チャールズ・マッケイやジョン・ハスマンのような人物が繰り返し指摘してきたように、ハイテク株や市場のミームブームが、基本的な常識や健全な評価基準、あるいは歴史に対するごく平凡な理解さえも置き換えてしまうと、「論理」など窓の外へ放り出されてしまうのだ。


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投資家は本来の企業価値よりも投機的な熱狂やマネーゲームに依存

 先週末と今日の下落で株式市場は取りあえず目先的な天井をつけた。現在の下げについては、目先のガス抜きか、本格的な調整相場に発展するのかは分からない。


ナスダック100CFD(日足)
株式市場は目先的な天井をつけたか!?
(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

S&P500CFD(日足)
株式市場は目先的な天井をつけたか!?
(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

日経平均CFD(日足)
株式市場は目先的な天井をつけたか!?
(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター  

TOPIXCFD(日足)
株式市場は目先的な天井をつけたか!?
(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

 AI企業の時価総額はすでに金融工学と称する「循環型金融ループ」で肥大化しているが、このスキームだと帳簿上の数字はあまり落ちないので、まだ上がる可能性もあるだろう。


エヌビディアとOpenAI:循環型金融ループ
株式市場は目先的な天井をつけたか!?
出所:The Coastal Journal

「マイクロソフトはOpenAIに130億ドルを拠出した。OpenAIはその資金をAzureを通じてマイクロソフトに還元した。マイクロソフトはこれを収益として計上した。アマゾンとグーグルも、Anthropicとの間で同様のループを回しつつ、AI企業の評価額から巨額の帳簿上の利益を計上している。OpenAIは年間600億ドル以上をコンピューティングに費やしている一方で、収益はわずか250億ドルにとどまっている。レイ・ダリオは、バブルの最終段階は実体経済ではなく偽りの資金フローによって駆動されると警告している。まさに、今まさにその様相を呈し始めている」


(出所:Rekt Fencer)


「アメリカの政界で前代未聞の出来事が起こった。トランプ大統領は記者団に対し、自身の政権が、AI企業が自社の株式の一部を米国国民に譲渡し、米国市民が実質的にAI革命のパートナーとなるという構想を積極的に検討していると語った。大統領は、この件について主要なAI企業すべてと話し合い、来週、それらの企業の代表者が全員ホワイトハウスを訪れる予定だと述べた。実際に議論されている内容の全容は以下の通りだ。サンダース上院議員は先週、「米国AIソブリン・ウェルス・ファンド法」を提出し、OpenAI、Anthropic、xAIなどの大手AI企業から連邦政府へ、株式の50%を一時的に譲渡することを提案した。

この基金は議決権付き株式を保有し、取締役会に同数の代表を送り込み、収益を現金として米国市民に直接分配することになる。これは強硬な案だ。トランプ政権の案はより穏健で、任意参加型のものだ。OpenAIのCEOサム・アルトマンは2025年初頭にトランプ氏にこの構想を初めて提案し、それ以来、ホワイトハウスでの会合を通じて推進してきた。2026年4月にOpenAIが発表した独自の政策提案では、さまざまな長期的なAI資産に投資し、市民が基金から直接リターンを受け取れるような公的ウェルス・ファンドの設立が提言されていた。現在議論されている仕組みは税金ではなく、むしろ自発的な株式譲渡である。企業は政府に株式を提供し、その見返りとして、有利な規制措置、政府との契約、そして「アメリカ国民はパートナーである」という政治的正当性を得る。OpenAIは現在、民間投資家から9,250億ドル以上の評価を受けており、今年後半にもIPOを行う準備を進めている。Anthropicも同様に1兆ドル近い評価額であり、来週上場するSpaceXは1兆7,500億ドルの評価額を目指している。これら3社だけでも、政府が1%の株式を保有すれば、米国国民が所有する株式価値は約350億ドルに達することになる。これは、今後数年にわたり、AI政策、AI企業の評価額、そしてこの分野のあらゆる企業を取り巻く規制環境を形作る政治的転換となるだろう」


(出所:StockMarket.News)


 トランプは今週、「全ての米国人に、人工知能企業から株式を与えたいと思っている」と発言した。米国は長年、中国を「政府が企業に参画する」と批判してきた。


 今、中国を倒すために、同じことをしている。筆者がずっと述べてきたように、これは「国家管理相場」だ。これによって、OpenAIの「大きすぎてつぶせない」という政府救済作戦は成功するかもしれない。OpenAIは損失を社会全体で負担させる必要がある。


トランプの最新ポートフォリオ
株式市場は目先的な天井をつけたか!?
出所:The Coastal Journal

「チャールズ・マッケイやジョン・ハスマンのような人物が繰り返し指摘してきたように、ハイテク株や市場のミームブームが、基本的な常識や健全な評価基準、あるいは歴史に対するごく平凡な理解さえも置き換えてしまうと、「論理」など窓の外へ放り出されてしまうのだ。一方、株式市場は常識や適正評価、そして健全な判断を無視している現在の米国株式市場を眺めていると、安っぽい笑い声が流れる、質の悪いシュルレアリスム映画を見ているような気分になる。あらゆる指標から見ても、S&Pは異常なほど過大評価されている」


(出所:Matthew Piepenburg)


 現在の状況は18世紀初頭にフランスで起きた「ミシシッピ・バブル」のひな形に酷似している。通貨インフレと資産投機を組み合わせて富の効果を偽造したが、国家による過剰な通貨発行は最終的に破綻の歴史をたどった。


 中央銀行による過剰な流動性供給(金融緩和)や財政拡大によって、企業の業績や実体経済の成長がないままに資産価格だけがつり上げられている状態で「カジノ化」した上昇相場では、投資家は本来の企業価値よりも投機的な熱狂やマネーゲームに依存するようになり、市場のボラティリティ(価格変動)が非常に大きくなる。


「仮想的な富の効果」とは、金融緩和や財政出動によって生み出されたバブル相場において、実体経済の成長を伴わずに資産価格(株価など)が上昇し、投資家や市場が一時的な錯覚によって浮遊感を抱く現象だ。


「仮想的な富」は帳簿上の利益にすぎないため、市場のセンチメントが反転したり、金融政策の転換(引き締めなど)が起きたりすると、一瞬にして消失するリスク(バブル崩壊)を孕んでいる。


6月10日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」

 6月10日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」は、土信田雅之さん(楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト)をゲストにお招きして、「スペースXのIPOとナスダック100指数への影響」「株式市場とIPO」「AIソブリン・ウェルス・ファンドが誕生か?」というテーマで、土信田さんと話をしてみた。

ぜひ、ご覧ください。


株式市場は目先的な天井をつけたか!?
出所: YouTube

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  ラジオNIKKEIの番組ホームページ から出演者の資料がダウンロードできるので、投資の参考にしていただきたい。


株式市場は目先的な天井をつけたか!?
楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー 看板画像

6月10日:楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー
株式市場は目先的な天井をつけたか!?
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(石原 順)

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