山東省〓坊市で3日、氷の張った川の中に転落した50代女性を救った男性が、その場から“そそくさ”と立ち去っていたことが分かった。男性は自分自身が何度も沈みながらも投げられたロープを利用するなどで女性を岸に引き上げた。
9日になり男性の身元が分かったが、男性は現場から姿を消した理由を「カッコ悪かったから」などと説明した。中国新聞社が報じた。(〓はさんずいに「維」)

■「救助は無理」の声に「私はやる」

 女性を助けたのは接培栄さん。今年(2012年)、65歳になる。解放軍や警察署勤務を経て、2008年に退職した。その後も体を鍛えることに熱心で、水泳、特に寒中水泳の愛好者だ。女性を助けた際には周囲から名を尋ねられたので「接です」と答えたが、珍しい姓なので「李」と聞き間違えられ、メディアなどが探したが接さんと分かったのは9日だった。

 事故発生は3日午後2時ごろ。女性は凍った川の上にいて、水中に落ちた。詳しくは伝えられていないが、氷が割れたとみられる。接さんはジョギングをして現場近くを通りかかった。橋や岸辺には、すでに100人以上の人々が群がっていたという。


 女性は水面から頭を出していたが、顔色は黄ばんだような妙な色になっていた。接さんは「5分以内に助けないと、命を落とす」と思った。岸辺から女性のいる方向にロープを投げた人がいたので、「やるぞ」と決意した。接さんが高齢であるため、「やめなさい。無理です」と止める人もいたが「私は寒中水泳をしている。行く」といって川に入ったという。

■引き上げるたびに氷割れて再び沈む

 女性は川のほぼ中央部にいた。接さんはロープを握りながら氷の上を這(は)ったが、あと3メートルのところで体の下の氷が割れた。接さんはそのまま泳いで女性に接近し、女性の両脇の下にロープをくくりつけた。女性はすでに、自力で動けない状態だった。

 接さんは女性をかかえ、岸からはロープを引いてもらい、女性を氷の上に載せた。ところが氷が割れて、2人とも水中に転落。
もう一度、同じように女性を氷の上にのせたが、また割れた。3回目の挑戦で、接さんは最後の力を振り絞って、女性を氷の上に押し上げた。反動で接さんの体は水中にかなり深く沈み、しばらく浮いてこられなかった。

 岸でロープを握っていたのは警察官で、慎重に引いて女性の体を氷の上ですべらせて、岸近くに寄せた。

 接さんは自力で氷の上に這(は)い上がろうとしたが、そのたびに氷が割れて水に沈んだ。接さんによると、「私もあわてて、頭が動かなくなっていたんですね。やっと気づいて、ロープを投げてくれるように叫びました」という。ロープを握り、岸から引いてもらい、やっと安全な場所までたどりついた。

 接さんによると、川に飛び込むことに躊躇(ちゅうちょ)はなかったが、危険性は十分に承知していた。頭の中で、当日の気象状況について「最低気温は氷点下11度。今日は曇りだから現在の気温は氷点下5-6度」などと計算していたという。

■パンツ1丁の姿に赤面「カッコ悪すぎ」

 そのまま現場を立ち去ったことについて、接さんは「服を脱いで、パンツ1丁だっただろう。
おまけに氷で全身のいたるところを切って、血だらけだった。大勢の人に見られて、カッコ悪すぎだよ。たまらんと思って逃げたのさ」と答えた。

 接さんの妻によると、接さんは困った人を見たら助けずにはいられない性分だ。同時に、すぐに“癇癪(かんしゃく)玉”を破裂させる所がある。他人を助けてやろうと言い出した時、「おせっかいはやめなさいよ」などと言うと「怒り出して、家のことなんかどうでもよくなっちゃうんです」という。

 女性は病院に搬送され手当てを受けた。大きな問題はなく、7日までに退院したという。(編集担当:如月隼人)
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