ヒューマンドラマの名手と呼ばれる岡田恵和が脚本を務めるドラマ『奇跡の人』に、ロックバンド・銀杏BOYZの峯田和伸麻生久美子が出演。ヘレン・ケラーと、彼女に光を与えたサリバン先生の実話からヒントを得た感動物語に挑む峯田と麻生に、作品にかける思いを聞いた。


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 本作は、峯田演じるうだつの上がらないダメ男・亀持一択が、目と耳に障害を持つ娘・海(住田萌乃)を抱え過酷な人生と闘う、麻生扮する鶴里花と出会い、「人生で何事も成し遂げてこなかった自分がいまやるべきことは、この母娘の手助けをすること」だと奮起し、海にとっての“サリバン先生”になろうと決意することから始まるストーリー。

 2012年に第一子となる女児を出産後、初めての母親役に挑戦する麻生。「子どもと向き合う役をやりたい」と以前から公言しており、本作では障害を持つ娘を愛し、必死に守る母を熱演する。麻生は「海を一択に預けて出かける時に、海の頭にキスをしたんですが、あれは普段、自分が(娘に)やっていること。アドリブというか、自然にやってましたね」と、出産を経験したことで演技の幅が広がったようだ。

 「内側から出てくる感情が、(母親になったことで)自然に表現できる時があって。
そういう違いを、一つずつ確かめながら、楽しんでやってます」。

 また、一方で麻生は元ヤンという設定でもある。劇中には、ギャルメイクの学生時代の回想シーンまで登場する。麻生は、「ギャルメイクをした時は意外といいなと思って、結構気に入ってたんです。ですけど、試写で観たらそうでもないかって(笑)。やっぱり年相応だなと思って、恥ずかしかったですね」と苦笑いで明かした。
 峯田と麻生は、田口トモロヲが映画監督に初挑戦した『アイデン&ティティ』で初共演。本作は、13年ぶりの共演だ。「当時、目も合わせられなくて迷惑かけた」と峯田は同作での共演を振り返る。「撮影が進んでいくうちに、僕も余裕がでてきて目を合わせて話せるようになってきて、もう一回最初からやり直したいぐらいだった(笑)。でも13年前も今も、麻生さんは、全然変わってない気がします」。

 峯田といえば、ロックミュージシャンとして知られる人物だ。
先述の『アイデン&ティティ』で俳優デビュー後は、映画を中心に俳優業もこなしてきた。連ドラ初主演となる本作は、脚本家の岡田からの熱いラブコールを受けての出演だ。

 俳優としても高い評価を得ている峯田だが、「(岡田からのラブコールは)さっき(初めて)聞いてびっくりしました。岡田さんのドラマは面白い。だから、それに僕が出るというのはありがたいですね。期待にそえるように、ちゃんとやりたい」と語った。


 峯田の自然体な演技、麻生のこれまでのイメージを覆すような役柄と見どころ満載の本作だが、盲ろうの海を演じた子役の住田の演技も圧巻だ。峯田も「すごいです。演技でぶつかったり、頭打ったりもしても、痛いとも言わない。よく耐えてるなと思います。本当、尊敬します」と絶賛。麻生も「お芝居に入ると、集中してあの難しい役を自然に演じている。
もう海にしか見えないです」と口を揃える。“奇跡の人”のタイトルに恥じない住田の名演技にもぜひ注目してもらいたい。

 プレミアムドラマ『奇跡の人』は、NHK BSプレミアムで毎週日曜22時より放送中。