昭和のお見合いには釣書と一緒に写真が添えられ、令和の婚活サービスでも写真は必須。写真という道具が日本に入ってきた明治のころから、見合いはすぐさま写真を取り入れてきました。人は昔から、相手の顔をちゃんと気にしてきたわけです。内閣府「男女共同参画白書」(令和4年版)によれば、かつて主流だった見合い結婚は1960年代に恋愛結婚と逆転し、いまや恋愛結婚が約9割。手段は変わっても、「顔を気にする気持ち」そのものは、時代を超えてずっと私たちの中にあるようです。
今回ご紹介するのは、過去に大きな反響を呼んだ実話コラムから、37歳男性の話。「性格も価値観も合う女性」と何度も出会いながら、なぜか気持ちが乗り切らない――そんな“贅沢な迷い”の行方とは――。
記事の後半では、「顔を気にする」という人間の性質と、婚活のなかでそれとどう折り合いをつけていくかについて、少しだけ考えてみたいと思います。
* * *
30代以降の婚活男性によくあることは…
婚活の現場でよく聞く言葉があります。
「性格も価値観も最高なんだけど、顔がタイプじゃなくて」
相性も良いし、会話も弾む。
人にはそれぞれ“恋愛スイッチ”があるが…
人にはそれぞれ“恋愛スイッチ”があり、外見の好みが感情を動かす要素のひとつなのは確かです。
ただ、そのこだわりが「本来求めている幸せ」を遠ざけている可能性があることも、覚えておきたいポイントです。
ループから抜け出せない男性は意外と多い
実際、何度も「見た目がタイプの女性」と付き合ってきたのに、結婚まで至らなかった男性ほど、「今度こそ中身重視で」と思いながらも、いざ性格のいい女性が現れると気持ちが乗り切れないというケースが多いのです。このループにハマる男性は、意外なほど多くいらっしゃいます。
運命の出会いを果たすも…
彼女からは前向きにケンタさんとの交際を進めていきたい気持ちは早い段階で聞いており、私もこの交際を成婚まで繋げたいと感じていました。
彼女は、聞き上手で家庭的。価値観も似ていて、一緒にいて居心地が良かったそうです。
恋愛感情にこだわりすぎて残念な結果に
その後、彼女は他の男性と半年で結婚。ケンタさんはそれを知った時、「あのとき、顔のことさえ気にしなければ…」と少し後悔したといいます。
それから1年ほど結婚を目指して活動をしていましたが、やはり振り返っても彼女ほど心地よく違和感なく過ごせる人はいないんだと言うことに気がつき、恋愛感情にこだわりすぎていたと感じたようです。
「タイプじゃない」ときの解決策
人は一緒に過ごす時間が増えるほど、相手への印象が変わるものです。心理学的には「単純接触効果」と呼ばれ、頻繁に接することで好感度が上がる傾向があることが知られています。
また、“顔がタイプ”という基準には、自分の承認欲求が潜んでいる場合もあります。
「この人を連れて歩いたら、周囲にどう見られるか」という無意識の見栄が、本当の心地よさを見えにくくしていることがあるのです。
顔へのこだわりは、実は相手ではなく「自分のプライド」に向けられていることも少なくありません。
“顔の好み”よりも“心の相性”で恋をする
恋愛はドキドキで始まり、結婚は安心で続きます。「最初のときめき」にこだわりすぎると、「長く続く穏やかさ」を逃してしまうこともあります。
もし今、“顔以外は完璧”な女性に出会っているなら、一度「恋愛感情がなくても会い続けてみる」という選択をしてみてはいかがでしょうか。3回ではわからない魅力が、5回目、7回目で見えてくることは本当に多いのです。
タイプじゃないと思っていた顔が、ある日ふと「愛しい表情」に見える瞬間があります。そのとき、あなたはきっと“顔の好み”よりも“心の相性”で恋をしているはずです。
<文/山本早織>
■「顔がタイプじゃない」の裏にあるもの
ケンタさんが後になって漏らした「あのとき、顔のことさえ気にしなければ……」という一言、他人事とは思えない方も多いのではないでしょうか。目の前に誠実で気の合う人がいるのに、なぜか気持ちがついてこない。婚活に限らず、恋愛でも人間関係でも、この“わかっているのに動けない”感覚は誰にでも覚えがある気がします。山本さんが記事の中でそっと差し込んでいたのが、「顔へのこだわりには、自分の承認欲求や見栄が潜んでいることがある」という指摘でした。「この人を隣に連れて歩いたら、周りにどう見られるか」――そんな無意識のプライドが、目の前にある一番心地よい温もりを、静かに曇らせてしまうことがある。ちょっとドキッとする話です。
■アンケートでは人柄が上位、容姿は…
国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査」によれば、18~34歳の未婚男女が結婚相手に重視するのは、男女とも「人柄」「家事・育児の能力や姿勢」「仕事への理解」だそうです。容姿はこの上位3項目には入っていません。アンケート用紙を前にして冷静に選べば、たぶん多くの人はこの順番になる。それでも、いざ目の前に相手が現れると、なぜか一番上に「顔」が浮上してくる。この“建前と本音の距離”こそ、婚活のいちばんの難所なのかもしれません。
■5回目、7回目の顔
ただ、山本さんが言うように「初対面でピンとこない顔」が、5回目、7回目に会うころには「愛しい表情」に変わっていく――そんな不思議な体験も、たしかに人生にはあります。「顔がタイプじゃない」と早々に幕を引く前に、あと数回、同じテーブルで向かい合ってみる。それくらいの余白は、持っていて損はないのかもしれません。ケンタさんの静かな後悔が、そう教えてくれている気がします。
【山本早織】
1985年、東京生まれ。アイドル、銀座のホステスなどを経て、現在は恋愛コンサルタントとして結婚したい男女に向けて情報や出会いの場を提供する。「最短成婚成功の秘訣マガジン」をLINEで配信中。公式ホームページ「結婚につながる恋のコンサルタント 山本早織」(Xアカウント:@yamamotosaori_)
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