多い? 少ない? 東京の野生動物
庭にあらわれたタヌキ
先日の夜、ふと庭を見るとなにやらごそごそ動いている。これはもしや、とデジカメを取りだしシャッターを切ると……、そこにはタヌキの姿が! そう、ここ数年我が家には、秋になるとタヌキが出没するのである。
現在、私が住んでいるのは東京の多摩地区なので、タヌキが出ても一向に不思議はないのだが、以前は住宅が密集しているところには出てくることはなかったような。

もしかしたら、何かタヌキたちに異変が起こっているのかも。
そこでさっそく、東京の野生動物は一体どんなことになっているのかを、東京都環境局に問い合わせてみることにした。

まずは、東京にはどれだけの野生動物がいるのかと、素朴な疑問からスタート。自然環境部計画課計画係の担当部署に伺うと、現地調査はしていないが「東京都の野生生物種目録」(1998年版)の資料があるとのこと。その資料によると、東京都の本土(島を除く)には、哺乳類は43種類。


トガリネズミモグラなど、モグラ目が6種類。コウモリ目が5種類。ニホンリス、ヤマネ、ハタネズミ、モモンガなど、ネズミ目が13種類。ノウサギ、ニホンザル、タヌキ、キツネ、テン、イタチ、オコジョ、アナグマ、ニホンイノシシ、ニホンジカ、カモシカ、そしてツキノワグマまでいる。帰化種やその他にノネコ、ノイヌ、ハクビシンといったものがいる。いくら西部が山とはいえ、東京にまだこんなに多くの野生の哺乳類がいるとは思いませんでした。

でも残念なことに、この43種類の中でツキノワグマ、カモシカなどの31種類は、保護上重要な野生生物として、東京都のHPでも紹介されている。保護の必要がないものとしては、明記はないが目録を参考に見てみると、モグラ、ハツカネズミ、クマネズミ、ドブネズミ、タヌキ、ノイヌ、ノネコ、ハクビシン、その他帰化動物が4種類の計12種類が該当。

我が家にやってくるタヌキは、保護されるべき野生動物ではないようである。保護の必要がないということは、それだけ数がいるということだが、では一体、東京のどの地域にまで出没しているのだろうか。
自然環境部計画化鳥獣保護係に、哺乳類の被害や出没情報を聞いてみると、23区内では練馬区、世田谷区、杉並区でタヌキ、ハクビシン、アライグマの目撃情報があるそうで、こんな都会に野生動物が! とびっくりして連絡をしてくるケースがほとんどなのだとか。被害としては、柿を食べた、屋根裏に住んでいるといった被害報告のほか、庭に出て昼寝をしているという、何とものどかな報告もあるそうだ。


一方、多摩地区はどうかというと、多摩地区ではほぼ全域でタヌキ、ハクビシンなどが確認されているとのこと。タヌキよりもハクビシンの方が情報は圧倒的に多いのだとか。多摩地区を管轄している多摩環境事務所に、昔は見かけなかったタヌキが出没している旨を伝えると「タヌキも人に慣れてきて、人家に出没する傾向はあるのかもしれませんね」という返事が返って来た。タヌキは人を怖がらなくなったってことのようですが、でもやっぱり何十年も出てくることがなかったタヌキの最近の出没は不思議である。(こや)