この時期、あっという間に伸び放題になる雑草。やっかいものの「草刈り」を、みんなで楽しんでしまおうという動きが、いま各地で広がっています。

参加費を払って、草を刈りに行く「草刈りツーリズム」

まずは、鹿児島発の取り組みから。子育て支援団体「KADAN」の亀井愛子さん話を聞きました。

KADAN 亀井愛子さん

「草刈りツーリズム」という活動です。ツーリズムと名前がついているので、まさに観光旅行と絡めて草刈りを一緒にしているんですけれども。いろんなところでありますが、ブルワリーの草刈りをしたこともありますし、あとJRの駅の草刈りとかですね。あとは温泉、神社とか。初心者向けのところから、もう藪払いみたいなところもありましたし、様々ですね。正味2時間半ぐらいの作業で、割と若い方から女性までたくさん集まっていただけてるので、楽しいと思います。逆に参加費を払って参加していただいてるんですね。

草を刈りに、旅に出る。温泉つき、優勝賞品つきの画像はこちら >>
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旅行のついでに草刈りをする、のではありません。草刈りそのものを、旅の目的にしてしまう。亀井さんたちの団体は2020年からこの活動を続けていて、鹿児島を中心に、年間5か所でツアーを開いています。

参加者はまず、SNSで告知される募集を見て申し込みます。

当日は朝8時半に集合して、刈払機の安全講習と、注意事項の説明。それから作業に入って、休憩をはさみながら3時間ほどで終了です。作業のあとは、施設側の計らいでバーベキューや温泉、そのまま宿泊することもあるそうです。

それにしても、草刈りで人が集まるのか?と思いきや、毎回15~20人、多いときには30人、50人規模になることも。報酬は出ません。それどころか、参加費として1000円ほどを払います。それでも「草刈り隊」を名乗るリピーターは、140人ほどに増えているそうです。去年からは鹿児島だけでなく、京都や兵庫で「関西支部」も発足しました。

速さより「出来栄え」 草刈りの技を競う「草刈りサミット」

受け入れる地域側にとってはありがたい話ですが、もう一つ、千葉県で人気の草刈りイベントがあります。「中山間地域等活性化協議会」に所属する農家の、石井一雄さんに伺いました。

「中山間地域等活性化協議会」農家 石井一雄さん

草刈りサミットっつってね、要するに草刈りを棚田の一部でやってるんですよ。それぞれのチームが技を出して、草刈りの跡を競うわけですよ。早く刈ったとか遅く刈ったとかじゃなくて、刈った跡をね、非常に大事にしてるんですよ。

綺麗に刈ってあるかどうか。大体一位から十位ぐらいまで順位をつけるんですよ。それと、もちろん草刈りの動作と申しますか、要するに動きね。みんなやっぱり得意なスタイルを持ってますからね。そこが動作の差なんですよ。普通の農家の人が刈った草刈りの跡はですね、まず見事なもんですよ。草が綺麗に一定の方向に倒れててね。

この「草刈りサミット」、毎年秋に鴨川市内の棚田で開かれていて今年で9回目。ルールは2人1組。担当する区画をくじ引きで決め、刈払機を使って草を刈ります。

競うのは、速さではなく「出来栄え」。審査するのは、地元農家でつくる協議会の役員たちです。

草がきれいに一定方向へ倒れているか、隣の区画に刈った草を落としていないか、といった細かな仕上がりが求められます。

もともとは、農家の飲み会で出た「草刈りってスポーツだよね」という冗談から始まった企画。いまでは農家さんと一般の参加者が、ほぼ半々。九州から駆けつける人もいるそうです。

放っておくと、イノシシと猿の巣になる

農家さんは年に5回、草刈りをしなければいけないので、「そのうち1回でもやってもらえると助かる」と石井さん。ただ、それだけではありません。田んぼを荒れたままにしておくと、厄介なことにもなるそうです。再び石井さんです。

「中山間地域等活性化協議会」農家 石井一雄さん

私も昨年からお米を作りを、田んぼで作るのをもうやめたんですよ。だからしたがって今、田んぼの草刈りは大変なんですよ。要するに稲を作ってないから、その代わりに他の人にやっぱり迷惑かけますから。例えば隣の田んぼの人にもね、伸ばしっぱなしだと。

放っておくと、やっぱり草むらや竹やぶになっちゃってですね、特にイノシシ、猿、そういうのの巣になっちゃうんですよ。それをきれいにしちゃえば、当然イノシシは綺麗に見えちゃいますから、やっぱり自分でも見られたくないんですよ。イノシシ自体もね。だから出てこないということなんです。てことは、まず地元でもちろんやれる範囲で、草刈りやりますけども、限界がありますから。正直言って一般の人、草刈りに興味のある人を取り入れて協力してもらって草刈りをやろうと。まあよく言う百聞は一見に如かずって言葉がありますからさ、私、今こうして話すよりも一回見た方が実感的には湧くと思いますよ。

全国では、耕作放棄地が増え続けていますが、放っておくと、イノシシなどが身を隠す場所になってしまう…。ただ、高齢化が進み、農家を離れたあともなお「草刈りを続けられる人」は、減ってきています。だからこそ、外の力も借りたい。それが、この大会が生まれたきっかけ。同じ悩みを抱える、ほかの県からの視察も増えているそうです。

外から来た人には楽しい体験でも、農家にとっては毎年続く重労働。草刈りイベントの盛り上がりの向こうには、農村の厳しい現実も見えてきます。

(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』より抜粋)

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