「モリタHD」主力の消防車輌事業で海外展開を強化 戦略的提携やM&Aを活用

消防車や消火設備などを手がけるモリタホールディングス(HD)<6455>は、消防車輌事業で海外展開を強化する。

はしご車部品や電動ポンプ装置などの独自製品を各市場で販売し、戦略的提携やM&Aも活用して技術力と商品競争力を高める。

2026年6月3日には、傘下のモリタがスペインのITURRI S.A.との戦略的パートナーシップに基づき、協業により開発した先端屈折式はしご付消防自動車を欧州市場向けに発表した。

モリタHDはすでにアライアンスで海外展開を具体化しており、今後はM&Aの活用が焦点となる。

海外販路とサービス網を補完

モリタHDは消防車輌事業の海外市場について、欧州など先進国で消防車両の安定的な更新需要が見込まれるほか、東南アジア、中東、アフリカなどの新興国で需要拡大が続くと予想する。

そうした中、同社は高い技術力・品質信頼性・ブランド力に加え、多様な法規制や地域ごとの運用環境に対応する設計適応力を自社の強みと位置付ける。

この強みを生かして、はしご車の主要部品や電動ポンプ装置などの販売を推進し、各市場への浸透を進めるほか、戦略的提携やM&Aを活用し、技術力・商品競争力を強化する。

販売面でも、販売・サポート網の拡充に加え、戦略的提携やM&Aを活用し、グローバルでの事業基盤の確立を目指す。

さらに各国の法規制や運用環境に適合した製品仕様を提供し、現地パートナーとの連携を深め、地域の課題解決に直結する提案営業を推進する計画だ。

モリタHDは2026年6月3日、傘下のモリタがスペインのITURRI S.A.との戦略的パートナーシップに基づき、協業により誕生した先端屈折式はしご付消防自動車を発表した。

同消防車は、モリタのはしご車技術とITURRIの特殊車両における設計・製造技術を融合したモデルで、欧州・中南米・北アフリカ市場でのはしご付消防自動車事業の展開を目的とした提携の第一弾となる。

ITURRIは欧州、中南米、北アフリカに販売・保守網を保有しており、モリタは自社技術と同社のサービス網を組み合わせ、製品供給から保守まで一貫して対応するとしている。

技術・人材もM&A対象に

モリタHDが、これまでに適時開示したM&Aには、2008年に消火器の生産委託先だった宮田工業をTOB(株式公開買い付け)で子会社化した案件がある。

さらに2010年の中国の消防車両メーカー、上海金盾特種車両装備の子会社化、2016年のフィンランドの消防車両メーカー、BRONTO SKYLIFT OY ABの子会社化の実績がある。

今後の海外M&Aでは、どの地域で販売網やサービス網、技術を取り込むかが焦点となる。

一方、モリタHDは、海外事業の拡大と並行して、技術面と人材面でもM&Aの活用を進める。

技術面では、AI(人工知能)・制御技術やセンシング、ソフトウエア開発力、先端防災技術について、技術提携や共同開発に加え、M&Aも活用し、商品・サービスの差別化やソリューション提案力を高める。

人材面では、DX(デジタルトランスフォーメーション)人材やグローバル人材、専門技術者、施工・保守人材の獲得を目的に、協力会社やパートナー企業との連携のほかM&Aを通じて、海外展開や開発・提案力、施工対応力、サービス体制を強化する。

こうしたM&Aをはじめ、生産拠点の更新・効率化や、DXによる生産性向上などに充てる成長戦略投資枠として、2027年3月期から2031年3月期までの5年間で620億円を設定する。

このうち、海外展開を進める消防車輌事業には350億円を配分する計画だ。

成長投資が目標達成の鍵に

モリタHDは、1907年に大阪市内で火防協会を設立し、消防ポンプ機や消火器の製作を開始したのが始まり。

2026年3月期は売上高1165億9600万円(前期比4.3%増)、営業利益154億5600万円(同12.5%増)の増収営業増益となった。

消防車輌事業が売上高全体の61%を占め、消火設備や消火器などの防災事業が同21%、ごみ収集車や給水車などの環境車輌事業が同12%、災害廃棄物処理機やリサイクルプラントなどの産業機械事業が同6%だった。

2031年3月期には、売上高1500億円(2026年3月期比28.6%増)、営業利益200億円(同29.4%増)を見込む。

モリタHDにとって、M&Aやアライアンスを通じた海外販路、技術、人材の取り込みが、売上高1500億円の達成に向けた課題となる。

「モリタHD」主力の消防車輌事業で海外展開を強化 戦略的提携やM&Aを活用
モリタホールディングスの売上高構成比

文:M&A Online記者 松本亮一

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