ホルムズ海峡封鎖長期化で各国がエネルギー代替調達先として米国に殺到する状況下、北米原油関連企業の2026年4-6月期決算が発表されつつあります。石油・ガスの開発業界、輸送・貯蔵業界、掘削関連業界それぞれの決算発表済み企業について、業績とその要因を概観します。


北米石油開発企業各社:ホルムズ海峡封鎖影響で驚異的な好決算(...の画像はこちら >>

北米石油開発企業は驚異的な増益

 日本を含むアジア各国が、ホルムズ海峡封鎖で減少した中東原油の代替供給ソースとして米国に頼り、実際に米国からの輸入を大きく増やしている状況が、ホルムズ海峡封鎖以降続いています。この状況が業績期間全体にわたる、2026年度第二四半期(4-6月期)について、北米原油・ガス関連企業の既に発表された企業の結果を概括します。


 4-6月期決算発表済みの北米石油・ガス開発企業主要10社は、大幅増益の6社と、減益の4社に分かれます。


 大幅増益の6社は、エクソンモービル・ホールディングス(XOM NYSE)、シェブロン(CVX NYSE)、セノバス・エナジー(CVE NYSE)、ダイヤモンドバック・エネルギー(FANG NASDAQ)、オビンティブ(OVV NYSE)、アンテロ・リソーシズ(AR NYSE)です。


 これらの企業はいずれも主として原油とガスのうち、原油の生産比率が高い企業です。


 イラン戦争における世界的な原油需給ひっ迫を背景とした原油価格上昇(ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)価格は2025年4-6月期平均が約70ドル、2026年4-6月期平均が約100ドル)が、これらの企業の業績を押し上げ、前年同期比+49~385%という驚異的な好決算となりました。また、価格上昇を受けた原油増産も収益押し上げに寄与しました。


 他方、減益の4社はエクスパンド・エナジー・コーポレーション(EXE NASDAQ)、EQTコーポレーション(EQT NYSE)、レンジ・リソーシーズ(RRC NYSE)、CNXリソーシーズ(CNX NYSE)です。


 これらの企業は、原油とガスのうち、ガスの生産比率が高い企業です。


 2026年1-3月期にガス価格の低下を招いた、テキサス州とニューメキシコ州にまたがるPermian Basinでのガスパイプライン不足はパイプライン容量増加などによって改善したものの、原油増産に伴う随伴ガス生産増加が米国内での天然ガス価格低下(ヘンリーハブ価格は2025年4-6月期平均が約5ドル、2026年4-6月期平均が約3ドル)を招きました。


<北米石油・ガス開発企業10社の2026年4-6月期業績> 社名 証券
コード 取引所 売上高 増収率 当期純利益 増益率 百万ドル % 百万ドル % Exxon Mobil XOM NYSE 116,017 46 14,525 105 Chevron CVX NYSE 67,199 51 12,072 385 Cenovus Energy CVE NYSE 13,793 48 2,074 239 Diamondback Energy FANG NASDAQ 5,562 52 1,882 169 Ovintiv OVV NYSE 3,013 30 456 49 Expand Energy EXE NASDAQ 2,960 ▲20 522 ▲46 EQT EQT NYSE 1,765 ▲4 211 ▲73 Antero Resources AR NYSE 1,337 11 279 78 Range Resources RRC NYSE 760 9 195 ▲18 CNX Resources CNX NYSE 442 ▲18 203 ▲53 ※増収率、増益率は前年同期比
出所:各社資料より楽天証券経済研究所が作成。▲はマイナス

北米石油・ガス輸送・貯蔵企業はおおむね増益

 次に輸送・貯蔵に関連する企業について見てみます。


 4-6月期決算発表済みの北米石油・ガス輸送・貯蔵企業には、ONEOK(OKE NYSE)、キンダーモルガン(KMI NYSE)などがあります。


 これらの企業の2026年4-6月期決算においては、ホルムズ海峡封鎖による中東供給不安から米国からの代替調達需要が増加したことが引き続き追い風となりました。

ONEOKはパーミアン・バッケンの増産とNGL需要増を取り込んで輸送量が伸び、2桁成長を継続しました。また、キンダーモルガンはLNG向けガス需要増で輸送量が拡大し、増収増益となりました。


 全体として、中東リスクに起因する米国エネルギー需要の拡大が引き続き各社の業績を押し上げた四半期となりました。


<北米石油・ガス輸送・貯蔵企業6社の2026年4-6月期業績> 社名 証券
コード 取引所 売上高 増収率 当期純利益 増益率 百万ドル % 百万ドル % Enterprise Products Partners EPD NYSE 18,269 61 1,840 29 ONEOK OKE NYSE 12,049 53 966 15 Kinder Morgan KMI NYSE 4,477 11 863 21 Williams Companies WMB NYSE 3,053 10 827 51 DT Midstream DTM NYSE 343 11 112 5 Antero Midstream AM NYSE 350 8 113 ▲9 ※増収率、増益率は前年同期比
出所:各社資料より楽天証券経済研究所が作成。▲はマイナス

北米石油・ガス掘削関連企業は明暗が分かれる

 最後に石油・ガス掘削関連企業について見てみます。


 4-6月期決算発表済みの北米石油・ガス掘削関連企業には、SLB(SLB NYSE)、ベーカー・ヒューズ・カンパニー(BKR NASDAQ)、ハリバートン(HAL NYSE)などがあります。


 2026年4-6月期は、これら大手3社の間で明確な差が出ました。SLBは中東の混乱で複数プロジェクトが停止した影響などがあり、売上は微増ながら減益となりました。


 一方、ベーカー・ヒューズ・カンパニーはLNG設備やタービン需要が一服したことにより、減収減益となりました。ハリバートンは米国シェールの活動回復と利益率改善が寄与し、増収増益となりました。今後は引き続き、ホルムズ海峡封鎖を背景に米国原油の生産・輸出需要が高まり、米国比率の高いハリバートンが最も恩恵を受ける見通しです。


<北米石油・ガス掘削関連企業10社の2026年4-6月期業績> 社名 証券
コード 取引所 売上高 増収率 当期純利益 増益率 百万ドル % 百万ドル % SLB SLB NYSE 8,972 5 786 ▲22 Baker Hughes BKR NASDAQ 6,742 ▲2 681 ▲3 Halliburton HAL NYSE 5,714 4 534 13 TechnipFMC FTI NYSE 2,763 9 363 35 NOV NOV NYSE 2,134 ▲2 112 4 Whitecap Resources WCP トロント 1,950 87 643 187 Patterson-UTI Energy PTEN NASDAQ 1,228 1 ▲20 赤字 Weatherford Int’l WFRD NASDAQ 1,105 ▲8 39 ▲71 Liberty Energy LBRT NYSE 1,189 14 43 ▲39 Noble Corp NE NYSE 720 ▲15 ▲37 赤字 ※増収率、増益率は前年同期比
出所:各社資料より楽天証券経済研究所が作成。
▲はマイナス

(西 勇太郎)

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