先週はAI・半導体株が急落→反転上昇→再び急落と乱高下し、26日(金)の日経平均株価は前日比3,005円安と歴代3番目となる下げ幅を記録。今週はAI株がいつ下げ止まるか、再び急騰モードに回帰できるかが焦点。

米国で発表される6月雇用統計など重要雇用指標が堅調過ぎると米国で早期利上げ観測が強まり、株価下落に拍車がかかりかねません。


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今週のトピック:ウォーシュFRB議長が欧州で発言。米国の6月雇用統計

日付 イベント 6月28日(日)まで ・米国・イランの終戦協議継続中もホルムズ海峡などで散発的戦闘発生 6月29日(月) ・12月期決算企業の中間配当の権利落ち日 6月30日(火) ・高島屋(8233)、J.フロント リテイリング(3086)が決算発表
・米国で6月消費者信頼感指数、5月雇用動態調査の求人件数 7月1日(水) ・2026年4-6月期の日銀短観
・米国で6月ADP民間雇用統計、6月ISM製造業景況指数
・欧州で米国のウォーシュFRB議長が発言 7月2日(木) ・米国で6月雇用統計 7月3日(金) ・米国市場は独立記念日の振替休日で休場

・人工知能(AI)半導体株の乱高下、非AI株の見直し買いが同時進行する「主役逆転」相場へ? AI株が本格調整なら日経平均株価6万5,000円割れも?


・7月2日(木)の6月雇用統計など米国の重要雇用指標が発表! 堅調な結果だと米国で2026年内の早期利上げ懸念が広がり、AI株中心に大幅続落の可能性も


・7月1日(水)に欧州でウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が発言。利上げに言及なら株価に打撃


6月29日(月)の日経平均

 前営業日比249円高の6万9,609円の反発スタートしたのもつかの間、一時1,300円超安の軟調な展開が続き前場は続落で終えました。後場では前営業日比800円安の6万8,000円台で推移しています。(6月29日10時現在)。


今週のマーケット:AI株が乱高下、非AI株の底上げに期待。米6月雇用統計が堅調なら株価急落も?
日経平均株価 チャート

  終値 前週末比 前週末比率 日経平均株価 6万9,360円 ▲1,889円 ▲2.65% TOPIX 3,963.3pt ▲81.6pt ▲2.02% ダウ 5万1,876ドル +311ドル +0.60% S&P500 7,354pt ▲146pt ▲1.95% ナスダック 2万5,297pt ▲1,220pt ▲4.60%

今週のマーケット:AI株は押し目か、バブル崩壊か?内需株、景気敏感株などバリュー株に見直し買い?

 ここまで飛ぶ鳥を落とす勢いで急上昇していたAI株は今週も激しい乱高下が続きそうです。


 先週のAI株急落のきっかけは、韓国の金融監督当局が半導体メモリの世界的企業SKハイニックス、サムスン電子の2社だけに連動するレバレッジ型上場投資信託(ETF)の激しい値動きに警鐘を鳴らしたこと。AI株の取引に規制がかかることを警戒して、韓国、日本をはじめ米国でもAI株が急落しました。


 先週、25日(木)早朝に発表された米国のAI向け半導体メモリメーカーの花形株、マイクロン・テクノロジー(MU)の決算は純利益が前年同期比15倍増という、予想をはるかに上回る好調なものだったことで、AI株は激しくリバウンド上昇。


 25日(木)の日経平均株価が7万2,366円の最高値を更新する原動力になりました。


 しかし、26日(金)に米国アップル(AAPL)がMacBookやiPadなどの製品値上げに踏み切ったことで、再びAI株は急落。


 26日の日経平均は前日比3,005円(4.15%)安と歴代3位の下落幅を記録し、26日夜の米国株が小幅下落したことから週明けも低調な値動きが続きそうです。


 相場の賞味期限は3カ月といわれることもありますが、半導体メモリの大人気株・キオクシアホールディングス(285A)は4~6月の3カ月で最大5.9倍まで値上がり。


 同社はAIデータセンター向け半導体メモリ販売が絶好調で、今期2027年3月期の最終利益が前期比9倍の5兆円まで膨らむ見通し(市場予想)であることが、熱狂的な買い安心感につながってきました。


 しかし、半導体メモリなどの価格高騰が今後のAI投資の意欲を減退させ、将来のAI需要を「食いつぶしかねない」という懸念が台頭。


 米国巨大IT企業アルファベット(GOOG)傘下のグーグルから数多くの有能なAI人材が新興AI企業に流出している報道も流れ、AI業界内の人材獲得・価格競争も激しくなっています。


 ただ、26日(金)の日経平均は歴代3番目の下落幅だったものの、「非AI株」といえる自動車株、資源株、建設・不動産など内需株、食料品などディフェンシブ株、銀行株など、幅広い銘柄が反発上昇。


 26日の東証プライム市場の値上がり銘柄は915で値下がり銘柄613を大きく上回りました。


 米国・イランの戦争終結に向けた60日間の協議が始まったことで、米国の原油先物価格は2月末のイランとの開戦前の水準となる1バレル69ドル台まで急落。


 今週末も中東では米国・イランの散発的な戦闘が続いていますが、原油価格の下落が続くようなら、非常に割安な水準まで売り込まれた景気敏感株や内需株の見直し買いが続く可能性も高いでしょう。


 特に先週は、5月の百貨店売上高が前年同月比10.8%増と2ケタの伸びを記録したことで、高島屋(8233)やJ.フロント リテイリング(3086)など百貨店株が急騰。


 両社は今週30日(火)に2027年2月期第1四半期(3-5月)の決算発表を控えているだけに続騰に期待がかかります。


 百貨店は高額品の販売が絶好調ですが、その一端はここ最近の株高で潤った日本の投資家たちの旺盛な高額消費によって支えられているといわれます。


 そのため、今後は高級時計ブランドのセイコーグループ(8050)、高額ブランド品買い取りのコメ兵ホールディングス(2780)など株高による資産効果関連株が盛り上がりそうです。


「日経平均は急落していても、保有している優待株、高配当株、連続増配株、割安好業績株は上がっている」と感じられる相場展開に期待できるかもしれません。


注目イベント:6月雇用統計など米国の雇用指標

 今週は30日(火)に5月の雇用動態調査(JOLTS)の求人件数、7月1日(水)に給与計算代行会社オートマチック・データ・プロセッシング(ADP)の6月民間雇用統計、7月2日(木)に6月雇用統計など、米国の重要雇用指標が相次いで発表されます。


 前回発表された、4月JOLTS求人件数は約2年ぶりの高水準で、5月のADP民間雇用統計も予想を上回る伸びでした。


 前回5月雇用統計の非農業部門雇用者数も前月比17.2万人増と3カ月連続で予想を上回り、今回6月は11.5万人増が見込まれています。


 先週発表された5月の個人消費支出の価格指数(PCEデフレーター)は前年同月比4.1%増と高い伸びでしたが、前月比が予想の0.5%を下回る0.4%の伸びだったため、7月早々の利上げ観測は後退しています。


 しかし、今回の6月雇用統計で雇用者数の予想以上の増加や平均時給の高い伸びが確認されると、7月29日(水)終了の米連邦公開市場委員会(FOMC)での超早期利上げ観測が台頭して、株価の足を引っ張るかもしれません。


 今週7月1日(水)にはポルトガルで開催される欧州中央銀行(ECB)フォーラムの討論会に、米国FRB新議長のケビン・ウォーシュ氏が参加する予定。


 その席での、ウォーシュ議長の発言も注目されます。


市場別マーケット動向

日本市場

 日本市場では7月上旬に、株価指数に連動した運用を行うETFの決算日が集中します。


 ETFは法律上、受け取った保有株の株主配当などを分配金として必ず分配しなければならず、7月上旬の売り圧力は総額1.7兆円に達するといわれています。


 中でも7月10日(金)が年1回の決算日に当たる「NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信」(1306)は日本銀行が大量保有していることもあり、純資産総額が33.8兆円と巨額なため、需給面で日本株の足を引っ張りそうです。


米国市場

 米国では、AI半導体企業から巨額のAIデータセンター向け製品・部品を購入する「ハイパースケーラー」(クラウドサービスを大規模に運営する企業)の株価下落が止まりません。


 グーグル親会社のアルファベット(GOOG)が6月に入って前月末比11%下落している他、ソフトウエアの死という面でも売られやすいマイクロソフト(MSFT)も17%安。


 AI・半導体株の覇者として株価急騰が続いたエヌビディア(NVDA)も6月は8.8%安とさえない展開です。


 6月に16.6%上昇しているマイクロン・テクノロジー(MU)、日本のキオクシアHDと提携関係にあり、23.3%高のサンディスク(SNDK)など半導体メモリ株を買うための換金売りが、こうしたハイパースケーラーの株価下落につながっているようです。


 収益に見合わない巨額投資は「バブル」です。


 米国ではAI新興企業のオープンAIの株式新規公開延期も報道されており、ハイパースケーラーのAIビジネスの収益性に対する疑問が再浮上すると、AI株の調整が意外と長引くかもしれません。


業種・銘柄の動き

銘柄 先週の騰落率 ポイント キオクシアHD(285A) ▲15.1% 先週は6週間ぶりに急落。今週も見切り売りで続落? J.フロント リテイリング(3086) +30.1% 物言う株主の浮上で急騰。今週の決算発表で続騰か アルファベット(GOOG) ▲8.9% AI人材流出など競争激化で巨大IT企業は今週も下落? マイクロン・テクノロジー(MU) ▲0.2% 純利益15倍の好決算も材料出尽くし。今週も乱高下?

先週までの振り返り:AI人気株が軒並み急落!百貨店株やコンテンツ株など内需株に見直し買い!

 先週の日本株の週間業種別下落率ワースト1位は情報・通信業。米国オープンAIに巨額出資するソフトバンクグループ(9984)が前週末比12.5%急落したことが響きました。


 光ファイバーの古河電気工業(5801)が9.3%安、電子部品向け銅箔の三井金属(5706)が13.2%安の非鉄金属セクターも下落率下位でした。


 AIサーバー向け積層セラミックコンデンサーの太陽誘電(6976)が13.2%安、半導体検査装置のレーザーテック(6920)が9.3%安など、多くのAI・半導体株が急落しました。


 一方、上昇したのは水産・農林業、食料品、空運業、小売業など、原油価格下落で原材料や燃料のコスト負担が減り、収益回復が見込める内需株でした。


 人気アニメキャラなどのクレーンゲームの売上が好調なラウンドワン(4680)が15.5%高、2027年3月期の営業利益15%増を見込むキャラクターグッズ販売のサンリオ(8136)が19.0%高となるなど、AI株急騰の陰で売り込まれてきたアミューズメント関連、コンテンツ関連株の上昇が目を引きました。


 キオクシアHDに抜かされて日本株の時価総額2位に後退したトヨタ自動車(7203)は0.3%安だったものの、26日(金)は前日比2.5%高と反発。


 トヨタ自動車はトランプ関税や中東情勢の緊張で今期2027年3月期の純利益が22%減に落ち込むことが嫌われ、2026年に入って前年末比17.5%も下落。


 株価純資産倍率(PBR)0.82倍と、会社の理論上の解散価値を株価が下回るほど下落しています。


 こうした非AIの主力株の割安さに注目が集まり、反転上昇できるかが7月以降の株式市場の注目ポイントでしょう。


セクター・業種(上昇・下落)

銘柄 騰落率 備考・要因 水産・農林業 +2.07% 原油価格下落による燃料費などコスト安定期待 食料品 +2.04% カラ売りポジションの買い戻しも上昇に貢献 空運業 +1.81% 中東情勢沈静化による国際線需要の復活期待 保険業 ▲4.45% 米国の長期金利低下、短期金利上昇で運用難 情報・通信業 ▲5.43% ソフトバンクG(9984)や大手携帯キャリア株が下落

(トウシル編集チーム)

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