【サンフロンティア不動産】中古ビル再生を中核にM&Aで事業多角化、伊藤忠との“タッグ”も始動

サンフロンティア不動産は、都心部における中古オフィスビルの再生事業を中核に据え、賃貸ビル、売買・賃貸仲介、貸会議室、ホテル・観光、建設など多角的に事業を展開する。

昨年、節目の売上高1000億円を達成したが、その原動力の一つは積極的なM&A。

今年はすでに3件の買収を手がけたほか、成長ステージをもう一段上げるべく伊藤忠商事との資本業務提携に踏み切った。

レジデンシャル関連で初買収

サンフロンティア不動産は7月末、住宅賃貸仲介のアエラス(東京都豊島区)を買収したと発表した。アエラスは首都圏に直営67店舗を持ち、2026年5月期の売上高は約65億円。レジデンシャル(住まい)事業の基盤獲得を狙いとしている。取得金額は非公表。

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アエラスの店舗(東京都府中市)

サンフロンティアはオフィス、ホテルに続く事業領域としてレジデンシャルを位置付けるが、その取り組みはまだ緒に就いた段階といえ、アエラスを傘下に迎えることで、事業拡充を加速したい考えだ。

具体的には、首都圏の豊富な賃貸住宅データを活用し、一棟収益マンションの開発・再生事業を拡大するほか、賃貸住宅のリーシング(入居者募集などの物件管理)力を生かして高稼働・高収益賃貸マンションとして販売につなげるなどの相乗効果を見込む。

アエラスは1984年に設立。グループの全体の住宅賃貸仲介件数は年間約4万5000件で、約700人の従業員を抱える。

サンフロンティアはおよそ20件のM&Aに取り組んでいるが、実はレジデンシャル関連の案件は今回のアエラスが初めてとなる。

ホテル・観光でM&Aが相次ぐ

これまでのM&Aのほぼ半数を占めるのがホテル・観光関連。とりわけ、ここ数年、動きが活発化している。

2024年には関西地盤にジョイテルグループホテルズを展開する日本都市ホテル開発(現サンフロンティアホテルマネジメント)、リゾートホテル「オリエンタルヒルズ沖縄」(沖縄県恩納村)の運営会社を相次いで子会社化。昨年はビジネスホテルの長野リンデンプラザホテル(長野市)を傘下に収めた。

今年3月には福井県勝山市の温浴施設「水芭蕉」などを事業取得した。

ホテル・観光事業は温泉・リゾート、地域創生(主体は「たびのホテル」)、都市型リゾート(主体は「日和ホテル」)、オリジナルコレクションという4つのカテゴリーで展開。2026年6月末時点で運営ホテル・客室数は39ホテル・4227室にのぼる。

中小ビル再生で独自のビジネスモデル確立

サンフロンティア不動産にとって“主戦場”はといえば、何といってもオフィスビル市場だ。同社設立から2年後の2001年に、「リプランニング」の名称でオフィスビルの再生事業に乗り出し、経営の大黒柱に育て上げた。

収益性が低下したり、老朽化したりした都心部の中小ビルを買い取り、高収益・高稼働の物件に改修・再生して販売する独自のビジネスモデルを確立。ビルの仕入れから再生・活用企画、施工、テナント誘致・管理、販売、販売後のビル経営まで一貫して内製化しているのが差別化のポイントだ。

2019年に内装工事の光和工業(現SFエンジニアリング、東京都墨田区)、21年に電気通信工事のコミュニケーション開発(現SFコミュニケーション、東京都中央区)、25年にサッシ工事の大竹建窓ホールディングス(現大竹建窓、東京都品川区)を矢継ぎ早に子会社化し、施工体制を整えた。

中期経営計画を上方修正

サンフロンティアは5月、2028年3月期を最終年度とする3カ年の「中期経営計画2028」を上方修正し、その目標値を売上高1500億円(当初1350億円)、経常利益300億円(同270億円)に引き上げた。

中計初年度の26年3月期は売上高12.5%増の1160億円、経常利益13.9%増の232億円と、いずれも想定を上回って過去最高となったのを受けた。売上高は前の期に初めて1000億円の大台に乗せたが、さらに増勢を強めた。

【サンフロンティア不動産】中古ビル再生を中核にM&Aで事業多角化、伊藤忠との“タッグ”も始動

セグメント別の売上高(調整前)をみると、不動産再生(ビル賃貸なども含む)事業が764億円と全体の65%を占める。これに不動産サービス事業163億円、ホテル・観光事業189億円、その他(建設、海外開発事業など)59億円が続く。

このうち不動産サービス事業は売買・賃貸仲介、プロパティマネジメント(物件の運営管理)、ビルメンテナンス、滞納賃料保証、貸会議室などで構成する。

ビルメンテナンスには2012年、ビル清掃のユービ(現SFビルメンテナンス、東京都墨田区)を子会社化して進出した。

足元の2027年3月期は売上高12%増の1300億円、経常利益11.6%増の260億円を見込む。

売上高3000億円見据え、伊藤忠と資本業務提携

サンフロンティアの経営の今後を占うハイライトが訪れたのは今年2月。伊藤忠商事との資本業務提携を発表したのだ。

基幹の不動産再生事業ではこれまで都心の中小オフィスビルを主体としてきたが、総合商社の資金力やネットワークを活用し、大型物件の取り込みや事業エリアの広域化につなげるなど協業を進める。

海外事業については現在、米国ニューヨークでアパート再生、ベトナムでホテル運営やマンション開発に取り組んでいるが、提携を機に弾みがつきそうだ。

伊藤忠は第三者割当増資とTOB(株式公開買い付け)を通じて、4月までにサンフロンティア株式の約22%を取得した。取得総額は約320億円。持ち株比率は2割を上回っており、サンフロンティアとして事実上、伊藤忠グループ入りした形となった。

【サンフロンティア不動産】中古ビル再生を中核にM&Aで事業多角化、伊藤忠との“タッグ”も始動
サンフロンティア不動産が本社を置くビル(㊧東京・日比谷)と伊藤忠商事の旧東京本社ビル(8月24日に立て替えで移転)

サンフロンティアは第三者割当増資で128億円を調達。うち68億円を都心のオフィス再生、60億円を新築ホテル開発に充てる。

サンフロンティアは2035年への長期ビジョンで売上高3000億円を掲げる。

その実現に向けて今回の伊藤忠とのパートナーシップは強力な援軍になる。経営の主体性を保ちつつ、包括提携の成果をどう最大限引き出すのか、要ウオッチとなる。

【サンフロンティア不動産】中古ビル再生を中核にM&Aで事業多角化、伊藤忠との“タッグ”も始動

文:M&A Online

【サンフロンティア不動産】中古ビル再生を中核にM&Aで事業多角化、伊藤忠との“タッグ”も始動
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