2025年6月5日、ゼニア(ZEGNA)は、2027年春夏コレクションをカリフォルニア州マリブ・ピアで発表しました。海と空が溶け合うような西海岸の風景のなかで披露されたショーは、単なるシーズンコレクションではありませんでした。
そこにあったのは、服を通してひとつのライフスタイルを提案する、ゼニアらしい美学の表明です。

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Courtesy of ZEGNA
今回のコレクションのテーマは、「La Villeggiatura(ラ・ヴィレッジャトゥーラ)」。イタリア語の villeggiare(別荘で過ごす)を語源とするこの言葉は、1950~70年代に広く親しまれたイタリア独自の生活文化を指します。しかしそれは単なるバケーションではありません。季節とともに住まいを移し、家族や習慣、美意識そのものを携えて別の場所で暮らすこと。休暇ではなく、「もうひとつの人生」を営むための時間でした。

服ではなく、生き方を提案する──ゼニア 2027年春夏コレクションと「La Villeggiatura」の思想
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「夏服」ではなく、「夏の時間」をつくる
アーティスティック ディレクターのアレッサンドロ・サルトリ(ALESSANDRO SARTORI)は、このラ・ヴィレッジャトゥーラの精神を現代的に読み替えています。

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ALESSANDRO SARTORI | Courtesy of ZEGNA
「今日の流動的なライフスタイルにふさわしいスタイルを追求するなかで、既存のカテゴリーを取り払い、新たなカテゴリーを生み出すこと」──そう語るサルトリが目指したのは、クラシックを基盤としながらも固定的なドレスコードから解放された、新しい夏のワードローブでした。

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ショー全体を通して印象的だったのは、肩の力が抜けたエレガンスです。ゆったりと流れるシルエット。身体に自然に沿うジャケット。ショートスリーブのオーバーシャツ。
ショーツの上に無造作に重ねられたダスターコート。そこにはテーラリングの技術が確かに存在しながらも、それを誇示しない余裕があります。

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ストライプが描く、夏のリズム
今シーズンを象徴するモチーフはストライプです。ゼニアはこれを「気負いのないエレガンスを奏でる五線譜」と表現しています。規則的ではなく、どこか自由に揺らぐストライプは、服の表面を飾るパターンというより、夏の時間そのものを可視化する線のように見えます。

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ストライプスーツに同柄のシャツを合わせたスタイリングは、従来のカラーブロッキングとは異なる、より洗練された統一感を生み出しています。そのリズムは、海辺の桟橋を歩く速度や、午後の光の移ろいにもどこか似ています。

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可変性という、現代のラグジュアリー
今回のコレクションでもうひとつ注目したいのは、「可変性」です。取り外し可能な襟を備えたシャツ。シルエットを調整できる隠しハーフベルト付きのブレザー。前シーズンから継続して提案される多機能なダブルブレステッドジャケット。それらは単なる機能性ではありません。


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現代のライフスタイルは、仕事と余暇、都市と自然、フォーマルとカジュアルといった境界が曖昧になっています。だからこそ服もまた、一つの役割に固定されるのではなく、その日の気分や環境に応じて変化できることが求められています。ゼニアが提示するラグジュアリーは、完成されたスタイルを押し付けることではなく、着る人が自由に選択できる余白を残すことにあります。

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ファブリックから始まる思考
サルトリは「すべての出発点はファブリックにある」と語っています。実際にコレクションでは、ウォッシュドヘンプ、オアジリノ、ラフシルク、シルクジャカード、フレンチベルベット、ブークレタオル地、ナッパレザーなど、多彩な素材が登場しました。興味深いのは、それらが素材として主張するのではなく、光や風、身体の動きによって初めて表情を現すことです。

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アクアマリン、波、海藻、潮流を思わせる色彩もまた、マリブの景色と呼応しながら、ひとつの夏の風景を構築していました。

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VILLA ZEGNAという“続きの物語”
ショーの翌日から、ロサンゼルスのシャトー・マーモントでは、完全招待制の期間限定プライベートクラブ「VILLA ZEGNA」が開催されました。しかし、これは単なるアフターパーティーではありません。むしろ、コレクションで描かれたラ・ヴィレッジャトゥーラの世界を、実際に体験するための空間でした。

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ストライプ柄のパラソル。プールサイドの会話。
ヴィンテージ新聞。ジェラート。アペリティーヴォ。長いランチ。背景に流れるラジオ。そこには、ショーで見た服が実際に生きる風景がありました。

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「みんな、うちにおいで」
今回のVILLA ZEGNAの中心にあるのは、「Tutti a casa mia(みんな、うちにおいで)」というイタリアの言葉です。それは友人や家族を迎え入れる、何気ない招待の言葉です。ゼニアはその精神をロサンゼルスで再解釈しました。

文化、ホスピタリティ、スタイル、そして人と人とのつながり。VILLA ZEGNAは、ブランドの世界観を体験型の空間へと拡張する試みでもあります。

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服を超えて、人生をデザインする
今回のゼニア 2027年春夏コレクションで提示されたのは、新しいトレンドではありません。
それは、どのように夏を過ごすのか。どのように時間を使うのか。どのように人と関わるのか。つまり、「どう生きるのか」という問いでした。

La Villeggiaturaという言葉が示すように、人生にはもうひとつの住まいがあり、もうひとつの時間がある。ゼニアはその思想を、服だけでなく空間や体験へと広げながら、現代のラグジュアリーを再定義しようとしているのかもしれません。

INFORMATION
ZEGNA Spring/Summer 2027 Collection “La Villeggiatura”
発表日:2025年6月5日
会場:マリブ・ピア(カリフォルニア州マリブ)

VILLA ZEGNA Los Angeles
会期:2025年6月6日~9日
会場:シャトー・マーモント(ロサンゼルス)
形式:完全招待制プライベートクラブ
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