今でも日本最初のお金が使える町とは
(上)コイン型商品券「和同開珎」(中)こののぼりのお店でつかえます(下)5%プレミアものは、あっというまに売り切れです
「今でも日本の古い古いお金を、日常的に使っている町がある」というタレコミを受けて、埼玉県の秩父市までやってまいりました。
いやあ、古いものを大事にしている町だとはいえ、いくらなんでもそんなことは無いでしょ〜? ……あれっ。
今、お客さんがお財布から取り出したコインは、銅の色に輝いています。10円玉よりはるかに大きく、真ん中には四角い穴が。お店の人、にこやかに受け取りました! なんということでしょう、しかもコインには「和同開珎」と書かれています。噂は本当だったのです!

なあんて。

いや、すべて事実なのですが、一つだけ違うことは、そのコインは古銭ではなく、改めて作られた「コイン型の商品券」なのです。
708年(慶雲5年)。
ここ埼玉県秩父市において、和銅が産出されました。和暦もそれまでの「慶雲」から「和銅」に変更。ちょうど朝廷は、唐に倣って貨幣制度を整えようとしている時期だったこともあり、さっそくその和銅で日本最初のお金「和同開珎」を作り、流通させ始めたのだそうです。
読み方は「わどうかいほう」なのか「わどうかいちん」なのか、諸説あってはっきりしないようです。なにぶん1300年も昔の話ですからね。

ともあれ、その日本最初のお金が、商品券として秩父市によみがえったのは、1999年のこと。
実はもう6年も流通していたんですね。通常は970円で購入して1000円分が使える(3%プレミアム)のですが、最近秩父市は周辺町村と合併して、市域を広げて生まれ変わりました。それを記念して950円で1000円分使える、5%プレミアム版も発行されたのだそうです。

……伝聞形なのは、それは是非欲しい! と思って、のこのこ出かけたところ「そんなの初日に行列できて、あっという間に売り切れたよ」というお話を聞いただけだからです。がっくり。一億円分発行したそうなのですが、凄い人気です。

いいんだ、3%のは買えたし。これ、お財布に入れておいたら、心強いボスがいるみたいで、なんだかお金がたまりそうな気がします。

ちなみに、ホンモノの「和同開珎」は、状態がよいものですと、30万円くらいするみたいです。
(谷和原のぞみ/お気楽ステーション)