少子化だ高齢化社会だなどと言われて久しいがそんな中、起こるべき現象が起きている。それが、“孫育て”だ。

 
“孫育て”とは呼んで字のごとく、おじいちゃんおばあちゃんが自分たちの娘・息子の子育てをお手伝いすること。
昔は当たり前の光景だった。しかしここ数十年、核家族が増えたこともあり、祖父母が本格的に子育てを手伝う図は激減していたそう。
しかし最近、子供を育てる父母世代は仕事が忙しい。簡単に仕事を休めない、でも保育園に入れることもできない……などの問題が。
そこで、娘側の両親が居住地を移し、孫の面倒を見るパターンが増えている。


気軽に頼めそう。と思えるが、実際は大違い。喧嘩になってしまうことも。
そんななか、改めて孫育てと言う言葉が生まれ、各地でセミナーが開催。それが人気を集めているというのだ。

孫育ての情報を提供している、“ユウchan”さんにお話を伺ってみたところ、孫育てのセミナーで話題に上がることは「孫との接し方」「どう子育てに手を貸すか」。
さらに子供世代と祖父母世代の子育て世代間ギャップをどう埋めるか。
この子育てギャップは意外と溝が深い。
たとえば昔は「抱き癖がつくからあまり抱かないように」と言われていたが、今の主流は逆。ミルクの与え方、しつけの方法まで細かいところで昔と今は時代が異なる。
しかし祖父母世代は、いざ孫を目にするやタイムスリップし昔の感覚のまま押しつけようとする。そこで溝が生まれ、ひどい場合だと絶縁状態になってしまうこともあるとか。


その溝を埋めるべく、助産師さんによるセミナーが、各所で月一ペースで開かれている。医療関係者の声なら祖父母世代も耳を傾けやすいためだ。
孫育てのポイントは親世代はほどよく祖父母に甘え、祖父母世代は口を出しすぎないこと。
さらにユウchanさんは、NHKのラジオビタミンで第一火曜に子育て番組を発信。人気を博しているそうだ。

これからは高齢者が増え、子供が少ない時代がやってくる、と言われている。
「血縁者だけで子育てをしていくのは、これからは厳しい。一人っ子同士が結婚することで血縁者も少なくなり、孤独になる人が増えてきます」と言う。
だからこそみんなで子供の世話を焼き、地域で子供を育てる環境にすることが今後の日本には必要……と言うは容易いが、実行は難しい。

しかし震災のこともあり、「地域の繋がり」が取りざたされる最近。
まずはその一歩として家族間だけに留まらず、「地域のじじばばになろう」が、これからの孫育ての目指すべき道なのかもしれない。
(のなかなおみ)