人が多く集まる場所で、激しいせき込みなどの体調不良。そして、いわゆる“異臭騒ぎ”があった時に、どうすればいいのか。



東京消防庁OBで危機管理防災アドバイザーの田中章さんに聞きました。まず、大切なのは「ハンカチや服で口を覆う」こと。空気中に有毒ガスが含まれている恐れもあるので、空気自体をなるべく吸わないようにしてくださいということです。

そして、「高い所や屋外へ逃げる」。有毒ガスは多くの場合、空気より重いケースがあるので、高い所へ逃げてくださいと。そして、逃げる際「エレベーターは絶対使わない」。エレベーターが上下するスペースに有毒ガスが充満してしまうと危険だということです。

ショッピングモール特有のリスクについては、「不特定多数の客がパニックになり、避難時に将棋倒しになる恐れもある」。買い物の時は、非常階段の場所や出入口も把握しておいてくださいと話していました。

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“異臭騒ぎ”は過去にも…

過去の事例を見てみます。

6月10日、さいたま市の中学校で「催涙スプレーが噴射され、男女10数名ほどが気分が悪い」と言っていると119番通報がありました。生徒17人と職員1人が体調不良を訴え病院に運ばれました。さいたま市教育委員会によりますと、「現場で誤って催涙スプレーがまかれた」という情報もあるとのことです。

警察によりますと、催涙スプレーは不審者対応のために設置されていたとみられ、不審者や第三者の侵入情報はないということです。

そして5月25日、東京銀座の商業施設「GINZA SIX」1階のATMコーナーで、男が「カプサイシン」のような成分を含む催涙スプレーのようなものを噴射した後に逃走。29人が喉の痛みなどを訴えました。

2020年10月、名古屋市中区の地下鉄・金山駅の改札付近で、「シンナーのような臭いがする」と通行人から通報。周囲は一時騒然となりましたが、体調不良を訴えたり、病院に運ばれたりした人はいませんでした。駅構内の地上階で行われた、塗装工事の塗料の臭いが原因だったということです。

“異臭騒ぎ”の原因は?

“異臭騒ぎ”の原因は、事件・事故とさまざまです。

事件の場合、多くは防犯(催涙)スプレーの散布などが原因で、特に辛味成分「カプサイシン」のスプレーは、微量でも激しいせき込みや目に痛みを引き起こすということです。誤って催涙スプレーを散布してしまったということもありますが、意図的に噴射したということもあります。

せき込んだり、目に痛みが走るなと思った時は、カプサイシンのスプレーを疑うのも1つだということです。

一方、事故の場合は、老朽化などで空調・冷凍設備のガス・液体漏れが原因の可能性があり、当然ガスや液体の種類によって異なりますが、シンナー臭・オイル臭・アンモニア臭などがするそうです。

ただ、“変な臭い”の事件もあるので要警戒です。

“異臭”がしたらどこに逃げる?やってはいけない「NG行為」 プロに聞く正しい避難行動
CBC

現場で消防隊はどう対応する?

“異臭騒ぎ”があった場合、消防はどう対応するのか。

消防庁のマニュアルなどを参考に紹介します。

まず、装備は「ガス検知器」というものをレスキュー隊などが持っていきます。成分までは分からないそうですが、有毒かどうかが分かる検知器です。

そして、「化学防護服」に身を包み「ボンベ」などを背負うということですが、ここから「ゾーニング」というエリアの区分けをするそうです。「ホット」「ウォーム」「コールド」と分けられており、ホットゾーンが一番危険です。異臭騒ぎなどが起きている現場が「ホット」、次に危険なエリアが「ウォーム」、安全なエリアが「コールド」。

「ホットゾーン」では、危険の排除、倒れている人がいれば救助。ここでは一時的な救助で、ここから救急車で搬送されることは、ほぼありません。危険な薬品などが服や体に付着していた場合、すぐ搬送すると救急車内や病院内で二次感染があるので、すぐに「ウォームゾーン」に移動し除染を行うということです。

過去の事例では、被災者は簡易テントの中で全て服を脱ぎ、全身に水をかけられて除染。貸し出されたポンチョなどを着て「コールドゾーン」へ移動。その後、情報収集や救急車で搬送されるケースがほとんどだそうです。


手順については、発端は「地下鉄サリン事件」。そこから、いろいろなマニュアルができたそうです。

異臭の事件・事故というのは、あってはならないことですが、万が一巻き込まれた時の心構えとして、こういったものを頭に入れておいてください。

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