いま、若者の3人に1人がセックスに興味がないって知ってました? そんな衝撃の実態に迫るこんな本が発売になった。産婦人科医であり、日本家族計画協会クリニック所長である著者による、『セックス嫌いな若者たち』(メディアファクトリー)である。
版元の担当編集者さんに企画の発端を伺ってみたところ、

「今年1月に各メディアで報道された『セックス嫌い』や『関心がない』若者が急増しているというニュースに衝撃を受け、この調査のまとめ役である産婦人科医の北村邦夫先生に、本書の執筆を依頼しました。調査データはもちろんのこと、北村先生が日頃カウンセリングや診療で得ている『若者の生声』も交えて紹介することで、若者の性の実態がわかる本に仕上がったと思います」

とのこと。確かに、集計データの分析だけでなく個人のリアリティのある話が語られており、嫌いな理由も人それぞれ。彼ら(10代後半~20代前半の男子)の多くは性欲はふつうにあるのだけれど、「めんどくさい」「恥をかきたくない」「2次元に嫁がいるから」「生身の女は不潔で気持ち悪い」「仕事で疲れ果て、その気になれない」「フリーターで生活力がなく女性に相手にされないし、子どもができても養っていけないのでセックスできない」などなど……。

なお、最後のは非正規雇用が増えた現代ならではの、なんとも悲しいコメントである。また、本書中に「みんな、セックスはタダだと思っているけれど、実はお金がかかる行為」という一文があるのだが、避妊にかかる費用(コンドームやピルなど)に加え、万が一、望まない妊娠をしたり、子どもができた場合に結婚することを考えると、お金のない若者にとっては確かにセックス=リスキーな行為といえるのかも。


加えて、男女交際とは基本的にお金がかかるもの。恋人へのプレゼント代、イベントやデート中の食事代、ラブホ代、ファッションにもそれなりに気を使わなければいけないし……などと考えると、確かに「無理」と思ってしまうのもわかる気がする。

なお、個人的にツボだったのは、本書で紹介されていた
・ロールキャベツ男子……(一見、おとなしそうな草食系だが、実は女好きな男子)
・アスパラベーコン男子……(一見、女好きな肉食系だが、実は淡白な男子)
という絶妙なネーミング。肉食系女子の皆さんにとっては、「アスパラベーコン男子」ほど、がっかりで興醒めな存在はないのかもしれませんね~。

発売後の反響としては、
「『イメージだけではない、いまの若者のセックスに対する意識がわかった』という意見から、『若者のことだと思って読んでみたら、自分も含めた日本人全体のセックスレス化が進んでいることを再認識させられた』、『セックス離れを解消するためにはどうすればいいかがわかった』というような意見まで、様々なコメントが寄せられています」

とのことだった。なお、本書には「セックス嫌いを克服するために」という最終章があり、さまざまな問題点とその解決策にもアプローチしているので、心あたりの方はぜひご一読を~。


ちなみに、「あなたにとって、セックスとは何ですか?」という著者の問いに対し、最も多かったのが「人と人との究極のコミュニケーションだと思う」という答えだったという。ということはもしかしたら、セックス離れそのものが問題なのではなく、日本人全体がコミュニケーション不全に陥ってることが問題なのかもしれませんね!?
(まめこ)