バフェットは市場が過熱し割安な投資先がないと判断すると、何年もの間株式を売り越して現金を蓄える。「暴落する前に株を売り、暴落すると株を買う」という徹底した逆張り投資家である。
バフェットが現金比率を拡大するたび、市場はその後に急落を経験した
バフェットの現金比率のピークからの相場の急落…。このパターンはおおむね失敗したことがない。バフェットが現金比率を拡大するたび、市場はその後に急落を経験した。
1999年:現金比率50%→1999年暴落(ドットコムバブル崩壊):49%
2007年:現金比率60%→2007年暴落:(世界金融危機)58%
2016年:現金比率60%→2016年:(チャイナショック)下落率22%
2026年:現金比率75%→2026年:(AIバブル)下落率?%
ウォーレン・バフェットの現金の山(1992~2023年)
バークシャー・ハサウェイは現在、3,970億ドルの現金を保有している。バフェットは市場が再び投機的な熱気に包まれていると警告し、その見方を史上最大規模の現金保有で示している。ほとんどの人がこれに気づくのは手遅れになってからだ。
中央銀行による過剰な流動性供給(金融緩和)や財政拡大によって、企業の業績や実体経済の成長がないままに資産価格だけがつり上げられている状態で「カジノ化」した上昇相場では、投資家は本来の企業価値よりも投機的な熱狂やマネーゲームに依存するようになり、市場のボラティリティ(価格変動)が非常に大きくなる。
「仮想的な富の効果」とは、金融緩和や財政出動によって生み出されたバブル相場において、実体経済の成長を伴わずに資産価格(株価など)が上昇し、投資家や市場が一時的な錯覚によって浮遊感を抱く現象だ。
「仮想的な富」は帳簿上の利益にすぎないため、市場のセンチメントが反転したり、金融政策の転換(引き締めなど)が起きたりすると、一瞬にして消失するリスク(バブル崩壊)をはらんでいる。
マイクロソフトはOpenAIに130億ドルを投じ、その資金はAzureの利用料としてマイクロソフトに戻った。マイクロソフトはこれを収益として計上している。アマゾンとグーグルもAnthropicとの間で同様の循環構造をつくり、AI企業の評価額上昇に伴う巨額の帳簿上の利益を計上している。
OpenAIは年間600億ドル超をコンピューティングに費やす一方、収益は250億ドルにとどまる。
循環型金融ループ
「チャンスと絵は少し離れて見たほうがよく見える」「株は単純。みんなが恐怖におののいているときに買い、陶酔状態の時に恐怖を覚えて売ればいい」「時代遅れになるような原則は原則ではない」「近視眼的(マイオピック)な投資では理性を失い結果としてお金と時間を失う」「リスクとは自分が何をやっているかよくわからない時に起こるものだ」というウォーレン・バフェットの言葉を、われわれは今一度考えなくてはいけない投資環境の中にいる。
NYダウとバークシャー・ハサウェイの現金残高
バークシャー・ハサウェイは14四半期連続で株式を売り越し
AIバブルが過去のバブル崩壊を引き起こしたのと同じ集中度に到達
バフェットは、短期的な株価の変動には惑わされない。その企業が将来どれだけ利益を生むかという「本質的価値」を計算し、現在の株価がその価値よりも安い時にだけ投資を行う。多くの人が熱狂している時は慎重になり、パニック売りが起きて株が安値で放置されている時には大胆に買う。バフェットの「逆張り」の精神こそが、資産を大きく増やす鍵であろう。
バフェットは優秀な企業が目の前に現れた時だけ力いっぱい株を買い、適切な投資先がない場合は無理に手を出さず、大量の現金を温存して次のチャンスを待つ。
【バークシャーの年次報告書でレターを書くことも、株主総会で延々と話すことも、もうありません。英国風に言えば、私は「I’m going quiet 静かにする」つもりです。グレッグ・アベルが年末に社長に就任する。
彼は優れた経営者であり、疲れを知らない働き者で、誠実なコミュニケーション能力の持ち主だ。彼の長期にわたる在任を願う。そして、彼の故郷であり、バークシャーの本拠地のあるオマハについて、また彼の家族や長年のビジネスパートナーであったチャーリー・マンガー、交流があった人々の思い出を綴っている。マンガーについては60年以上にわたり、自分に多大な影響を与え、これ以上ない教師であり、守ってくれる「兄貴分」だったと述べている。お互いに意見の相違はあったが、口論になったことは一度もないと。
1930年、私は健康で、そこそこ賢く、白人で、男性として米国で生まれた。おお、幸運の女神様、ありがとう。私の姉妹たちは私と同等の知性と、私より優れた性格を持っていたが、全く異なる人生を歩むことになった。幸運の女神はその後も私の人生の大半に訪れてくれたが、90代の人間と付き合うよりやるべきことは他にもあるらしい。運にも限界がある。
老い始めるのは遅かった。始まりは人によって大きく異なる。
だが、いったん現れれば、否定はできない。驚いたことに、私は概ね気分が良い。動きは遅く、読書も次第に困難になっているが、週5日はオフィスに出勤し、素晴らしい人々と共に働いている。時折、有用なアイデアが浮かんだり、そうでなければ得られなかったかもしれない提案を持ちかけられたりする。バークシャーの規模と市場水準のため、アイデアは少ないが、ゼロではない。
おそらくは自己満足的な見方だろうが、私は人生の前半よりも後半の方が充実していると感じている。私からのアドバイスは、過去の過ちを悔やんで自分を責めるのではなく、そこから少なくとも少しは学び、前に進むことだ。成長するのに遅すぎることは決してない。適切なヒーローを見つけ、その人物を模範として欲しい。
偉大さは、莫大な富や名声、政府における強大な権力を蓄積することで生まれるものではない。何千もの方法のうち一人でも誰かを助けるとき、あなたは世界に貢献している。親切はコストがかからないが、同時に計り知れない価値を持つ。
宗教的であるか否かにかかわらず、行動の指針として黄金律に勝るものはなかなか見つからない。私は数えきれないほど無神経な行動を取り、多くの過ちを犯してきたが、同時に素晴らしい友人たちからより良い振る舞いを学ぶという幸運にも恵まれた。覚えておいてほしいのは、清掃をする人も会社の会長と同じく人間だということだ。
変わるのに遅すぎることはない。米国が君たちの可能性を最大限に広げてくれたことに感謝することを忘れてはならない。しかしその報酬の分配は、避けがたく気まぐれで、時に金に目がくらむこともある。自身のヒーローを慎重に選んで、その姿を模範とする。完璧にはなれなくても、常に日々より良い自分になれる】
出所:ウォーレン・バフェット「最後のバフェットからの手紙」
毎日が「始まりの日」、いくつになっても変わることができるし、何かを変えることはできる。相場でもうけることはもちろんであるが、相場を通じて彼の人生は名実ともに豊かになったということだろう。
「間違いは消え去り、勝者は永遠に花開く」
(ウォーレン・バフェット)
7月1日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」
7月1日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」は、愛宕伸康さん(楽天証券経済研究所 チーフエコノミスト)をゲストにお招きして、「歴史上のすべての危機は、通貨から始まり、通貨で終わる」「前人未到の円安相場」「日経平均は買われすぎ?」「大円安と大円高の2つのシナリオ」「ボラティリティと相場」をテーマに、愛宕さんの本音を聞いてみました。ぜひ、ご視聴ください。
ラジオNIKKEIの 番組ホームページ から出演者の資料がダウンロードできるので、投資の参考にしていただきたい。
7月1日:楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー
<セミナーのお知らせ>2026年8月1日(土)楽天証券為替・経済アカデミー札幌
2026年8月1日(土)10:30~15:20
札幌/オンライン同時開催
世界情勢が刻々と変化する今、表面的な情報に惑わされない「本質を見抜く目」が求められています。私たちは、2026年も札幌の地で、対面での開催にこだわります。為替・経済の本質を深く理解し、未来を自らの手で切り拓くための知恵と戦略を、この会場で共に学びませんか。
(石原 順)

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