レッドブル、モンスターエナジー、バーンなど、昨年ごろからよく目につくようになったエナジードリンク。これまで中高年向けというイメージが強かった栄養ドリンクと違い、若者向けを押し出して商品を展開しているように見える。
その認知度と飲用実態を、マーケティング/リサーチ会社のクロス・マーケティングが行った調査から見てみたい。

 アンケート名は「栄養ドリンクに関する調査」。調査方法はインターネットリサーチ。調査時期は2012年8月。調査対象は全国に暮らす20~69歳の男女2000人。

栄養ドリンクは「疲れを取る」
エナジードリンクは「眠気覚まし」のイメージ

 エナジードリンクは栄養ドリンクの中の1カテゴリ。本調査では、従来型のビン入りのものを栄養ドリンク、缶入りで売られているものをエナジードリンクと定義している。エナジードリンクは海外発のものが多いからか、商品名もパッケージも刺激的。「疲れを取る」というよりも、「長く活動し続けられる」というコンセプトを強く感じられるのも特徴だろう。

 ここ数年、エナジードリンクの中で最もよく目につく商品であり、今年4月からはシュガーレスが発売された「レッドブル」。世界85ヵ国で展開され、日本では今年3月から発売を始めた「バーン エナジードリンク」。そして、“アメリカ発の人気エナジードリンク”という触れ込みで5月に発売された「モンスターエナジー」。

この3商品が、エナジードリンクとしては認知度が高い。それぞれの認知度と飲用経験は「レッドブル」(47.5%、16.6%)、「モンスターエナジー」(15.9%、4.7%)、「バーン」(12%、3.2%)だった。

 一方、栄養ドリンクのなかで最も認知度が高く、飲用経験が多いのは「オロナミンCドリンク」(87.8%、64.9%)、次いで「リポビタンDシリーズ」(82.8%、54.2%)。日本では後発のエナジードリンクは、この2つの商品にまだ認知度、飲用経験ともに差をつけられているが、注目したいのはその年齢構成比だ。

「リポビタンD」が20~60代までの各年代で50~60%前後の人たちに年齢に偏りなく飲まれているのに対し、「レッドブル」は20代が45%、30代が23%と圧倒的にもかかわらず50代(11.2%)、60代(3.3%)の飲用は少なかった。

 ネット上でエナジードリンク飲用者のコメントを拾ってみると、「眠気」「眠い」などの言葉とともに感想を発信する人が多く、「デスクワークが長時間続く若者が眠気を飛ばすために飲む」というシチュエーションが多いと考えられる。

 また、「リポビタンD」と「レッドブル」の飲用目的を調査で聞いたところ、それぞれ1位は「リポビタンD」が「疲れを取る(改善)」(49.8%)、「レッドブル」が「元気・エネルギー補給」(42.7%)。さらに飲用場面については、「朝起きてすぐ」(16.3%)、「帰宅後」(13.4%)と答えた人もいた「リポビタンD」に対し、「レッドブル」は「残業時」(15.9%)、「運転中」(9.6%)と答えた人が目立った(どちらも、1位、2位は「仕事の合間」「日中の休憩中」)。これらのことからも、栄養ドリンクにはより「疲れを取る」というイメージが強く、エナジードリンクには「眠気を覚ます」という効果を期待する人が多いことがわかる。

 このほか、「リポビタンD」は「ドラッグストア」で購入する人が最も多く(63.6%)、「レッドブル」は「コンビニ」で購入する人が圧倒的に多かった(72.6%)。この結果などから、クロス・マーケティングでは「ビン入り栄養ドリンクは、特定銘柄をまとめ買いして自宅保存、缶入りエナジードリンクはその時の気分で都度購入の割合が高い」と分析している。

栄養ドリンク飲まない理由
若者は「価格」、50代以上は「違和感」

 新しいカテゴリであるエナジードリンクが登場した一方で、栄養ドリンクはその味の独特さなどから敬遠する人も少なくない。

調査では、栄養ドリンクを飲んだことがない人と、飲んだことはあるが、直近1ヵ月以内に飲んでいない人のその理由を聞いている。

 20~40代に理由を聞いたところ、ビン入り栄養ドリンク、缶入りエナジードリンクともに最も多かったのが「価格が手頃ではない」、次いで「おいしくない」からというもの。一方、50~60代は「栄養・エネルギーを飲み物で取りたくない」、「効果実感がない」と答えた人が多かった。

 エナジードリンクがさらに若者から受け入れられるためには価格設定の見直しも必要なのかもしれないが、「高いからこそ効果が期待できる」というイメージの強いこういった飲料では、その案配が難しいところだろう。ネット上では、レッドブルにポカリスエットを混ぜるなど、実際のところはわからないが「さらに効果が上がる飲み方」が“開発”されている。価格以上の効果を得るための、一部の利用者の試行錯誤は今後も続くのかもしれない。

(プレスラボ 小川たまか)

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