同店をプロデュースしたのは、ミシュラン1つ星レストラン「SOLA」や日本酒を扱う「SAKE BAR」をまとめるフランス人実業家。7月3日にオープンしてからというもの、フランス全土で展開する有名百貨店のバイヤーが早々に味見に来るなど注目度も高い。シフォンケーキをフランス人はどう感じたのか。
「バターを多く使い、ムースをベースにした重めのフランスのケーキとは違い、シフォンケーキは軽さが特徴です。見た目は大きいけれど食べられるマシュマロのような感じ、さっぱりしたテクスチャーがフランス人の好奇心を引いています。これら食感からフランス人はシフォンケーキにヘルシーという印象も抱いているようです」(担当者)
同店ではシフォンケーキのことを「エンジェルケーキ」と呼んでいる。これは英語とフランス語の意味の違いから来るイメージの悪化を避けるためだという。
「英語で『シフォン』は『薄い絹やナイロンの織物』を意味しますが、フランス語では『雑巾』になります。シフォンケーキという存在を知らない人が多いフランスでは、この名前だと食べる前から印象を悪くする恐れがあります。『エンジェル』としたのは、シフォンケーキがそのふわふわした食感から、元々『エンジェルフードケーキ』と呼ばれていたことに由来します」(同)
米国生まれのシフォンケーキは日本に渡ってから様々に手が加えられた。その結果、例えばカステラのように、日本独自と言えるまでその内容は進化したという。
「当店併設のカフェでは日本茶はもちろんのこと、夜の時間帯はシフォンケーキに合わせてウィスキー(ハイボール)、シャンパン、梅酒をお出ししています。バニラキャラメル、ダークチョコレート、木イチゴ、柚子、抹茶、プラリネローズと季節に合わせた味の基本フレーバー7種類に加えて、夜はパルメザンチーズ、クルミオイル、コショウと、より一層お酒との相性をご提案しています」(同)
日本で育った味がさらに姿を変えて、また一つフランスという料理大国で定番になろうとしている。
(加藤亨延)