マーベル・テクノロジーの2027年1月期1Qは、27.6%増収、25.4%営業増益。AIデータセンター内やデータセンター間の広域連携に使う光相互接続関連製品が好調。
毎週月曜日午後掲載
本レポートに掲載した銘柄:マーベル・テクノロジー(MRVL、NASDAQ)
1.マーベル・テクノロジーの2027年1月期1Qは、27.6%増収、25.4%営業増益。
マーベル・テクノロジー(以下マーベル)は、光関連半導体、通信半導体の大手であり、カスタム半導体(特注型半導体)のメーカーでもあります。
マーベルの2027年1月期1Q(2026年2-4月期、以下今1Q)は、売上高24.18億ドル(前年比27.6%増)、営業利益3.39億ドル(同25.4%増)となりました。
今1Qのセグメント別売上高を見ると、データセンター向けが18.33億ドル(同27.2%増)と好調でした。前4Q比でも順調に伸びました。データセンター内の光相互接続(光インターコネクト)や、遠隔地にあるデータセンター間でAIが連携して推論を行う「スケールアクロス」のための光相互接続用製品が好調でした。
通信は、5.85億ドル(同28.7%増)と前年比では好調でしたが、前4Q比では低い伸びにとどまりました。
AIブームが生成AIからAIエージェントに移行するに従い、生成AIでは一つの指示に対して一つの「推論」が発生していたのに対して、AIエージェントでは一つの指示に対して複数の「推論」が発生するようになりました。その結果、データセンター内で情報の遅延が発生するようになり、これによって光インターコネクトなどの高速配線の需要が増加しています。
また、AIエージェントではCPUがこれまでよりも多く必要になりますが、これはNIC(Network Interface Card。パソコンやサーバーなどの機器をネットワークに接続するためのハードウェア)、PCIeスイッチ(PCI Express Switch。CPU、SoCとGPU、SSDなどを同時に接続・制御するための半導体デバイス)などのネットワーク機器、半導体の需要増加に繋がっています。
カスタム半導体では、NIC、CXL(Compute Express Link。CPU、GPU、メモリ、アクセラレータなどのハードウェア間で、メモリ空間を共有・拡張できる業界標準規格)関連が好調です。
表1 マーベル・テクノロジーの業績
表2 マーベル・テクノロジー:セグメント別売上高(四半期)
2.2026年3月、エヌビディアはマーベルとの提携を発表した。
2026年3月31日、エヌビディアはマーベル・テクノロジーとの20億ドルの出資を含む提携を発表しました。シリコンフォトニクス(シリコンウェハの上に光送受信機能を持った光回路を構築するのがシリコンフォトニクス。そのチップをGPUなどのプロセッサに直接接続して高速化したものがCPO(光電融合)である)で協業するほか、マーベルのカスタムAI半導体がエヌビディアのネットワークの中で共存できるようになります。
この提携の詳細は次の通りです。
第1は、光パートナーシップです。エヌビディアとシリコンフォトニクス技術で協力していきます。
第2は、NVLink Fusion 統合です。マーベルは、カスタムAI関連半導体と光半導体をエヌビディアのネットワーク規格であるNVLinkとシームレスに接続することができるようになります。この結果、ハイパースケーラーはプラットフォーム全体でカスタムAI半導体とエヌビディア製AI半導体(汎用AI半導体)を自由に組み合わせることができるようになります。これはハイパースケーラーの選択肢を増やすことになります。
第3は、AI RAN(AI Radio Access Network。通信基地局のインフラに人工知能を統合し、5Gや次世代6Gネットワークの能力を飛躍的に高める技術)です。マーベルの通信向け製品がエヌビディア製AI用GPUと直接連携できるようにします。これにより、通信事業者は5G、6Gと高性能AIの両方を同じハードウェア上で同時に実行できるようになります。
3.データセンター向け、カスタム半導体の両方が拡大へ。
今2Q会社側業績ガイダンスは、売上高27億ドル±5%(レンジ平均値では前年比34.6%増)、売上総利益率(GAAP(米国会計基準)ベース。以下同様)52.1~53.1%(今1Qは52.1%)、販管費9.6億ドル(今1Qは9.21億ドル)、完全希薄化1株当たり利益(EPS)0.37ドル±0.05ドル、完全希薄化発行済み株式数9.15億株です。
今2Qもデータセンター向けの好調が予想されますが、通信向けは今1Q比減収が予想されます。データセンター向けがマーベルの成長の主軸になると予想されます。
今2Q以降もデータセンター向けの好調が予想されます。データセンター間、データセンター内の相互接続製品は、スケールアクロス向けから、スケールアップ向け、スケールアウト向けまで好調が予想されます。
カスタム半導体の成長も予想されます。詳細は不明ですが、カスタム半導体(特注型半導体)のプロジェクトが進行中です。これらのプロジェクトはAIアクセラレータ(AI半導体本体)、AIアクセラレータの周辺半導体などが含まれると思われます。会社側ではカスタム半導体売上高が2029年1月期に100億ドル以上になるとしています。2027年1月期は推定20億ドル前後(前年比20%以上の伸び)、2028年1月期は40億ドル強になる見込みなので、大幅な増加が続く見通しです。
会社側は、今後の予想売上高を2027年1月期115億ドル(前年比40.3%増)、2028年1月期165億ドル(同43.5%増)としています。データセンター向け相互接続製品やその他の光関連製品だけでなく、カスタム半導体の成長が予想されます。
会社側の説明を受けて、楽天証券ではマーベルの2027年1月期を売上高115億ドル(前年比40.3%増)、営業利益20.5億ドル(同55.0%増)、2028年1月期を売上高165億ドル(同43.5%増)、営業利益37億ドル(同80.5%増)、2029年1月期(参考値)を売上高240億ドル(同45.5%増)、営業利益65億ドル(同75.7%増)と予想します。光相互接続関連製品の売上増加にカスタム半導体の伸びが加わることで、営業利益率が急速に上昇すると予想します。
注:「スケールアップ」「スケールアウト」「スケールアクロス」は、AIデータセンターの計算能力拡張の各段階を示す。「スケールアップ」は、サーバー(AIサーバー)内のAI半導体やCPUをより高性能なものにグレードアップする。「スケールアウト」は、同じ性能のサーバーを並列に接続する。「スケールアクロス」は、複数のAIデータセンターを広域連携する。
表3 マーベル・テクノロジー:セグメント別売上高(通期)
4.マーベル・テクノロジーの今後6~12カ月間の目標株価を410ドルとする。
マーベル・テクノロジーの今後6~12カ月間の目標株価を410ドルとします。
長期的な視点から、2029年1月期楽天証券営業増益率予想75.7%に対して、PEG1.0倍前後として、長期での想定株価収益率(PER)を70~80倍として、2029年1月期の楽天証券予想EPS5.38ドルに当てはめました。
中長期で投資妙味を感じます。
本レポートに掲載した銘柄:マーベル・テクノロジー(MRVL、NASDAQ)
(今中 能夫)

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