燃料商社の「シナネンHD」火葬炉の修繕・改修工事分野を強化、M&Aで石油・ガス依存を低減へ

LPガスや石油などを中心とする燃料商社のシナネンホールディングス(HD)<8132>は、火葬炉の修繕・改修工事分野を強化する。

2026年7月1日、火葬炉の修繕・改修工事や火葬業務の受託運営を手がける高砂炉材工業(東京都中央区)を子会社化し、事業領域を拡大した。

シナネンHDは現中期経営計画(2024年3月期~2028年3月期)で、非エネルギー分野の建物維持管理事業などを成長領域と位置付け、経営資源を集中する方針を示していた。

併せて、売上総利益に占める主力の石油・ガス事業の構成比を引き下げ、依存度を低減する方針も明示していた。

今回の買収は、非エネルギー事業を拡大し、石油・ガスへの依存度を引き下げる同社の方針を具体化する一手となる。

成長領域へ500億円を投じる

シナネンHDは現中期経営計画の期間中に、事業セグメントを「電気・環境ソリューション事業」「ライフクリエイト事業」「石油・ガス事業」の3区分に再編する。

「電気・環境ソリューション事業」には、バイオマス燃料のほか、再生可能エネルギーや廃棄物資源化などの新規事業が含まれ、「ライフクリエイト事業」は建物維持管理をはじめ、リフォーム、自転車、シェアサイクル、抗菌などの非エネルギー事業で構成される。

同計画では「電気・環境ソリューション事業」と「ライフクリエイト事業」を成長領域とし、経営資源を集中するとともに、成長性や収益性の低い事業については撤退、売却などを進めるとしている。

こうした事業ポートフォリオ(事業構成)の変革に向け、2028年3月期までに500億円規模の投資を予定している。

投資対象に再生可能エネルギー、環境循環ビジネス、M&Aなどを挙げ、大型M&Aは500億円とは別枠で計画する。

M&Aの対象としては、LPガス事業での商権買収と、関東エリアでの建物維持管理事業を挙げる。

同社はこの方針に沿う形で、2026年6月にLPガス販売のEスマートエナジー(東京都豊島区)を子会社化し、LPガスの販売力を強化した。

今回の高砂炉材工業の買収は、Eスマートエナジーに続く案件で、関東エリアでの建物維持管理事業の強化につながる。

高砂炉材工業は、自治体向け火葬炉の修繕・改修工事や火葬業務の受託運営を手がけるほか、葬祭場施設に関する企画・設計・施工・監理、ペット火葬場の運営、関連物品の製造・販売などを展開する。

シナネンHDは2017年3月、病院や斎場の運営サポート事業を手がけるタカラビルメンを買収し、斎場施設運営事業に参入した。

タカラビルメンなどは2023年10月に統合され、現在はシナネンアクシアとして、集合住宅、オフィスビル、病院、斎場などを対象に、施設運営、設備管理、清掃、修繕までをワンストップで提供している。

シナネンHDは、両社の強みを融合し、火葬炉関連工事・保守分野を強化するほか、全国で事業基盤を拡充し、斎場関連サービスのさらなる品質向上を目指す。

子会社2社を譲渡

一方、事業の売却も進めており、2026年3月に、木くずのリサイクルや再生燃料・原料の供給を手がけるシナネンエコワークを譲渡した。

さらに同年4月には、空調設備、給湯設備、床暖房システムの設計・施工を手がけるシナネンファシリティーズを譲渡した。

シナネンHDは、両社の譲渡を現中期経営計画に基づく事業ポートフォリオの見直しの一環と位置付けている。

こうした事業ポートフォリオの変革を通じて、売上総利益に占める「石油・ガス事業」の構成比を、2023年3月期の69%から2028年3月期には53%まで引き下げる計画だ。

一方、「ライフクリエイト事業」の構成比は、2023年3月期の29%から2028年3月期には33%へ、「電気・環境ソリューション事業」の構成比は、同2%から14%へそれぞれ引き上げ、石油・ガスの依存度を低減する。

燃料商社の「シナネンHD」火葬炉の修繕・改修工事分野を強化、M&Aで石油・ガス依存を低減へ
シナネンホールディングス

営業利益45%増へ

シナネンHDの2026年3月期は、売上高2987億5200万円(前年度比5.8%減)、営業利益44億300万円(同9.8%増)の減収営業増益だった。

売上高のうち、現在のセグメントである「エネルギーソリューション事業(BtoB事業)」が68.5%を、「エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)」が23.9%を占め、エネルギー関連で90%を超えた。

このほか、斎場施設の運営をはじめとする総合建物メンテナンス事業などを含む「非エネルギー事業」は7.7%だった。

2027年3月期は、売上高3345億円(同12.0%増)、営業利益64億円(同45.3%増)と増収営業増益を見込む。

買収と売却を組み合わせ、成長領域への経営資源の集中をどこまで進められるかが、現中期経営計画の達成を左右することになりそうだ。

燃料商社の「シナネンHD」火葬炉の修繕・改修工事分野を強化、M&Aで石油・ガス依存を低減へ
シナネンホールディングスの売上高構成比

文:M&A Online記者 松本亮一

燃料商社の「シナネンHD」火葬炉の修繕・改修工事分野を強化、M&Aで石油・ガス依存を低減へ
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