ディズニー&ピクサーの新作映画『トイ・ストーリー5』が日本でも大ヒットを記録している。本作ではウッディやバズ、ジェシーら人気のおもちゃたちが、持ち主の気づかないところで奔走する姿が描かれるが、本作でシミュレーション部門のテクニカルディレクターを務めた小西園子氏も「気づかれないことが一番うれしい」と語る。
小西氏は1994年にピクサー・アニメーション・スタジオに入り、『トイ・ストーリー』の第1作目からシリーズ全作品に関わったスタッフだ。彼女が担当するのはシミュレーション。劇中に登場するキャラクターの髪や服がどのように動くのか、風を受けた草木がどのようになびくのか……アニメーション表現の重要なパートを担い続けている。
「私たちの仕事はストーリーをサポートすること。これが最優先で妥協できない部分です。ですから、シミュレーションという名前ではあるんですけど“感情”の延長を描く仕事です。日本のアニメーションでも服や顔の輪郭だけで何を考えているのかわかったりしますよね? それを3Dでやるのが私たちの仕事です。
ピクサー内では常に”新しい試み”が続いています。今回の映画では2Dアニメーションっぽいシーンが出て来るんですけど、あれも面白い試みだと思います。ピクサーはひとりひとりが常にチャレンジをしているし、本気でやりたい人たちがやっている。それが良いところだと思うんです」
特に本作は『トイ・ストーリー』の新作だ。スタッフの想いも他の人気シリーズとは少しだけ違うようだ。
「やっぱり『トイ・ストーリー』に参加することが決まったスタッフは大喜びなんです。というのも若いスタッフだと『トイ・ストーリー』を観て育ってきた人たちがほとんどで、“私は『トイ・ストーリー』を観てピクサーで働きたいと思いました”と言ってスタジオに入ってくるわけです。そしてついに、今度は自分がその『トイ・ストーリー』に参加することになって、ソフトウェアを開くと、ウッディとバズがいる。その段階で本当に感動するみたいですね。あと、友達が言ってたんですけど、男の子たちは『カーズ』に参加する場合もすごく嬉しいみたいですね(笑)。
私は最初から参加していて、3の時に“ああ、終わったんだな”と思ったんですけど、4があると聞いて参加して、今回の映画は最初の『トイ・ストーリー』に近いと思ったんですよ。リリーパッドが来て、みんながパニックになる感じが、最初の映画でバズがやって来た時に近い。次の世代の『トイ・ストーリー』が来たなと思ってワクワクしました」
彼らの仕事はとにかく緻密で妥協がない。それぞれのスタッフが人知れず細部までこだわり抜いて創作を続けるが、その姿は持ち主のために必死にがんばるウッディやジェシーたちに重なる部分がある。
「それは面白い見方ですね、確かに。言われてみればそうかも。個人的にはそうかもしれません。
本作では、新型タブレットのリリーパッドの登場を機に、おもちゃたちが再び右往左往することになるが、その背後には観客に気づかれぬよう極限まで努力を続けるスタッフたちの姿があるのだ。
「ピクサーは安全な場所なんです。作品を作る上でも、“あなたのことを批評しています”ではなくて、この作品のことについて批評していますということが必ずある。だから本当に腹を割って話せる会社なんですよ、安全に。逆に意見を言わないと、あとで後悔したり、興味なかったりと思われるかもしれない。上の方も含めて、自分の意見を真っ当に言える仲間なんです。そういう安全な環境にいることで人はリラックスしますよね。
『トイ・ストーリー5』
公開中
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