電王戦第五局で三浦八段敗北 - プロ棋士1勝3敗1分でコンピュータに負け越す

三浦弘行九段の将棋ソフト不正使用の真実は?  本人否定も"ソフトと90%一致"の謎

勝負の世界に不正はつきものではあるが、知能を競うボードゲームの世界では人工知能を利用した不正問題が増えている。日本の将棋界もこの例に漏れず、棋士である三浦弘行九段に将棋ソフトを不正に使用したという疑いがかけられた。そしてこの事件が、人工知能と人間の関係、電子機器の使用取り締まりの問題にまで波及している。

現役棋士・三浦弘行九段の不正疑惑  指し手がソフトと90%一致

対局中に将棋ソフトを不正使用したと言われている三浦弘行九段。渡辺明竜王が三浦九段の指し手の不自然さを日本将棋連盟の幹部に訴えたことから不正疑惑が浮上した。三浦九段が勝った対局のうち、4局でソフトとの一致率が90%を超えていたとが判明し、連盟が年内の出場停止処分を決定した。

将棋の三浦弘行九段(42)に対して将棋ソフトによる不正の疑いが指摘されている問題で、渡辺明竜王(32)が三浦九段の指し手の不自然さを日本将棋連盟の幹部に訴え、対応を求めていたことが20日、わかった。三浦九段は竜王戦七番勝負の挑戦者に決まっていたが、連盟の聴取後に年内の出場停止処分を受けた。
三浦九段の不正疑惑 渡辺竜王が将棋連盟に対応要請-朝日新聞

疑惑が上がった理由は、指し手とソフトの一致が90%以上 羽生三冠も「黒に近い灰色」と証言か

指し手とソフトが選ぶ手とが一致するのかを調べたところ、三浦九段が勝った20局のうち、4局では、定跡手順を外れて以降の「一致率」が90%を超えたという。その後、竜王戦の開幕が15日に迫っていたため、連盟の幹部に対応を要請した。渡辺竜王は「トップ棋士でも、ソフトとの一致率は高い人で平均約70%。三浦九段は離席が多く、感想戦で示す手もソフトと一致していた。不正の疑いが強い以上、理事会に対応してもらう必要があると判断した」と話す。
ソフト不正使用疑惑 将棋連盟 調査委設置へ-東京新聞

実は三浦九段には以前から不正疑惑がかけられていた。対局中はそれぞれの棋士に持ち時間が与えられているのだが、三浦九段は勝負を左右する重要な局面でも頻繁に席を立っていたというのだ。
三浦九段に関しては、7月下旬頃から不正行為を疑う声が複数の棋士から上がっていた。渡辺竜王は、それらの声が届く中、10月3日に三浦九段と対局した際、長時間にわたって離席するなど不審な様子が見られたため、三浦九段に対する聴き取りを連盟側に提案。同11日に連盟理事会と三浦九段側との話し合いの場が設けられ、渡辺竜王も同席した。
三浦九段の将棋不正疑惑に渡辺竜王が初言及…「三浦さんを処分してほしいとは言っていない」-スポーツ報知

■あの羽生三冠も「黒に近い灰色」と証言したと報道が
トップ棋士の会合翌日の11日朝、羽生三冠は島九段に宛てて、「限りなく“黒に近い灰色”だと思います」と記したメールを送ったと、週刊文春は伝えている。
三浦弘行九段の将棋不正疑惑、渡辺明竜王「ソフトと一致90%超」と指摘


そう発言した事に関しては認めたものの「誤解を招く表現だった」とし、妻のtwitterを借りこのように発言している。


現在、日本将棋連盟は第三者による調査委員会の設置を決め、処分の妥当性と三浦九段の行動を調査するという。

三浦九段はソフト不正使用を真っ向否定、独自に調査結果を報告

ソフトの不正疑惑で棋士としての立場が危うくなっている三浦九段は、連盟が設置した第三者調査委員会とは別に、独自で行った調査の結果を報告。自信のスマートフォンに該当する将棋ソフトがインストールされていなかったことや、対局中に電源をオフにしていたという調査結果をもとに、出場停止処分の撤回を求めた。

対局中に不自然な離席を繰り返したとして、日本将棋連盟から年内の出場停止処分を受けた三浦弘行九段(42)は7日、自身のスマートフォンの搭載ソフトの調査結果と通信記録を公表し、対局中の将棋ソフト使用疑惑は「単なる臆測」として処分の撤回を求めた。
三浦九段、将棋連盟に処分撤回要請=スマホ調査結果公表-時事ドットコムニュース

この問題について三浦九段は7日、自らのスマートフォンの解析を民間会社に依頼した結果、いわゆる将棋ソフトのアプリはインストールされていなかったと発表した。また、日ごとの通信データ量についても公表し、対局があった日にデータ量が少ないのは、スマホの電源を切っていたからだと主張した。
三浦弘行九段、指し手カンニング疑惑を否定-日テレNEWS24

さらに、不正疑惑を否定する文書を弁護士を通じて発表。自らの心情とともに、調査委員会の対応の遅さについて語った。
出場停止処分を下されてから、毎日不安に押し潰されそうです。満足に眠ることすらできません。このような精神状態で、以前のように将棋を指すことができるか不安でなりません。私の棋士生命は、刻一刻と失われつつあります。私は棋士です。私には将棋しかないのです。どうか私から将棋を奪わないでください。
三浦弘行九段が改めて疑惑を否定 「ソフト使用の形跡なし」と文書で 全文掲載-産経ニュース

以前三浦九段は将棋ソフトと戦い敗れた経験も……将棋ソフトを「一言でいえば怪物」と評価

2013年には三浦弘行九段(当時は八段)は東大が開発した将棋ソフト「GPS将棋」と対局。あの羽生善治から棋聖を奪った経験もある三浦九段だったが、試合結果としてはGPS将棋に敗れてしまった。プロの棋士にソフトが勝ったということもあり、当時話題に。
三浦九段はGPS将棋を「一言で言えば怪物」と評価。

そして、三浦八段は「どこが悪かったのか正直よくわからない。GPS将棋の強さはわかっていたつもりですが、付け入る隙がなかった」と悔しさを滲ませ、「人間はもうコンピュータに勝てないのではないか?」という質問には「まだまだ強い棋士がおりますので」と答えていた。
電王戦第五局で三浦八段敗北 - プロ棋士1勝3敗1分でコンピュータに負け越す






人工知能VS棋士。将棋だけでなく、盤上ゲームはAIの独壇場になってしまうのか?

今回の三浦九段の不正疑惑に関してだけではなく、将棋をはじめとする盤上ゲームにおける電子機器の不正使用問題が深刻化している。というのも、科学の進歩にともなっって、人工知能も急速に進化。1997年にスーパーコンピューター「ディープ・ブルー」が当時のチェスチャンピオンに勝利したのを皮切りに、知性を競うゲームにおいてAIが人間よりも優れているということが証明されつつあるのだ。

実際、Bonanzaを参考に開発されたponanza(ポナンザ)が既にプロ棋士に対して5連勝を達成している。またチェスの世界ではIBMのディープ・ブルーが1997年に初めて人間の現役チャンピオン(ガルリ・カスパロフ氏)を破っており、人工知能が(一定の条件下で)人間を上回る時が既に訪れているのだ。
スマホ不正はあったのか? 強くなりすぎた「将棋ソフト」の功罪-ZUU online

盤上に下す手の選択肢が将棋よりもケタ違いに多い囲碁は、1対1のボードゲームでコンピューターよりも人間が優位に立つ「最後の砦(とりで)」と言われてきた。しかし3月に「アルファ碁」が世界トップランクの韓国・李世●(●は「石」の下に「乙」、イセドル)九段を圧倒し、世界を驚かせた。
将棋ソフト不正疑惑、囲碁界にも衝撃 棋院が対応策検討-朝日新聞

将棋の世界でもAIの将棋力が急上昇。プロ棋士以上の強さを誇る人工知能の力を利用する考えが生まれてもおかしくはないのかもしれない。
35のコンピューター将棋ソフトが出場した「第4回将棋電王トーナメント」決勝戦が10日、東京・六本木で行われ、昨年の優勝ソフト「Ponanza(ポナンザ)」が2連覇を達成し、「電王」の称号と賞金300万円を獲得した。
将棋最強ソフトは「ポナンザ」=来春、叡王戦優勝者と対局-時事ドットコムニュース

チェスはソフト不正のオンパレード? ズルと取り締まりのイタチごっこ

チェスは世界で最も人気の高いボードゲームだけ、分析アプリを使用したり、人工知能の戦法をカンニングするなど不正も多い。そのため、勝負中の電子機器の利用は禁止されているのだが、トイレにスマートフォンを隠したり、外部の人間から人工知能の戦法を合図で受け取るなど、これまでに多くのAI不正が発覚している。

アラブ首長国連邦(UAE)ドバイで開催されたチェスのオープン戦で、グルジアの名人がトイレに隠したスマートフォンで分析アプリを利用していたことが発覚し、退場処分となった。
グルジアのチェス名人、スマホでカンニング-CNN.co,jp

2015年4月に発覚したドバイの大会における事件がある。チェス界最高の称号である「グランドマスター(GM)」を持つジョージア(グルジア)人プレイヤー、ガイオズ・ニガリジェ氏が、対局中重要な局面になるたびにトイレに駆け込み、不審に思った対戦相手が指摘した結果、トイレットペーパーの中に隠された本人のスマホが見つかったというものだ
将棋棋士の「スマホ不正」疑惑と「出場停止処分」について思うこと-ITmedia PC USER

将棋界もついに電子機器規制スタートか?

チェスの世界ではソフトの不正使用を防ぐためのルールが取り決められているが、将棋界にはこのようなルールがなかった。不正を取り締まるための規則を作ろうという動きはあったものの、棋士たるもの、人工知能に頼ることはしないだろうという楽観的な主張によって、今日まで先延ばしになっていたのだ。

不正を防ぐ規則はなかったのか。連盟は数年前、対局場への携帯電話の持ち込みを禁止しようと委員会を立ち上げた。だが「棋士はカンニングはしない」との性善説に立った反対論から立ち消えに。規制を求める声が強まり、電子機器の持ち込み禁止といった新規則を決めたのは今月5日のこと。
不正の“一手”対応遅れ 計算能力向上に揺れる将棋界-産経ニュース

スマホを使った将棋ソフトのカンニングが疑われる背景には、将棋ソフトの目覚ましい進化がある。今ではトップ棋士相手に勝ち越すほどの実力を持つソフトもあり、「電子機器の利用」は将棋界では脅威となっている。
「スマホ禁止」では解決しない「頭脳ゲームの不正問題」-ITmedia PC USER

しかし、今回の三浦九段の不正疑惑によって将棋界でのソフト使用問題が深刻化したことで、ついに規制が作られることになった。
日本将棋連盟が、棋士に対して向けられている「カンニング疑惑」の撲滅に乗り出した。棋士の不正行為を防止するため、対局中のスマートフォンなどの電子機器の使用禁止、対局場からの外出制限という2つの「規制」を導入すると発表したのだ。
「棋士のカンニング疑惑を一掃する」 将棋連盟「スマホ持ち込み禁止」の狙い-JCASTニュース