TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」月~木曜日の11時から放送中!

「生活情報のコーナー」は、花粉症の目のかゆみ対策

花粉で目がかゆい時はまず“人工涙液”の画像はこちら >>

花粉シーズンで、鼻水と並んで、代表的な症状が「目のかゆみ」ではないでしょうか。花粉症ではない人でもこの時期、目がかゆいという方もいるのでは?そんな「目のかゆみ」どうにかしたいということで目薬を使いたい、と思う方もいると思いますが、どれを使ったらいいのか?そもそもなぜ目がかゆくなるのか?などについて東京・渋谷にある「みさき眼科クリニック」の院長、石岡みさきさんに伺いました。

なぜ目は痒くなる?

ズバリ炎症です。目に花粉が入って結膜=まぶたの内側から白目にかけての粘膜に炎症が起きるため。(医学的にはアレルギー性結膜炎と呼びます。)花粉のような異物が体内に入ったとき、本来無害なものであるにもかかわらず必要以上に警戒してアレルゲンだと判断する場合がある。すると、それに対する抗体がつくられ、免疫反応を担う肥満細胞の表面に結合する。
そして、再びアレルゲンが体内に入って抗体に触れると、アレルゲンを外に追い出そうとして、肥満細胞から炎症やアレルギー反応などに関与する「ヒスタミン」などの物質が放出されて、これが炎症やかゆみを引き起こす。

ヒスタミンがアレルギーを起こすスイッチとなっている。
つまり炎症やかゆみを起こさせないためには、ヒスタミンにスイッチを押させないようにすればいい。それが抗ヒスタミン剤。

抗ヒスタミン剤とは?

抗ヒスタミン剤は、ヒスタミンと似た構造を持っていて、ヒスタミンの代わりに抗ヒスタミンがアレルギーを起こすスイッチを押すことでアレルギー反応を抑える。
そんな抗ヒスタミン作用を持つ目薬ですが、眼科で処方される薬で圧倒的に多いのは2つ。
「アレジオン(一般名:エピナスチン)」と「パタノール(一般名:オロパタジン)」。


この2つは眼科に行って、お医者さんに処方してもらう目薬です。ただ、きょうのような祝日で眼科に行けないという方も多いはず。市販薬でも大丈夫かと不安に感じる方も多いと思います。

市販薬でも効果はあるの?

石岡先生に市販薬にも効果があるか聞きました。先生によると『保険が利かない薬はあまり効果がない』と考える人は多いですが、
そんなことはないとのこと。まずは症状に合った薬を選ぶことが大切だということなんです。

確かに市販薬は、基本的に処方薬に比べ濃度は薄くなっていますが、「スイッチOTC」といって処方薬とまったく同じ有効成分を含むものもある。症状に応じた使い方をすれば、市販薬にもそれなりの効果は期待できると。

市販の花粉症対策目薬でおすすめは?

そんな市販の目薬で石岡先生のおすすめはスイッチOTCの抗ヒスタミン点眼薬「ザジテン」(ケトチフェン)。

花粉で目がかゆい時はまず“人工涙液”

もともと処方薬だったので、抗ヒスタミン作用が強い。ただし、ザジテンは酸性溶液のため、中には点眼時にしみるなど刺激を強く感じる人がいるのに加え、まぶたがかぶれてしまう人もいるという。
花粉で目がかゆい時はまず“人工涙液”

刺激感が苦手な人は「クロルフェニラミンマレイン酸塩」という成分が入った目薬を選ぶといいということです。
より刺激感が少なく、かぶれにくいうえ、薬剤師がいなくても購入できるという。探すのが面倒だという人もいるかと思いますが、一番いい市販薬の選び方は『花粉症で目がかゆいんです』と薬剤師や登録販売者に率直に相談すること。忙しくて眼科を受診するのが難しい人は、まずはこれらの市販薬を試してみて、効果が感じられないようなら眼科を受診するといいということです。

目薬使用の注意点とは?

目薬の使い方ですが、いくつか知っておいてほしいことがあるそう。
まず、目薬を一度に何滴も差す人がいるが、1滴差せば十分。差した後、すぐにまばたきをすると薬液が流れてしまう。

目の表面に長く薬液をとどめるため、しばらく目を閉じて目頭を押さえる。

次に、家族であっても同じ目薬を使い回してはいけない。まつげなどに触れることで、結膜炎の感染などを起こしやすいから。
そして目薬の差しすぎに注意。30分ごとなど1日に何度もしつこく差す人がいるが、あまり差しすぎると薬に含まれている防腐剤で目を痛めることもある。記載されている用法・用量をきちんと守って使うようにしましょう。

人工涙液は使える!

これをやっておけば効果的という方法もあります。それが「人工涙液を使う」ことです。人工涙液とはもともとドライアイの治療などに使われる点眼薬の一種。その名の通り涙に近い成分になっていて、いわゆる薬剤は入っていない。まず、これを使って目に入った花粉を洗い流すと効果的だそう。
ただ、「目を洗う」といっても水道水で洗うのはNG。含まれている塩素によって目の表面に傷がつくことが多い。市販の目洗いカップも、いったん目の外に出た花粉がまた目の中に入ってしまい、目の外へ花粉を洗い流すという方法にはならない上、アトピー性皮膚炎などがある場合、皮膚への影響もあるため、勧められないという。

おすすめの人工涙液は?

市販の人工涙液は「ソフトサンティア」や「ロートソフトワン点眼液」など。

花粉で目がかゆい時はまず“人工涙液”

花粉で目がかゆい時はまず“人工涙液”

花粉で目がかゆい時はまず“人工涙液”

これらには花粉の破裂を抑える作用もあるという報告がある。花粉はそのままではアレルギー反応を起こさない。破裂して内部のたんぱく質が外に出てアレルギーを引き起こすので、花粉の破裂が少なければそれだけ症状も軽くなるという仕組み。

また「ウェルウォッシュアイ」というものもある。

花粉で目がかゆい時はまず“人工涙液”

これは人工涙液ではなく点眼型洗眼薬だが、より花粉の破裂を抑える作用が強いとされる。また、前述の人工涙液は使用期限が10日間なのに対し、ウェルウォッシュアイは開封後約1カ月使用できる。これら人工涙液を起床後や帰宅した際などに、目を洗うように数滴使うとよい。
花粉で目がかゆい時はまず“人工涙液”

人工涙液は、ドライアイの治療ではコンタクトレンズをしたままでも使用できますが、花粉を洗い流す目的で使う場合は、コンタクトレンズをしていると洗い流す効果が少なくなるので、はずしたほうがいいそう。

人工涙液は目薬と使い方が違う?

成分を染みこませる目薬と違って、人工涙液を使う目的は目の洗浄なので、差した後はまばたきをして目の表面についた花粉を洗い流してください。その上で抗ヒスタミン作用のある点眼薬を差すとより効果的です。ただし点眼薬を差すタイミングは5分ほど間を空けるのがいい。人工涙液を使った直後に差しても特に危険はないが、せっかくの点眼薬の成分が薄まってしまうそう。

症状が軽ければ点眼薬を使わず、人工涙液で花粉を落とすだけで効果が出ることもある。点眼薬も人工涙液も、冷蔵庫で冷やしておくとより炎症を抑える効果が高くなるそう。目薬と同じく、人工涙液も使い過ぎはよくない。
使い過ぎると涙の安定性を保つために重要な役割を果たす粘液を洗い流してしまうので、多くても1日10回以内に。1回使ったら1時間は間を空けるようにしてください、とのことでした。

◆2月23日放送分より 番組名:「ジェーン・スー 生活は踊る」