NTT(9432)を長期投資で「買い」と判断しています。その理由は通信会社から次世代AIインフラ企業へ変貌を遂げつつある成長性、IOWN構想の独自技術、そして積極的な株主還元です。
NTT(9432)を長期投資において「買い」と判断しています。NTTはもはや単なる携帯電話の会社ではなく、次世代のAIインフラを握るグローバル・テクノロジー企業へと変貌を遂げようとしています。株主還元を下支えにしながら、将来的な値上がり益を狙える銘柄と考えます。
NTTを「買い」と判断する理由は以下の三つです。
[1]AIインフラ市場の拡大とデータセンター戦略
[2]技術的優位性のIOWN構想
[3]稼ぐ力と株主ファーストの姿勢
それぞれについて解説いたします。
[1]AIインフラ市場の拡大とデータセンター戦略
NTTに投資する最大の魅力は、通信ビジネスで稼いだ資金を、AIインフラ分野へ投資している点にあります。
現在、日本国内のスマートフォン向け通信インフラは、すでに成熟期に入っています。ドコモなどの携帯電話事業単体で大きく成長することは難しいのが現実です。国内通信事業の競争激化という懸念は、NTTの株価にとってネガティブです。
しかし、視点を世界に向けると、ChatGPTなどに代表される生成AIの急速な普及により、全く新しい需要が爆発しています。総務省の情報通信白書によれば、世界のAI市場規模(売上高)は、2031年には1,005億ドルまで拡大すると予測されています。これは2024年比で約5倍の予測です。
<世界のAI市場規模(売上高)の推移および予測>
AIを動かすためには、膨大なデータを処理するデータセンターと、それを結ぶ通信ネットワークが不可欠です。このデータセンターと通信ネットワークの両方を担っているNTTにとって追い風となります。その中でNTTはデータセンターへの投資を加速しています。
NTTは2026年4月、国内のデータセンター容量を2033年度には現在の3倍超の約1ギガワットへ拡張する計画を発表しました。
ここで注目すべき投資アイデアは、NTTの賢いお金の使い方です。自社で巨大なデータセンターを建設するだけでなく、完成した施設を不動産投資信託(REIT)やファンドに組み入れて売却することで、早期に投資資金を回収しています。これにより、借金ばかりを増やすことなく、得られた利益を次の新しい成長分野へと再投資する仕組みを作り上げています。
[2]技術的優位性のIOWN構想
現在、前述の通りAI市場の急拡大によって世界中のIT企業がデータ処理に伴う膨大な消費電力と通信の遅延という大きな壁にぶつかっています。NTTは、この世界的な課題を解決する技術を持っています。それが次世代の通信基盤である*IOWN(アイオン)構想です。
*IOWN(アイオン)構想:Innovative Optical and Wireless Networkの略。光技術を軸に「大容量・低遅延・低消費電力」を同時に実現する次世代通信・コンピューティング基盤
現在のインターネットは、データを電気信号に変換して処理しているため、どうしても熱が発生し、大量の電力を消費します。IOWN構想の核となるAPN(オールフォトニクス・ネットワーク)は、ネットワークの端から端までを全て光のまま伝送する技術です。
これにより、通信速度が圧倒的に速くなるだけでなく、消費電力を将来的にこれまでのネットワークの約100分の1に抑えることが可能になると期待されています。NTTは2026年度中にネットワークの電力効率を8倍に向上させるIOWN 2.0の商用化準備を進めており、世界中のAIデータセンターが必要とする省電力ソリューションの業界標準を握る可能性を秘めています。
[3]稼ぐ力と株主ファーストの姿勢
いくら技術的な構想があっても、足元の業績が不安定では安心して投資できません。しかし、NTTは極めて強固な財務基盤と稼ぐ力を持っています。
<NTTの連結業績概要>
2025年度の連結業績では、営業収益が14兆4,091億円と過去最高を更新し、さらに2026年度の業績では対前年比+6,509億円の会社予想となっています。
携帯電話事業は、販売促進費や通信網の品質改善コストの設備投資がかさみ一時的な減益となりましたが、下半期には他社からの乗り換えが純増に転じるなど、底打ちの兆しが見えています。1ユーザーあたりの平均単価(ARPU)も上昇傾向にあります。
NTTの最大の魅力は、株主還元への執念ともいえる姿勢です。現在まで、実に15期連続で増配(配当金を増やすこと)を達成しており、2026年度も1株当たり5.4円へと、16期連続の増配を予定しています。2026年7月27日時点で配当利回りは3.49%です。
<NTT配当額の推移>
さらに、2026年5月には総額2,000億円を上限とする大規模な自社株買いを発表しました。自社株買いは市場に出回る株数を減らすため、1株あたりの価値を高め、株価の下落を防ぐ強力なクッションとして機能します。
[4]投資家層の拡大とセクター比較
NTTは2023年に1株につき25株の大規模な株式分割を実施しました。これにより、少額から投資が可能となり、新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)制度の追い風も受けて個人比率が2023年3月末から2026年3月末で7.4%も増加しています。
<NTTにおける個人の議決権保有比率>
この厚い個人投資家層の存在は、海外投資家の売りを吸収し、株価の乱高下を防ぐ安定剤となっています。個人投資家にとって通信関連株は身近なインフラ株です。
ここで、国内通信の参考銘柄3社を比較してみましょう。
<通信参考銘柄指標比較>
<通信参考銘柄比較>
図表のようにソフトバンクは目先の配当利回りの高さが魅力ですが、国内事業への依存度が高めです。NTTは株価純資産倍率(PBR)1.29倍と比較的割安感がありつつ、グローバルなITインフラという成長エンジンを持っています。
[5]まとめ
現在のNTTは、通信会社からAIインフラ企業へ変わる過渡期にあります。先行投資を行っているため、一時的な利益のブレは見られますが、長期的な投資先として「買い」であると判断しています。
配当金も伸びていてかつ小口から購入できる買いやすさを生かし、受け取った配当金を1株単位で株を買える楽天証券のかぶミニ®などを活用して再び投資に回し、複利効果を高めるという選択肢もあります。
個別の株式投資をしたことがない方にとっても、インフラのディフェンシブ銘柄かつAI時代の中核技術を握る銘柄として、1株からの投資であればハードルが低いのではないでしょうか。
(茂木 春輝)

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