――東日本大震災から、1年が過ぎました。「震災1年後チャリティーマラソンライブ」には、どんな思いで参加しましたか?
ライヴを見ることがチャリティー活動になるつながりを、有意義に思いました。被災者の方たちに協力したい、というみなさんの気持ちを形にするきっかけ作りになれば、という思いで参加したんです。多くのミュージシャンが集まって、その全員が被災地に向けてメッセージを送る気持ちで歌や演奏に臨んだはず。“音楽で通じ合いたい”と思う気持ちが、表れていたライヴイベントでしたね。目線が同じアーティストが集まれたので、年に一度ではなくもっと出来たらいいなと感じました。でも、人それぞれの立場やスピードがあるので、参加していないからダメってことはないんです。まだ真っ直ぐに向き合えない方たちもいるでしょうし、できる人からできることをやっていけばいい。これからも続く問題ですから。
――大震災発生時は何をしていましたか?
都内でテレビ番組の収録をしていました。今まで感じたことのない揺れ方で、地震だと思わなかった。
――震災直後に発表した「こんな時にぼくに何が出来るかな」という曲には、そんな思いが込められているのですね。
はい。自分自身もずんと落ちた感覚で、何が出来るのか考えていました。そして11歳の時からずっと歌ってきた僕は、歌で貢献するしかないという気持ちを素直に曲にしたんです。
――曾我さんとファンキー末吉さんの行動力や音楽に、励まされた方たちがたくさんいると思います。
世間がそういう方向にまだ向いていない時だったので、批判もありました。でもその時の都合でものごとを言って、責任を持たない人っているでしょう。しばらく経って世の中の風潮がそこに向いて来たら、「実はそう思ってた」と後から言い出したりして。ずるいなって感じましたね。僕らの仕事は発言に責任を持つことを要求され、勝手なことはできないんですよね。
――ファンキーさんと、ステージに立つ予定はありますか?
5月4日、横浜 club Lizardでスタートする「LIVE!LIVE!LIVE! TOUR 2012」でファンキーさんをドラム、和佐田達彦さんをベースに迎えます。爆風スランプのリズム隊なので、ゆるぎなく強力ですよ! そして盲目の天才ギタリスト・田川ヒロアキさんにも参加してもらいますが、本当にすごい演奏をするプレーヤーです。このツアーはさいたま、神戸、枚方、名古屋、東京と回りますが、演奏者が変わると景色の違う音楽が表現できると再認識しますね。ある意味、大震災からの出逢いのようなメンバーで、一緒に音を出すことになったんですよね。付き合いはもう30年近くなるのに、演奏したのは初めてで、音を出した瞬間に今までにない一体感を感じて意気投合。僕の音楽たちが、パワフルにそしてカラフルに表現されているので、みなさんぜひ一緒に飛び跳ねていい汗をかいて欲しいな~と思います。
――若い世代のストリングス&ピアノユニット【sources(ソーシズ)】とも、最近コラボしましたね。
彼らは4歳からクラシック楽器の英才教育を受けてきたので、音楽に対する基礎が全然違うんですよね。
――若い方からベテランまで、たくさんのコラボがありすごい! 様々なライヴができて楽しそうです。
本当に楽しい(笑)! いろんなミュージシャンとコラボして、違う自分を発見したいんです。音楽に対して前を向いている人と一緒にやるのは、すごく気持ちがいい。突っ走ってる人たちと、一緒に演奏するのは刺激的です。
――曾我さんと音楽やりたい、って集まるのも素晴らしいことですね。
うれしいですね。もっともっと先に行きたいっていう、僕の思いが通じているはずです。
――ユニット活動はいかがですか? 【The Paisleys(ザ・ペイズリーズ)】は?
2009年に結成して、毎月のようにライヴをやって信頼関係を築いた時期があって、これからは新曲を作る第二期。全員がリードボーカルを取れる3ピースバンドでカッコいい音を出せるので、音楽ファンにアピールしていきたいんです。
――野村義男さんとのアコースティック・ユニット【ON&OFF】は、どんな状況ですか?
時間さえ空けば、いつでもやろうというスタンス(笑)。義男と一緒にやってきた【THE GOOD-BYE(ザ・グッバイ)】は、いよいよ2013年……来年30周年を迎えます。今の目標は、今年中に新曲をレコーディングすること! ライヴもやりたいですが、メンバーの負担にならない形で、新しい音でコミュニケーションが取れるといいな、と思っています。
――ソロ活動は、7月からの「弾き語りライヴツアー Summer 2012」で、東北から九州まで回るそうですね。
「LIVE!LIVE!LIVE!」とは正反対のイメージで、僕の部屋に遊びに来てもらったかのような雰囲気の、アコースティックならではの柔らかいライヴです。日頃の疲れた心を癒してもらえたらうれしいですね。間隔をあまり置かずにいろんなライヴを開いていますが、“やれる時にやれることをつめこんじゃえ!”みたいな感覚。震災の経験で、いつどうなるかわからないと実感しました。だから前を向いて、今できることをやっていきたいんです。