政府の対応に消費者も作り手も、振り回されているお米ですが、そんな中、今日は、お米の生産者や収穫量を守る、新しいお米の作り方の話です。

水を張らず、乾いた田んぼに直接タネを蒔いてお米を育てています!

まずは一つ目の新しい作り方は、「節水型乾田直播」。どんな方法なのか?中部電力株式会社マルチユーティリティ本部、長谷川正恭さんに聞きました。

中部電力株式会社マルチユーティリティ本部 長谷川正恭さん

「田んぼに水を張らず、乾いた状態の田んぼに、直接タネを蒔いてお米を育てております。

メリットとしては大きく二つあります。一つは環境負荷の低さで、もう一つが生産性の向上です。環境負荷を低減する理由としては、温室効果ガスであるメタンの発生を抑えられるためです。節水型の乾田栽培ですと、水を張らないために土壌に酸素が豊富にあるため、メタン生成菌の活動が抑えられ、メタンガスの発生を従来の77%も削減することができます。もう一つの生産性におけるメリットについては、苗作りや水管理に関わる作業が少なくなるためです。これにより、10アール当たりの作業時間を、最大で60%も削減できると考えられております。

無事に昨年は収穫出来ました。自動車部品メーカーのデンソーさんの社食に、今年、昨年度のお米は販売させていただきました。5月18日から6月8日の期間限定で提供されたものとなるんですが、評判は良かったと。いや嬉しいですね。」

水無しでお米を作るの?と、ちょっとびっくりしましたが、畑のようなイメージ。水を張らず、乾いた田んぼに種を直接蒔いてしまう方法。

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<こちらが節水型乾田直播の田んぼ⁉ 写真提供:中部電力>
暑さにも、人手不足にも負けず!お米の新しい作り方!
<近づくとますます不思議な感じです 稲を育てているんです! 写真提供:中部電力>

水が無いことでメタンガスを約8割削減できるし、苗を育てて、田植えして、水を管理して、という作業時間が60%も削減できる。作り手の負担を減らして美味しいお米が作れる方法なんです。水が無いってすごいですね!

水が無いが故の大変さも!!

ただ、水が無いが故の大変さもあるんです。再び、長谷川さんのお話。

中部電力株式会社マルチユーティリティ本部 長谷川正恭さん

「やはり様々な課題、大変だったことはあるんですけれども、最も大きいのは雑草対策かなと考えております。田んぼに水を張ることで雑草が生えにくい環境になります。ですが、乾田での栽培ですと畑に近い状態のため、雑草のタネが発芽しやすく、雑草が次々と発生するという。一応、除草剤の散布はしておりました。それだけでは足りず、結構生えてきてしまいましたね。

もう一つは、去年ですと、特に暑いですし、雨が降らなかったという要因もありまして、水管理が大変となっておりました。昨年ですと、目標収量には残念ながら達成することはできなかったのですが、今年は、昨年の反省点を踏まえまして、様々な対策を講じて、精力的に取り組んでいるという形になります。」

雑草対策が大変だったんです。除草剤を使いましたが、雑草は強かった。肥料の養分を雑草に取られてしまい、6俵の収穫目標に対し、平均4.3俵でした。

しかし、昨年の収穫は、まだ水無しのコメ作り二年目。ぜひ改善して、方法を確立して欲しいです。

一回の田植えで二回の収穫を行います!

そして、もう一つは「コメの再生二期作」というもの。こちらは、どんな方法なのか。農研機構・中日本農業研究センター、チーム長の中野洋さんに教えていただきました。

農研機構中日本農業研究センター 研究推進部技術適応研究チーム チーム長 中野洋さん

「一回の田植えから二回の収穫を行う栽培方法なんですね。これ昔からある栽培方法で、二期作目のコメの収穫量は低くて、味も良くないというのがこれまでの常識だったんですけれども、我々、確立した技術を使うことによって、味の良いものをたくさん採ることができるということですね。

通常の栽培の1.4倍くらい。非常に大きな違いで、通常の二期作の場合一回田植えして、もう一回田植えして収穫するっていうケースに比べると、二期作目の田植えにかかる費用が全く必要がないんですね。田植えする必要がないっていうことは、種を買って苗箱に蒔いてそれを育てる、資材費、人件費、それが必要でなくなると。田んぼも一回収穫した後に耕して代掻きして、で、田植えに持って行きますから、そういった費用すべて必要ないってことで、低コスト化にとって非常に重要なんですね。ですから、生産者の収益性を向上させることができるわけですね。」

一回の田植えで、二回収穫できちゃうんです。豆苗やねぎを少し残しておいて、また成長してもう一回食べられますよね。

それが再生二期作。稲も収穫した切り株から新しい芽(ひこばえ)が出てくるんです。それを育てることで、二回収穫できるという方法。

暑さにも、人手不足にも負けず!お米の新しい作り方!
<一期作目の収穫後の様子 茎を長めに刈り取って二期作目の栄養を多く残します 写真提供:農研機構>
暑さにも、人手不足にも負けず!お米の新しい作り方!
<二期作目が実りました!!ホントに二回収穫できるんですね! 写真提供:農研機構>

コストも低く、作業量も増えず、収穫量を1.4倍に出来るのは、人手不足や高齢化する米作りの現場にとって、とても重要ですよね。

温暖化が進む未来に向けて、高温を利用する技術を!

ただ、稲のひこばえは寒さに弱く、ほとんどの地域で秋には枯れてしまうものだったんです。では、なせ、中野さんは、この再生二期作の研究をしたのか、伺いました。

農研機構中日本農業研究センター 研究推進部技術適応研究チーム チーム長 中野洋さん

「私がこの再生二期作の研究を始めたのは、実は20年以上も前で、その当時地球温暖化の影響でコメの品質が落ちてきたんですね。高温によってコメが白濁するっていうのが非常にクローズアップしてきて、それどうにかして防がないといけないっていうんで、高温に耐性を持つ品種っていうのが作られてきたんですね。あるいは栽培の方法でも、肥料を上手くやると白濁したコメが高温の条件でも減らせるよっていうような、技術開発っていうのが行われてきて、一定の成果が出てきたんですね。

で、そういった技術っていうのは、まあ高温に耐える技術だと思うんですね。だけれども、高温に耐えるだけだと、なかなか今後さらに気温が上がっていくっていうことだったので、それだけじゃダメだろうということで、高温を利用していくということも重要だろうと思って、その高温を利用した技術の一つとして、再生二期作の研究に取り組んだわけですね。」

みんなと違う対策の道を選んだんです。

稲の分野では、秋の気温が高くなる=ひこばえが枯れずに育つ。

つまり、再生二期作が上手くできるようになるだろう、と。そこで、その時のために、二回目も美味しくするために、収量を増やせるように、20年ものあいだ、技術を研究して、方法を確立した、というわけです。

中野さんが研究を始めた当初は、九州の南の方でしかなかなかうまくいかなかった再生二期作ですが、現在は、関東以西で再生二期作は行われており、北陸や信越などからも問合せがあるそうですから、いかに気候が変わったか、実感します。

温暖化も人手不足も深刻。こうした新しい技術に期待が高まりますね!

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』より抜粋)

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