宝塚歌劇月組公演ミュージカル「NINE」が、27日まで東京の東急シアターオーブで上演されている。

 フェデリコ・フェリーニ監督の自伝的映画「8 1/2(はっかにぶんのいち)」をもとに、アーサー・コピット脚本、モーリー・イェストン作詞・作曲により1982年に初演された「NINE」は、トニー賞10部門でノミネートされ5部門で最優秀賞を受賞した極上のミュージカル作品。

2009年には映画化、日本でも度々上演されてきた人気作が今回、宝塚版として上演される。

 男役はトップスター・鳳月杏(ほうづき・あん)が演じる、スランプに陥った有名映画監督のグイード・コンティーニのみ。男役が女役も務める異色の作品で、鳳月が過去に関係を持った恋人たちに翻弄(ほんろう)されるグイードを巧みな芝居で熱演した。役の魅力について「女性に対して、包容力や男らしさみたいなところを持ってやる役が男役には多いのですが、その中で甘さや、女役さんに委ねるところが今回は新しい男役の魅力、グイードの魅力だなと思っています」とほほ笑んだ。

 新作の撮影が目前に迫る中、構想がまとまらず苦悩するグイード。そんな彼に、結婚生活への不満を爆発させた天紫珠李(あまし・じゅり)演じる妻ルイーザが離婚を宣言する。天紫は「自立している部分や、強い部分というのも第一印象としてあったんですけれども、母親のような優しさや、イタリア人なのでチャーミングさもあって、本当にいろいろな面がこの人の中にあるところが魅力」とやりがいを感じている。

 新作のアイデアを授けるクラウディアを男役の礼華はるが好演。伸びのある高音も美しく、グイードを見捨て切れない心理も丁寧に表現している。鳳月は「男役がやる女性役のダイナミックさがあって、一人ひとりが魅力的」とそれぞれの女役を絶賛。自身にとってプレサヨナラ公演となるが「作品と役のことに必死だったので、あまり考えられなかったのが正直なところ」と、高いハードルを全員で乗り越えた充実感をにじませた。(ペン&カメラ・古田 尚)

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