視聴率の低迷が止まらないフジテレビだが、ついに、かつての人気番組にも打ち切りの話題が持ち上がっている。

 1996年にスタートし、毎週土曜20時台から放送されている『めちゃ×2イケてるッ!』は、かつては最高視聴率33.2%(関東地区/ビデオリサーチ調べ)を記録したこともある超人気番組だった。

だが、それももはや過去の栄光だ。最近ではスペシャル企画でも、視聴率10%にすら遠く及ばない。なぜ、このような事態になってしまったのか。

「フジテレビが企画力を失くし、つまらないと言われるようになった時期と、『めちゃイケ』がつまらないと言われるようになった時期はちょうど同じくらいです。結局、『めちゃイケ』は出演者たちよりも、番組の企画力でもっていたのかもしれません」(テレビ局関係者)

 たしかに、かつての『めちゃイケ』は、「ヨモギダ少年愚連隊」シリーズやオファーシリーズ、「クイズ濱口優」「笑わず嫌い王」「やべっち寿司」といったものから、「七人のしりとり侍」や「数取団」といった、子どもたちがまねしたくなるような遊びまで、今でも語られるほどの名物企画ばかりだった。

 だが、筆者の主観では、『めちゃイケ』を人気番組に押し上げたのは、やはり中心となっていたナインティナイン、特に岡村隆史のキャラクターにこそあったように感じる。しかしその岡村も近年では、かつての勢いは微塵もない。

「ナイナイは基本的に番組進行に忠実です。打ち合わせや稽古、台本読みといった準備をほかの芸人たちよりもはるかに熱心にやります。だから長時間の特番などで重用される。ですが、テレビの予定調和みたいなものが敬遠されるようになった昨今では、視聴者は物足りなさを感じてしまうのかもしれません」(同)

 今年の夏に放送された『FNS27時間テレビ めちゃ×2ピンチってるッ! 1億2500万人の本気になれなきゃテレビじゃないじゃ~ん!!』に出演した明石家さんまが、「めちゃイケ班」を中心とする番組スタッフに、台本で芸人をがんじがらめにする番組構成について「お前たちは芸人をわかっていない」と激怒したと12月12日付の東スポWebで報じられた。それに対し、「もしかするとそこには、ナイナイへの苦言も含まれていたのかもしれない」と関係者は語る。


「ある年の『27時間テレビ』の、鉄棒で身体を振って遠くに飛び、その飛距離を競うというコーナーで、芸人なら笑いを取りにいかなければならない場面なのに、岡村が本気で記録に挑戦して大スベりをしてしまったことがあります。そこまで、失敗すれば爆笑がとれるような流れをつくってきていたさんまは烈火のごとく激怒。岡村のアドリブのきかない性格を、端的に表した一場面でしょう」(別のテレビ局関係者)

 たしかに、ナイナイは生放送の特番でもうまく進行してはいるが、コメントが特別おもしろいというわけではない。そこに、芸人としての致命的な弱点がある。

「ナイナイが売れ始めた当初は、ダウンタウンのパクリだという批判をよく受けていました。ナイナイは、自分たちで新しい笑いをつくるというよりは、その時代時代でウケているものをうまく自身に取り入れていくスタイルです。『めちゃイケ』の人気企画も、ほとんどがほかの番組のパロディです。芸人内では『ナイナイは芸無し芸人』とまで言われていますよ。若いうちは、それを動きや勢いでカバーすることもできたが、年齢を重ねた今ではそれも難しい」(同)

 そうしたスタイルの限界を感じてか、最近ではラジオを中心に、「物申す芸風」にシフトしつつあるが、視聴者からは「お前が言うな」「ご意見番のつもりか?」「ピントがズレてる」という批判も多く、奏功しているとは言い難い。その迷走ぶりは、まさに今のフジテレビの惨状に重なる。

「『めちゃイケ』は、若手芸人たちが、大御所相手だろうが好き勝手暴れまわる、そんな破天荒さがウケていました。しかし、メンバーの高齢化が進んで、みんなそれぞれ丸くなってしまった。
求められるものと与えるもののズレが大きくなれば、終わっていくのも仕方のないことなのかもしれませんね」(同)

 ひとつの時代をつくった番組が終わっていくのは残念ではあるが、このまま晩節を汚していくよりは、潔く終わらせる決意も必要なのかもしれない。
(文=編集部)

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