新潮社の文芸誌『新潮』は、12月7日発売の2017年1月号で、昨年亡くなった女優、原節子さんの自筆エッセイ「手帖抄」を全文公開する。

原さんは『わが青春に悔なし』『青い山脈』などで知られ、戦前から戦後の高度経済成長期にかけて人気を博した大女優。

1962年公開の『忠臣蔵 花の巻・雪の巻』を最後に事実上「引退」していた。

「手帖抄」は、原さんが電車で見たいくつかの出来事をきっかけに、戦後日本の世相や敗戦後の日本人の精神を浮き彫りにしていくというもの。戦争・敗戦という時期を過ごした女優の、率直な考えが綴られている。

原さんはこのエッセイを「想苑」という雑誌の1946年11月号で発表しているが、これまでの原節子研究や関連本で紹介されたことはなく、その存在は知られていなかった。

今回の掲載は、立教大学教授の石川巧氏が、たまたま知人に見せられた「想苑」から偶然見つけたことが発端となった。「新潮」では、石川氏と『原節子の真実』で知られるノンフィクション作家・石井妙子氏による解説も加えられ、原節子ファン、映画ファンにとっては貴重な内容となっている。

(新刊JP編集部)