先日、ちょっと感動する牛乳に出会った。北海道の興部(おこっぺ)町にある「冨田ファーム」の「香(か)しずく」。
飲んでみると、コクがあり、自然な甘味が口中に広がる。濃厚な旨味については、「そういえば、あるソムリエの方はマッシュルームの香りがすると表現していましたね」と聞き、もう一度飲んでみると、なるほど、確かにそんな気も。不思議なのは、これだけ濃厚なのに口当たりはサラリとして後味がすっきりしていること。喉を自然に通っていくから、何杯でも飲めそうだ。
冨田ファームの方に話を聞くと、同ファームの最大の特徴は「循環農法」を実践していることだという。循環農法とは、牛の排泄物を肥料として均一に農地に還元して牧草を育て、その牧草を牛が食べる……という繰り返し。化学肥料などは一切使わず、環境にやさしく、安全な牛乳を生産している。
循環農法を実践している農場は日本でも数少ない。冨田ファームが循環農法を始めるきっかけとなったのが、故・黒澤酉蔵さんの「酪農は唯一化学肥料の要らない農業である」という教え。黒澤酉蔵さんとは、酪農学園大学の創始者で、現・雪印乳業の創始者のひとりでもある。冨田ファーム社長の冨田泰雄さんは、酪農に関する資料を読みあさる中で、黒澤さんの教えに出会い、やってみようと思ったそうだ。
試行錯誤の末に循環農法による牛乳づくりを確立し、いまでは「原料に勝る技術なし」を座右の銘に掲げながら、上質な牛乳やチーズづくりに取り組む冨田さん。上質な牛乳から作るチーズのクオリティにも定評があり、数々の賞や認証も受けている。洞爺湖サミットでも提供され、フランスの名シェフ、ミッシェル・ブラス氏からも絶賛されたそうだ。
「手つかずのオホーツクの自然のなかで、世界で通用するような日本のチーズを作っていきたい」と意気込む冨田さん。日本ワインも世界に広がりつつある今、2020年の東京五輪では、日本のワインと日本のチーズで世界のゲストをもてなす……なんてことも可能性としては大いにありえそうだ。
もともと冨田ファームのある北海道の興部町は酪農が盛んなところ。酪農に関するさまざまな研究や分析ができる「オホーツク農業科学研究センター」という施設もあり、農家の人たちも土壌分析などに活用しながら、よりよい牛乳づくりに取り組んでいる。ちなみに同センター、お城のような建物なので、「モーモー城」という呼び名のほうがポピュラー。町のシンボル的存在だ。
雄大な大地で作られるこだわりの牛乳やチーズ。町には4つのチーズ工房があるので、ぜひ現地を訪れて、大自然を堪能しながら、食べ比べを楽しんでみては?
(古屋江美子)
私がこれまで飲んできた牛乳とはひと味もふた味も違う味だった。

有機牛乳「香しずく」(324円/500ml)。成分無調整、低温殺菌処理のノンホモ牛乳
飲んでみると、コクがあり、自然な甘味が口中に広がる。濃厚な旨味については、「そういえば、あるソムリエの方はマッシュルームの香りがすると表現していましたね」と聞き、もう一度飲んでみると、なるほど、確かにそんな気も。不思議なのは、これだけ濃厚なのに口当たりはサラリとして後味がすっきりしていること。喉を自然に通っていくから、何杯でも飲めそうだ。
【「香しずく」は他の牛乳と何が違うだろうか?】
冨田ファームの方に話を聞くと、同ファームの最大の特徴は「循環農法」を実践していることだという。循環農法とは、牛の排泄物を肥料として均一に農地に還元して牧草を育て、その牧草を牛が食べる……という繰り返し。化学肥料などは一切使わず、環境にやさしく、安全な牛乳を生産している。
循環農法を実践している農場は日本でも数少ない。冨田ファームが循環農法を始めるきっかけとなったのが、故・黒澤酉蔵さんの「酪農は唯一化学肥料の要らない農業である」という教え。黒澤酉蔵さんとは、酪農学園大学の創始者で、現・雪印乳業の創始者のひとりでもある。冨田ファーム社長の冨田泰雄さんは、酪農に関する資料を読みあさる中で、黒澤さんの教えに出会い、やってみようと思ったそうだ。
試行錯誤の末に循環農法による牛乳づくりを確立し、いまでは「原料に勝る技術なし」を座右の銘に掲げながら、上質な牛乳やチーズづくりに取り組む冨田さん。上質な牛乳から作るチーズのクオリティにも定評があり、数々の賞や認証も受けている。洞爺湖サミットでも提供され、フランスの名シェフ、ミッシェル・ブラス氏からも絶賛されたそうだ。
「手つかずのオホーツクの自然のなかで、世界で通用するような日本のチーズを作っていきたい」と意気込む冨田さん。日本ワインも世界に広がりつつある今、2020年の東京五輪では、日本のワインと日本のチーズで世界のゲストをもてなす……なんてことも可能性としては大いにありえそうだ。

チーズは約20種。(左)第5回ALL JAPANナチュラルチーズコンテスト金賞のゴーダチーズ「冨夢」(810円税込/150g)。(右)和製エメンタール「カムイ・スイ」(891円税込/120g)
もともと冨田ファームのある北海道の興部町は酪農が盛んなところ。酪農に関するさまざまな研究や分析ができる「オホーツク農業科学研究センター」という施設もあり、農家の人たちも土壌分析などに活用しながら、よりよい牛乳づくりに取り組んでいる。ちなみに同センター、お城のような建物なので、「モーモー城」という呼び名のほうがポピュラー。町のシンボル的存在だ。
雄大な大地で作られるこだわりの牛乳やチーズ。町には4つのチーズ工房があるので、ぜひ現地を訪れて、大自然を堪能しながら、食べ比べを楽しんでみては?
(古屋江美子)
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