7月28日(火)の夕方に起きた、熊本地震。宇城市と氷川町で震度7を観測し、今も被害の全容は見えていません。

なかでも被害の大きかった八代市に住む方に、電話で話を聞きました。八代市で学習塾を営む中村謙太郎さんです。

10年前よりひどい 近所だけで20軒倒壊

完全に10年前よりもすごく被害がひどくて。うちの近くでも家の1階が潰れてたりとか、鉄骨の家が斜めになってたり、潰れてる家だけでも見かけたのは20軒ぐらい。完全に木造の家だったり、鉄骨の家でも完全に傾いてたりとかいう状態なんですよね。ただ、本当に奇跡的に、今うちの近くで5軒潰れているところがあるんですけど、そこは誰も中には居なかったらしくて、あるいは外に出れたっていう話なので、死者は今のところ僕の周りでは聞いてないです。1時間ぐらい前までとにかく、ヘリと、救急車と、消防がずっと走ってて、助けてもらってたっていう状態です。

中村さん、地震のときは授業の真っ最中だったそうですが、中学生の生徒さん10人は、けがもなく無事だったそうです。ただ、ご自宅は蛍光灯が落ちたり、タンスが倒れたりして、中に入れない状況。いまは車中泊を続けています。

そして、「水」と「電気」も深刻です。熊本県によりますと、八代市と隣の氷川町では、あわせておよそ「2万8500戸」が断水(29日午前時点)。近所の自動販売機は売り切れ、コンビニも閉まっていて、開いているドラッグストアは1時間待ちの長蛇の列。

飲み物が手に入らないため、地域を巡回する「給水車」で水を工面しているそうです。電気も地震発生から丸一日、停電。ちょうど話を聞いた昨日の夕方、中村さんの区画はようやく復旧しました。初日は明かりがなく、散乱した家の状態も見えなかったそうですが、少しずつ片付けを始めているといいます。

そして、もう一つ止まっていたもの。それが「情報」でした。再び中村さんです。

防災無線が鳴らず、情報が入ってこない

ちょっと市役所がなんか、いろいろとトラブったみたいで、防災情報も一切出なくて。なので給水車が一応一か所ずつ三十分ずつぐらいで回っているんですけど、市役所から入る情報それだけなんですよね。避難所も行ってみたら空いてたっていう状態だったり、情報が入ってこないので、停電になってるから行っても無駄だとか、トイレは結局使えないとかっていう噂だけ流れてですね、実際は使えたらしいんですけど。なのでほとんどのじいちゃんばあちゃんがやっぱり家の外で寝て、避難所に行かないっていう。で、もう余震が来るんですけど、もう大丈夫だろうとか言って家の中入ろうとするのでですね、それを止めるためにずっと一緒にいたっていう感じですね。

熊本震度7「ずっと救急車のサイレンが」電話で聞いた、被災地の...の画像はこちら >>

八代市役所は、庁舎の免震装置が壊れて、立ち入り禁止になっていたそうです。

その影響なのか、中村さんの住む地区では防災無線も聞こえなかったとのこと。正しい情報が来ない代わりに、「避難所は開いていない」「トイレは使えない」というような噂だけが広がっていたそうです。

その中でライフラインになっているのが、スマートフォンです。中村さんは、きのう電気が復旧するまで、車から電源を取って、何とかスマホをつないでいました。そうした中で今回の震災では、その充電を支える動きも始まっています。モバイルバッテリーのシェアリングサービス「チャージスポット」を運営する、インフォリッチの大橋南菜さんに聞きました。

震度6弱以上のエリア、無償でバッテリーが借りられる

インフォリッチ 大橋南菜さん

エリアでいうと、基本的には揺れが大きかったエリア、震度6弱以上に揺れたエリアと、熊本駅と桜町の周辺のバッテリースタンドを、しばらくの期間は無料で借りていただけるように設定をしております。連絡を取るのもスマートフォンが必要ですし、特に今だと自治体さんからの情報発信もスマートフォンがあった方が受け取りやすかったりとか、そういったこともあると思いますので、すごく重要性は高いのかなというふうには、この仕事をしていても感じてはおります。バッテリーなくなっちゃうってすごく不安だと思うんですよね。特に災害の時は不安だと思いますので、借りられるという安心感があることによって、精神的にも落ち着いていただけるところもあると思いますので、そういった安心感を作れるように取り組んでいければなというふうに思ってます。

「チャージスポット」は、駅やコンビニでモバイルバッテリーを借りて、別の場所で返せるサービス。今回、地震発生からわずか30分後に無料開放を発表し、熊本県内のおよそ100か所で無料で借りられるようにしています。

実は、こうした支援をもっと早く届けるため、今年6月から、業界内でも会社を超えた協力体制ができています。チャージスポットやアンカーなど、バッテリーを扱う8つの会社と、ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの大手携帯キャリア4社がタッグを組んで、避難所までモバイルバッテリーなどの充電機器を届ける、というもの。大橋さんによると、今回はまだ出番がないそうですが、今後は「モバイルバッテリーが救援物資として届く」、そんなことにもなりそうです。

(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』より抜粋)

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