文章は、現在中国で計画されているニュータウンには34億人が居住可能な状況で、ゴーストタウンが全国的に50カ所以上存在するという研究データを紹介。「より深刻なこと」として、このような状況であるにもかかわらず、地方政府が不動産開発によってGDPを伸ばそうという意識が減るどころか内陸地域にまで蔓延してしまったことだと指摘した。
また、中国の大手メディアが「今中国経済が抱えている最大の問題は、生産過剰だ」と分析しているとしたうえで、「その根本原因は『不動産化経済』の蔓延」にあると解説。現状では「不動産化経済」を止めることは不可能であるとした。
さらに、業者の収益回収と地方政府の業績がかかっていることから、各地のニュータウンの計画は一旦スタートしたらまず止まることはないと指摘。一方で、政府が農村住民を入居させようとしても、沿海部への移住を目指す彼らは入りたがらないと断じた。そして、「現在の中国不動産市場にすでに戻る道はなく、徹底的なバブル崩壊に至らなければ調整されることはない」と結んだ。
易教授の強い論調からは、不動産開発業者や地方政府がこの先考え方を改めることに対する期待感はほとんど感じられず、不動産バブルの崩壊がもはや「既定路線」であると認識していることが伺える。一度痛い目に遭わないことにはどうにもならないという、あきらめさえ漂っている。
「アジア最大の遊園地」を標榜して1990年代に北京市で建設が始まるもアジア経済危機で工事が停止、以降10年以上放置され、結局オープンすることなく2013年に解体されたテーマパークがあった。近い将来、地球の全人口の約半数を収容できるという中国国内のニュータウンの多くが、このテーマパークと同様の運命をたどることになるかもしれない。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
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