「お化け屋敷」の絵を描かせたら、ほとんどの人が小道具として描き入れるであろう「クモの巣」。
「クモの巣=人の出入りが少ない場所」というイメージを持つ人もいると思うが、たとえば、毎日使用している部屋の隅などで、はらってもはらっても、毎日クモの巣ができている……ということがある。
クモはいったいどのくらいのペースで巣をつくるのだろうか。
東京大学大学院農学生命科学研究科・生物多様性科学研究室の谷川明男先生に聞いた。
「クモが網を張るのには、何時間も必要ではありません。種類によっていろいろですが、長くても張りはじめから数十分で完成します。ですから、人の出入りがあまりに頻繁でなければ、クモの造網にとっての障害にはなりません」
マンガなどの表現では「お化け屋敷や空き家=クモの巣」というのがよく使われるが、新築の家でも、やっぱりクモの巣を見かける。クモの巣ができることと、建物の古さ・新しさに関係はないのだろうか。
「空き家にクモの網がたくさん見られるのは、その網を張ったクモが死んでしまったときに網だけがなくならずに残り、それがだんだんとたまっていくからです。人が住んでいる家では、そのようなクモの網は掃除されて、その都度なくなりますから、お化け屋敷状態にならずにすみます。人が住んでいようとも、掃除をしなければ、お化け屋敷状態になります。家の新旧も関係ありません。古い家でも几帳面に掃除されていればきれいですが、新築の家でも掃除をしなければすぐに汚くなります」
また、あまりに頻繁な人の出入りがあって、クモが作ったばかりの網をたびたび壊されれば、造網場所を変えるそうだが、それほどでなければ人の出入りがあろうとも、クモは網を張るという。
「特にその場所が餌のたくさん獲れるような場所であれば、網を壊されてもなかなか移動しません。餌が少なければ、多くのクモが自ら移動していきます。ただし、今いるクモをどけても、すぐに別のクモがやってきます」
ちなみに、その家が存在する地域の自然環境の状態によってかなり異なるものの、家の中でよく見るクモは、本州中部、四国、九州の場合、アシダカグモ(神奈川県より北ではまれ)、チャスジハエトリ、ミスジハエトリ、アダンソンハエトリ、オオヒメグモ、シモングモ、ユカタヤマシログモ、チリグモなど。…
