る。ESETが大切にする、日常を止めないセキュリティ

(イーセットジャパン公式HPより引用)

西田 セキュリティソフトにもたくさんありますが、ESETの特徴はなんでしょう。

永野 セキュリティソフトでユーザーの皆さんがいちばん困るのは、パソコンやスマートフォンの動作が重くなることだと思います。ESETは、通常の業務やインターネットブラウジングを妨げないよう、非常に負荷をかけにくい形でご利用いただけるんです。

西田 サクサク動かなくなると、セキュリティソフトを入れるのが嫌になってしまいますもんね。その軽さは、数値的にも実証されているんですか?

永野 はい。第三者評価機関による比較テストでも、軽快な動作性能が高く評価されています。

西田 どうしてそれができるんでしょう。

永野 私たちは、マーケティングや営業の会社というより、創業者も開発者であり、現在も技術主導で製品開発を続けている会社です。

エンジニアがいちばん嫌がるのは、自分の環境が重くなることなんですね。現在のグローバルCEOも、実際にソフトウェアのエンジンを開発した開発者のひとりでした。

西田 技術者の文化をしっかり持っている会社なんですね。

セキュリティを“自分ごと”にする

西田 サイバーセキュリティの重要性は、どうやって広めているんですか?

永野 セキュリティを難しいものではなく、自分ごととして捉えていただくことが重要だと思っています。

西田 家に鍵をつけましょう、というようなことですね。

永野 はい。普段はセキュリティのことをあまり考えていない方たちにも、セキュリティを知っていただく活動をしています。その一環として、ガールズメタルバンド「HAGANE」の皆さんにも、体験パートナーとして参加いただいているんです。

重くならないのにちゃんと守る。ESETが大切にする、日常を止めないセキュリティ

(イーセットジャパン公式YouTubeより引用)

西田 YouTubeを拝見しました。HAGANEの皆さんの、いい意味でのでこぼこぶりがすごかったですね。パスワードを覚えていなかったりする方もいれば、意識的に対策しているメンバーもいる。あれが現実ですよね。

永野 そう思います。自分ごととして捉えていただくには、気づきを得る機会を与え続けることが大切です。「これは気づかなかった」「これは実は危なかった」と知っていただく体験として、非常にいい取り組みになっていると思います。

西田 ネットの海に泳ぎ出すと、いろいろなところに行ける代わりに、いろいろなものに見られてしまうチャンスも与えている。最近、それを実感します。

永野 はい。

西田 最後に、今後の展望をお願いします。

永野 私たちの目標は、セキュリティを導入すること自体ではありません。安全であることが当たり前の社会をつくっていきたいと考えています。

重くならないのにちゃんと守る。ESETが大切にする、日常を止めないセキュリティ

西田 高度な専門人材や知識を持っている人たちだけではなく、中小企業の皆さんや、なかなかそこに人や予算を割けない方たちでも、セキュリティを使えるようにしたいと。

永野 はい。セキュリティを利用できる環境を広げていきたいです。サイバーセキュリティを、専門家だけのものではなく、誰もが安心して使える社会インフラにしていきたいですね。

西田 ESETは、NODというソフトウェアができてから、来年で40周年を迎えるんですね。サイバーセキュリティの黎明期から、ずっと戦ってきた会社だと感じました。

今日は、イーセットジャパン株式会社 代表取締役社長の永野智さんにお話をうかがいました。ありがとうございました。

永野 ありがとうございました。

重くならないのにちゃんと守る。ESETが大切にする、日常を止めないセキュリティ

(TBSラジオ『見事なお仕事』より抜粋)

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