レビュー

「良い商品を作れば売れる」。かつては当たり前だったビジネスの「常識」が、今は通用しにくくなっている。

本書は、そんな時代において、人は何を応援し、何に集まり、何に対してお金を払うのか。その本質を、著者自身の実践を通して解き明かした一冊である。
著者の西野亮廣氏は、芸人でありながら、童話作家、映画・ミュージカルの製作総指揮、さらにはブロードウェイ作品の共同プロデューサーとしても活躍している。『映画 えんとつ町のプペル』ではコロナ禍にもかかわらず196万人を動員し、近年は「事業投資型クラウドファンディング」によって億単位の資金調達を実現するなど、既存の常識にとらわれない挑戦を続け、実績を出してきた。
本書で繰り返し語られるのは、「誰から買うか」の重要性だ。もはや優れた商品であるだけでは選ばれない。これからの時代に競争優位となるのは、商品そのものではなく、商品を届ける人やコミュニティーとの関係性である。
また、本書では「育成型集客」や「仕組み集客」といった考え方も紹介される。目の前の売り上げにふりまわされるのではなく、10年後のファンを育てること。人々の生活の中に自然と思い出される居場所をつくるなど、著者がこれまでの作品づくりやコミュニティー運営を通して培ってきた実践知が、具体例とともに語られている。
本書は、西野亮廣氏やその作品に興味のなかった人にこそおすすめしたい。ものづくりや集客・販売に携わる人や、コミュニティーを育てたい人、人が集まり、応援され、選ばれ続ける仕組みを学びたい人にとって、これまでに経験したことのないような多くの示唆を与えてくれる一冊である。

本書の要点

・事業投資型クラウドファンディングは、ファンと利益を分かち合いながら資金を集め、経営権を保ったまま挑戦を加速させる仕組みである。
・モチベーションは「行動の原因」ではなく「成功の副産物」である。環境を変えて試行回数を増やし、小さな成功を積み重ねることが重要だ。
・どれほど良い商品でも、思い出されなければ選ばれない。集客とは、人々の行動パターンの中に居場所を作ることである。



フライヤーでは、話題のビジネス・リベラルアーツの書籍を中心に毎日1冊、10分で読める要約を提供(年間365冊)しています。既に3,300タイトル以上の要約を公開中です。exciteニュースでは、「要約」の前の「レビュー」部分を掲載しています。

編集部おすすめ