「週刊文春」(文藝春秋/2013年12月26日号)は、人気子役タレントの芦田愛菜と本田望結がライバル関係にあると報じている。

 芦田は、昨年8月公開映画『パシフィック・リム』でハリウッドデビューも果たし、1月放送開始の連続テレビドラマ『明日、ママがいない』(日本テレビ系)に主演するなど活躍が続いているが、同誌は日テレ関係者のコメントとして「現場スタッフの間では気軽に愛菜ちゃんと呼ぶのはNG」「他の子役と同じ扱い・括りはNG」「(ギャラは)他の子役の2~3倍」などという内容を掲載している。

 同誌によれば、そんな芦田がライバル視しているのが、12年に放送された連続ドラマ『家政婦のミタ』(日本テレビ系)で大ブレイクした本田だという。本田も数々の人気ドラマに出演し、写真集が発売されるなど芦田に引けを取らない人気ぶりで、芦田サイドは「今では本田との共演NGを出して」(芸能関係者)おり、昨年ふたりがテレビ番組で共演した際には、「芦田は収録中、本田と目も合わさず笑顔をみせなかったので現場がピリピリしていた」(番組関係者)とも同誌は報じている。記事内容の真偽は定かではないが、このように話題に事欠かないのも、ふたりの人気が高いことの裏返しとのいえるだろう。

●多いアンチ芦田、知名度の高さの裏返し

 そんな芦田と本田であるが、世間一般の人々の評判は、どのようなものなのであろうか。

 インターネットで調べてみると、「芦田と本田、どちらが可愛いか?」というテーマのページが驚くほどたくさん出てくる。そのようなページでは、芦田について「子供らしさがなくて可愛くない」「演技はダントツだが、計算ずくで嫌い」などという声が圧倒的に多いことに気づく。

 また、読売テレビのアンケート企画『テレビから消えてほしい有名人』では、芦田が1位に選ばれ、さらに「週刊文春」(12年2月23日号)に掲載された『CMで見たくない有名人ランキング』でもトップになっている。

 しかし、アンチやバッシングの数は人気のバロメーターでもあり、実力という点においては、「ORICON STYLE」が10~40代男女を対象に「歴代最強だと思う名子役」を調査した結果、安達祐実や小林綾子などを抑え、芦田が1位となっている。

 その芦田に関してはさまざま逸話もある。「台本が読めるようになるためずっと漢字を勉強していて、すでに中学生レベル」「ハリウッド映画のオーディションのために英語を特訓」といったもので、もし本当であればかなりプロ意識の高い女優といえよう。

 一方、本田については「スケートも上手だし演技も上手」「とにかくかわいい」といった声がネット上には多く、芦田と対照的に好意的な意見が多数を占めている様子。本田は昨年にテアトルアカデミーから、米倉涼子や上戸彩などが所属する大手芸能プロダクション、オスカープロモーションに移籍したことで、「今後さらに大きな仕事を手にする可能性が増えた」(芸能プロ関係者)と言われ順調に見える。

昨年11月には総合エンタメアプリ・UULA(ウーラ)配信の『ドラマチックカバー特集』というMVに「50歳マダム」という役で出演し、実年齢で40歳以上も年の離れた役柄を演じ話題に。この役を難なくこなし、制作スタッフに「驚愕しました」と言わしめたという。

 以上みてきたように、実力、人気共に兼ね備えた芦田と本田、世間的には「ライバル関係にある」と見られてもおかしくないように思えるが、結局どちらのほうが人気があるのか、その実態を探るべく街頭で50人(男女半数ずつ)の人々にアンケート調査を行った結果が以下である。

【アンケート結果】

  1位:本田のほうが好き(30%)
  2位:どちらも嫌い(26%)
  3位:芦田のほうが好き(20%)
  4位:よく知らない(14%)
  5位:どちらも好き(10%)

 本調査からは、本田のほうがやや人気が高いという結果になったが、「どちらも嫌い」という声も意外と多かった。また、ふたりの認知度は86%とかなり高く、女優としての存在感の大きさがうかがえる。

●競争激化する子役タレントの世界

 そんな「二強」を尻目に、最近ではほかにも人気が急上昇してきている子役タレントたちがいる。

 先日発表された最新の「2013年 女性タレントCM起用社数ランキング」(ニホンモニター)によると、子役タレントの谷花音が、有村架純、上戸彩、島崎遥香(AKB48)、ベッキーといった人気タレントと同数の11社と契約。ちなみに、前年15社と契約していた芦田、同12社と契約していた本田は共にランキング圏外という結果であった。
 
 また、子役掲示板サイト「女子子役人気ランキングベスト10」における直近の順位を見ても、芦田や本田より上位にランクインする子役タレントたちが数多く見られる。

 

【子役掲示板サイト「女子子役人気ランキングベスト10」】

  1位:風間美理菜
  2位:秋庭伶香
  3位:芦田愛菜
  4位:胡桃沢朱音
  5位:佐藤日向
  6位:菊地最愛
  7位:花坂椎南
  8位:本田望結
  9位:谷花音
  10位:小林星蘭
  
 こうして見ると一般的には見慣れない名も多いが、子役タレントも層が厚く競争が激しいことの裏返しともいえるだろう。

●ブレイクが大きく人生を狂わせる危険も

 現在、子役タレントを受け入れている芸能プロダクションは50社を超え、子役専門芸能プロの中で、活躍する子役を輩出しているところは20社程度あるとみられる。ひとつの事務所には少ないところで20名、多いところには数百名の子役が在籍するが、テレビ出演などで活躍している子役はほんの一握り。

そんな激しい競争を勝ち抜いてブレイクしていく子役たちは幸運だが、「子役は短命」という芸能界のジンクスがある通り、一度ブレイクしても短期間で表舞台から消えていく子役たちも多い。例えば、映画『崖の上のポニョ』の挿入歌でブレイクした大橋のぞみは、中学入学時に突然、芸能界引退を発表をして話題となったが、芦田の人気上昇により仕事が激減したからともいわれている。

 また、「人気を博した子役タレントが、身体の成長とともに仕事が減り精神的に大きなダメージを受けたり、高額のギャランティー収入で家族関係に悪影響を及ぼすケースも多い」(テレビ局関係者)ともいわれ、人気子役になることがかえって本人の人生を大きく狂わせてしまう可能性もある。

 そんなジレンマを抱え、精神的にも身体的にも未熟な状態で厳しい競争を強いられる子役タレントたちであるが、世間の需要がある限り、その存在がなくなることはないのかもしれない。
(文=成田男/フリーライター)

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